多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N

日本でも運用開始、司法取引のメリットと問題点は?

11月22日放送『多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N』では、「司法取引」について解説しました。

日産自動車のカルロス・ゴーン会長が11月19日、金融商品取引法違反の容疑で逮捕されたニュースは世間に大きな衝撃を与えましたが、そこで話題となったのが司法取引。
海外ドラマなどで聞く言葉ですが、日本では6月に始まったばかりで、まだ2例目となじみがありません。

そこで、あすなろ法律事務所の國田武二郎先生に司法取引の問題点などについて、パーソナリティーの多田しげおが電話で伺いました。

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司法取引って何?

そもそも、司法取引とは何でしょうか。
國田先生は「被疑者や被告人になり得る立場の人が、他人の犯罪について捜査協力をする。その見返りに自分の刑を軽くしたり、起訴されないようにしてもらう制度で、日本版の司法取引というふうに言いますね」と解説しました。

今回の日産の場合、当然ゴーン会長の意を受けて重要事項に虚偽記載したとされる執行役員は、法律的には共犯者であり、本来なら罪に問われるところですが、検察に対して、「ゴーン会長に関するあらゆる証拠を提供します。供述もします。その代わり、私に対しては不起訴処分や起訴しても軽い刑でお願いします」とお願いすることになります。

組織犯罪や企業犯罪などの巨悪を摘発するという効果が、司法取引には期待されています。

司法取引のメリットは?

次に、司法取引の運用方法やメリットについて伺いました。

多田「内部情報をもたらしたら、つまり”タレ込んだら見逃したるわ”って、すごく人間的な感情の法律ですね」

國田先生「運用上はやっていたんですが、あくまでも運用上であって法的にはありませんでしたが、今度は堂々と認めているわけです」

多田「先程、”組織犯罪”と言われてましたが、特定の犯罪でのみ認められているんですか」

國田先生「あらゆる刑法犯に適用されるのではなくて、例えば贈収賄、組織的な詐欺・恐喝。粉飾などの財政経済犯罪ですね。あとは薬物や拳銃の犯罪。特に暴力団の犯罪には有効な制度だと思いますね」

多田「会社の中や暴力団組織の中といったなかなか外には漏れてこない、捜査しにくいような所での犯罪には、内部告発が有効になるということですね」

國田先生「この種の犯罪は末端の者だけが捕まって、なかなか組織の内部まで切り込めないんですよね。司法取引を適切に運用することによって、切り込める。今回のゴーン会長の事件は司法取引制度にピッタリなものでしょうね」

司法取引の危険性

司法取引は組織的犯罪に有効である一方、危険性もはらんでいます。

國田先生「ただし、司法取引は弁護士の関与を義務付けています。ある面では第三者を冤罪に引きずり込む恐れもあるんですよね」

多田「自分の罪を軽くして欲しいから、嘘の情報をもたらしたら冤罪が生まれるわけですね」

國田先生「それを防ぐために検察官と協議する際は最初から弁護人を関与させて、弁護人も被疑者に本当かどうか確認しながら合意の書面づくりをしていくと。
万一虚偽であれば重い処罰になります。今回新たに虚偽供述罪が設けられて、裁判で偽証罪だと3年ですが、より重い5年以下の懲役ということで、虚偽の供述をさせないということですね」

さらに、仮に起訴されない取引が成立したとしても、絶対に起訴されない場合があるそうです。

國田先生「もう一つ気を付けないといけないのは、誰かが”不起訴は不当だ”と検察審査会に申し立てて、”これは起訴すべきだ”となって起訴される可能性があるということだけは注意しないといけないでしょうね。
(検察審査会への申し立ては誰でもできるため)市民感覚が最後にあるということです。完全に免れるわけではないということは、注意しないといけないでしょうね」

司法取引は両刃の剣ですので、運用は限定的であり、何重ものチェックがかかっているということですね。
(岡本)

多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N
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2018年11月22日07時23分~抜粋

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