秋も深まり、全国各地でマラソン大会が行われるシーズン。
国際大会ともなると日本陸連などに距離などを公認してもらう必要があります。
ここで気になるのが、42.195kmの距離は誰がどうやって測っているのか、ということ。
11月10日の『多田しげおの気分爽快!!朝からP・O・N』では、この件について日本陸上競技連盟の施設用器具委員会 副委員長の福島信久さんにお話を伺いました。
福島さんは日本のマラソン距離測定の第一人者だそうです。
コースは主催者が決定
マラソン大会の開催には、コースについては主催者の自由だそうですが、運営の際は警察などから許可が必要です。
そのため地域の風光明媚なところをコースに入れることは構いません。
この時代、GPSを使えば、だいたい42.195kmはこんなものかなとわかりますが、それが大会記録になるためには陸連などの公認を得たコースでないといけません。
コースの測定や認可の依頼が日本陸連にきます。
そこで、福島さんたちが実際に測り始めるわけです。
主催者が設定したコースに対し、時には陸連からこうした方がいいという指摘も入れるようです。
福島「安全面を考えて、選手ができるかぎりいい条件で、安全に走れるようにします。例えばあまりに狭いところをスタートにすると選手は大変です」
ワイヤー計測とは?
コースが決定したら、次に正確に42.195kmを計測しますが、計測の方法は、ワイヤー計測と自転車による計測があります。
まずワイヤー計測。鋼鉄製の長い針金を使って計測していきますが、具体的にはどうするのでしょうか。
福島「50mのワイヤーをひっぱります。20回で1kmです。単純にコース上、ワイヤーを7、8人で引っ張っていくという作業です。1日では終わらないし時間がかかります」
桐生順子アナウンサーはつい「アナログですね」と感想をもらします。
尺取虫のように50mずつ測りますが、42.195km測るには、なんと844回もこの作業を繰り返します。その大変さが伺えますね。
自転車計測とは?
もうひとつの自転車計測は具体的にはどうするのでしょう。
自転車の場合は、車軸にカウンターをつけ、そのコースを走って測ります。
正確に測るために、カウンターのメモリを確認します。気象条件、気温、乗る人の体重によって微妙に変わってくるからです。
まずワイヤーで400mの直線を設定します。そこを走り、カウンターがどれだけ進むかをチェックします。1kmでメモリがいくつかチェックして、42.195kmではいくらまでメモリがいったらいいか換算しておきます。その後、コースをずっと走り、そのメモリに達したら、ここ!というゴール地点を決めます。
いかに正確さを重視しているかわかりますね。
最短距離を測る
マラソンコースは結構幅が広く、曲線の場合はインコースとアウトコースで距離も変わります。道路のどの部分を計測するのでしょうか。
福島「基本的には最短コースです。あまり道路の端というわけにはいかないので、競技場であれば、トラックの淵から30cm、道路であれば側溝から30cmとか、だいたい30cmをとります」
左カーブなら左の歩道から30cm、右カーブなら道路のセンターラインから30cm内側(左側通行なので)を測ります。
左に曲がって、次に右に曲がる時は、左カーブと右カーブの直線最短距離を測ります。大回りする人は本人の問題ということになります。
ここまででおわかりのように、計測には手間と時間がかかり、しかも道路上で車が通っているので本当に大変な作業です。
「松江城フルマラソンがありますが、そこではパトカーが先導してくれたのでよかったです」(福島さん)
これからマラソン中継を見る時に、事前にコースをコツコツ測った方がいるのだな、という新しい見方ができますね。
(みず)
多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N
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2018年11月12日07時24分~抜粋