誕生から100年。いま「童謡」は誰が歌っている?

多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N / カルチャー

11月10日の『多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N』の特集では「童謡」を取り上げました。というのも、今年童謡が生まれて100年だそうです。

しかし、童謡が生まれるとはどういうことなのでしょう?明治時代まであった「わらべ歌」などとはどう違うのでしょうか?
CBC論説室の石塚元章特別解説委員が説明します。

童謡はどれ?

「そもそも童謡とは何か」を考えるにあたって、まずは問題です。
次のうち童謡はどれでしょうか?
「我は海の子」
「村の鍛冶屋」
「ぞうさん」
「犬のおまわりさん」

どれも童謡のようですが、何をもって童謡かどうかを区別するのでしょうか?

実は1918年(大正7年)に、児童向けの月刊雑誌『赤い鳥』が創刊されました。まさに100年前です。この雑誌が童謡を作りましょうと提唱しました。

それまでも、わらべ歌、唱歌などこどもの歌はありました。文部省唱歌は明治以降、文部省がこどもたちに歌ってもらう歌を決めたものです。
『赤い鳥』では、これに対して童謡を作ろうとしたのです。

よって、最初の問題の答えは、「我は海の子」は明治43年、「村の鍛冶屋」は大正元年ですから唱歌。
「ぞうさん」と「犬のおまわりさん」は戦後ですから、童謡です。
 

童謡の第一号は「カナリア」

単純に時代で区別するとこうなりますが、内容から見た「童謡」とは何でしょう。

『赤い鳥』を創刊した作家の鈴木三重吉さんは、こども向けの童謡や童話は大事だと提唱しました。その思想の根底には、唱歌に対する批判があったのです。

唱歌は文語調でむずかしい、歌詞がとても教訓じみている、政府は国民作りの道具にしようと唱歌を考えているのではないか。
大正時代に入るといくら何でも教訓じみているという考えが出てきました。

改めて、こどもが本当に歌っていい、純粋にこどもの心を育む歌を作ろう、それを童謡と呼ぼうとしたのです。
こうして西條八十さん、北原白秋さん、山田耕作さんなどを集め、歌が作られました。
その日本の童謡の第一号は「カナリア」とされています。
 

少女童謡歌手ブーム

これがレコードの普及と重なります。
童謡がレコード会社のドル箱になっていきます。
特に少女童謡歌手ブームというのがあって、昭和のはじめ20年から30年にかけて、川田三姉妹、安田姉妹、松島トモ子さん、小鳩くるみさんがスターになりました。

日本レコード大賞も第15回までは童謡賞があり、「小さい秋見つけた」「おもちゃのチャチャチャ」などが受賞しました。
 

戦争の影響

大正時代、唱歌のアンチとして童謡が作られました。
にもかかわらず、昭和になると童謡は時代の影響を受けます。戦争の足音が聞こえてきたのです。

例えば「汽車ポッポ」は昭和13年に童謡として誕生しましたが、最初のタイトルは「兵隊さんの汽車」でした。「兵隊さんを乗せて…」という歌詞で、"走れ"の部分は"バンザイ"でした。

戦後になって、現在も知られているタイトルと歌詞になりました。これは典型的な例です。
 

物品税をめぐる争い

戦後、税金をめぐる争いもありました。

消費税の前には物品税というものがありました。贅沢品にかかるものです。
童謡は物品税がかかりません、歌謡曲は嗜好品なのでかかります。そうなると、これは童謡か歌謡曲かで争いが起こります。

最も有名なのは1975年「およげ!たいやきくん」論争です。
結局、これは童謡となり、非課税となりました。歌詞の内容からすると、大人の悲哀を歌ったものですが…。

微妙なものとしては「めだかの兄妹」。童謡っぽいですが、これは歌謡曲となりました。
課税対象となった理由は、B面が明らかに大人の曲で、しかも収録分数が長いためでした。
なかなか童謡の線引きは難しいのです。
 

今の子どもたちが歌う童謡は?

現在はテレビ番組が火付け役になっていて、CM、アニメからこども向けの歌がヒットする時代です。

いわゆる昔ながらの童謡がブームと言われますが、今のこどもたちが好んで歌うというよりも、今の大人たちが昔をなつかしんで歌うものになっています。
童謡と言いながら、歌ったり、聞いたりしているのは童でなくて、大人ではないでしょうか。

先日、朝日新聞で「あなたの好きな童謡・唱歌は?」との質問に、「赤とんぼ」「小さい秋見つけた」「大きな古時計」「荒城の月」「夕焼け小焼け」が挙がっていました。
これらの楽曲を今のこどもたちは知らないかもしれません。

いまこどもたちが歌う童謡は何でしょうか?
(みず)
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2018年11月09日08時13分~抜粋

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