最近、クレジットカード専用のセルフレジが導入され現金が使えない店舗が登場しました。
とは言え、日本は欧米、中国、韓国に比べてキャッシュレス化が遅れているそうです。
10月5日の『多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N』の特集は「キャッシュレス時代」です。
キャッシュレスのメリットやデメリットなどを、神戸大学経済経営研究所の家森信善教授に伺いました。
キャッシュレスの3タイプ
そもそもキャッシュレスとはどういうことを言うのでしょうか。
家森先生「キャッシュとは英語で現金です。レスは使わないですから、現金を使わないでお金を支払うという仕組みです。
代表的なものにクレジットカード、電子マネーがあります」
電子マネーとして知られているのは、東海地方だとTOICA(JR東海)、manaca(名古屋鉄道・名古屋市交通局など)に代表されるIC乗車券サービスですね。
家森先生「クレジットカードと電子マネーはちょっと違います。
電子マネーは先にチャージしておきます。ある意味先払いです。
クレジットカードはお店で買う時、私たちの懐からお金は出て行きません。クレジットカード会社から私たちはお金を借ります。クレジットカード会社から請求書が来て、後で払うことになります。
だからクレジットカードには審査があり、誰でも持てるわけではないです」
アメリカではクレジットカードを持つこと自体が、信頼の証とも言われます。
家森先生「ホテルに泊まる時クレジットカードがないと泊めてくれなかったり、かなり高い現金を預けないと泊らせてくれない時があります。
パスポートだけだと何かあった時経済的損害を補えないので、カードの方がより役に立つわけです」
クレジットカード、電子マネー以外ではデビットカードもあります。
デビットカードは、銀行のATMでいったんお金をおろして、お店でそのお金で払うのを、あたかもお店のレジをATMと見て、暗証番号を入れることで自分の口座から代金分が引かれるようになっているものです。
キャッシュレスには事前に払うタイプ(電子マネー)、同時に払うタイプ(デビットカード)、事後に払うタイプ(クレジットカード)と、3つのパターンがあるということです。
日本は2割がキャッシュレス
日本ではキャッシュレスの支払いが全体の20%に過ぎません。中国では60%、韓国では90%がキャッシュレス決済だそうです。
家森先生「韓国は脱税を防ぐとか政策的な意図で、一時、クレジットカードを使うと税金のキャッシュバックがあるとか、宝くじがもらえるとか、いろいろな仕組みを作り、なるべくクレジットカードで払わすように誘導し、それが習慣化しました。
日本もキャッシュレスの方向にあり、政策として、2割を4割に上げていこうというのが当面の課題です。
どんな点がハードルかとういと、お店で使えるかどうかわからない。ある店では現金だけとかありますから、どうしてもまだ両方持たないといけないです」
メリットがたくさん
ではキャッシュレスのメリットは何でしょう。
家森先生「メリットは消費者からいうと、わざわざ現金を引き出すためにATMに並ばなくていい、現金を落とすという心配がない。
お店の立場では、お金の勘定はすごく時間がかかるのが簡単になり、レジの中にお金を置いておくこともしなくていい。小売業者にとっても現金の管理、運搬の手間の削減というメリットがあります。
銀行のATMの機械はすごく高く、常にその中にたくさんのお金を入れておかないといけません。それを減らせます。銀行もどんどん省力化しようとしていて、店頭に現金を持ってこられるとそれを管理する手間がかかるので、なるべく店頭に人が来なくてもいいようにしている点からもメリットがあります」
現金の場合、輸送やATMの維持費がかかります。キャッシュレス化が進めば金融機関にとって大きな経済的メリットがあります。
家森先生「なるべくクレジットカードを使ってもらうと脱税も防げるので国にとってもいい話になります」
多田「いちいち記録が残るからですね。家単位でも記録が残っていると便利ですよね」
家森先生「そのデータを読み込んで何に使ったか一覧表にしてくれるソフトもあります」
また、外国人観光客にとっては両替しなくても済みます。
リスナーツアーで毎年海外へ行く多田も、このメリットを享受しているひとりです。
「最近変わってきたことのひとつは、現金を持っていかなくなりました。つまり、両替するのはほんのちょっとだけ。向こうでの買い物とか支払いは全部クレジットカードです。つまり国と国を超えた時にとてもメリットがありますね」
デメリットも…
では、デメリットは何でしょう?
家森先生「デメリットは、お金が使いやすくなるので金銭感覚がマヒをする。特にクレジットカードはお金を借りていますが、その時はいくらでも買える気がします。
日本でなぜキャッシュレスが進まないかのアンケートをとると、多いのが『お金を使いすぎるのではないか』というものです。
もちろん金融経済教育をしっかりして、家計簿管理をしっかりしていただかないといけません」
他にも透明性が高まりますが、ヘタをするとプライバシーが筒抜けになります。
お店側からすると、電子マネーを読み取る機械を置く必要があり、個人経営の小売り店舗では負担になります。
さらに決済にあたってはカード発行会社や運営会社が手数料をとります。カードでは決済金額の5%程度ほどです。
またクレジットカードの場合、カード会社から実際に送金されるまでしばらく時間がかかります。
さらに先日の北海道胆振東部地震でも話題になりましたが、停電で電気通信網が混乱した時、何も買えなくなるという不安もまだまだあります。
キャッシュレスの今後は?
こうしたメリットもデメリットもある中で、日本では政府も金融機関もキャッシュレス化を進めようとしています。
家森先生「今は私たちは現金もカードも両方持って歩いています。お店も現金のお客さんもいるし、レジにお金も置きながら、さらにカードの対応の設備投資もしないといけないということで、キャッシュレス化を進めることに費用がかかっているのが現実です。
しかし、いろいろメリットがあることと政府が押し進めようとしていることから進んでいくと思います」
多田「メリット、デメリットは比べるとメリットの方が大きいですか」
家森先生「圧倒的に大きいと思います。施策で国が後押しをすることもあり得ると思います。
一方、日本でも多重債務者問題がありましたが、そういう問題が起こらないような対策をしっかりしないといけません」
(みず)
多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N
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2018年10月05日08時14分~抜粋