今後の展示はもうない!?東大博物館「珠玉の昆虫標本」

多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N / カルチャー

東京大学総合研究博物館、いわゆる「東大博物館」では現在「珠玉の昆虫標本」が展示されています。
この展示、後にも先にも今回だけと言う大変貴重な秘蔵コレクションだそうです。

7月25日『多田しげおの気分爽快‼︎』では、東京大学総合研究博物館の矢後勝也先生にお話を伺いました。

東大博物館とは?

東大博物館とはどんな博物館なんでしょう?

「1996年に設置された国内最初の教育研究型の大学博物館です。明治10年創立以来の学術標本が蓄積研究されてます」と矢後先生。

収蔵されている約400万点の標本資料のうち、約70万点が昆虫標本です。
昆虫標本の中には国内最古、江戸時代のものもあります。

「江戸時代も、昆虫を採集して標本にして後世に残そうという、ある意味昆虫学とでも言うんでしょうか。日本は結構高いレベルにあったんですね」と感心する多田しげお。

「これは約200年前の標本です。当時"本草学"という、あらゆる自然物を研究したり集めたりという学問があったのですが、武蔵石壽(むさし・せきじゅ)という本草学者がおりまして、この方が作ったものなんですね」

江戸時代の昆虫標本

「普通、標本というとピンで刺してるイメージがあるんですが、日本独特のというか、武蔵石壽独特の作り方は、ちょっと変わっています。一つずつの半球状のガラス容器に蝶とかハンミョウとかトンボの標本がそれぞれ入っています。約72種の昆虫標本があります」

イメージとしては、綿の上に乗せた昆虫標本に、半球状のガラスでパカッと蓋をした感じです。底は和紙で蓋をしてあります。これが、当時の人が考えた標本が劣化せずに残す最良の方法だったようです。

「特に日本は高温多湿なもので、標本を残すにはあんまりよくない環境なんですね。だから、よくここまで残っていたと。奇跡と言ってもいいんじゃないかと思ってます」

漢字で"虫偏"は全部虫だった

当時標本にされていた昆虫はどんなものがあるのでしょう?

「具体的にはアオスジアゲハ、クロアゲハ、ハンミョウ、それからギンヤンマなんてのがあるんですが、面白いことに、昆虫以外にもカニですとかクモ。それからコウモリ、トカゲなんてのも入ってるんですね」

これはどういうことかと言うと漢字で書くとわかります。
蟹(カニ)、蜘蛛(クモ)、蝙蝠(コウモリ)、蜥蜴(トカゲ)。全部、虫偏がつきます。

「動く小さい生き物は、みんな虫と言う認識だったんでしょうね。当時の人が昆虫として認識していた範囲の広さがわかる貴重な資料だとも言えますね」

コウモリの標本まであるのは、そういう理由だそうです。

「同じようにガラス容器に封じ込められて、残されてます」

これは是非、見学してみたいものです。

幻の蝶の標本もある

国内最古の昆虫標本に加えて、2011年にブータン王国で採集した矢後先生自慢の標本もあるそうです。

「2011年にブータンと日本との共同調査隊が組織されました。これによって約80年ぶりに再発見されたブータンシボリアゲハという蝶がいるんですが、この標本も合わせて展示してます」

ブータンシボリアゲハは、1933年と1934年にブータン東部の谷で発見されて、5匹の標本がイギリスの大英自然史博物館にあるだけで、それ以降一切の報告がなく、研究者の間では「幻の蝶」と言われていました。
この貴重な蝶が日本で展示されているのです。

友好の証として

「そういう蝶がいるという噂がありまして、私の他、研究者6名がブータン政府との共同調査隊で入って、再発見することができました。ただ、この時は標本の持ち出し許可が出なかったんですね」

ブータンは世界屈指の環境立国であるため、持ち出しは簡単にはいきません。観光客の受け入れも自然保護の観点から制限している国です。

「ところがちょうど同じ年に、ブータン国王陛下が国賓で来日されました。その時にブータンと日本との友好の証として、さらには同年起こった東日本大震災の復興への願いを込めてという理由で、日本側の調査隊に贈呈くださったという経緯があります」

贈呈にあたっては赤坂迎賓館でセレモニーがあり、国王の側近の方から受け取ったそうです。

今回がラストチャンス

「江戸時代の国内最古とされる昆虫標本がズラーっと並んでいる、その端っこに、僕が作った珍しい標本も並んでるよ、というわけですね?」と言う多田に「まあ、そういうことですね」と照れる矢後先生。

実はこの国内最古とされる昆虫標本、今後一般公開はされないようです。

「普段は展示するのもはばかられるようなもので、それこそ文化財級なものなんです。標本というのは展示すると痛む部分もありますので、なるべく短い期間で痛まないように今回展示しています」

何回も展示できるものではないということで、今回が見ることのできる最後のチャンスかもしれません。展示は10月14日まで行われています。

「ぜひ、この機会をお見逃しなく、こどもから大人までご来館いただき、楽しんでいただけると嬉しいです」
(尾関)
 
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2018年07月25日08時15分~抜粋

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