『多田しげおの気分爽快!!朝からP・O・N』では、3ヵ月に1回ほどの割合で「シリーズ・脳の不思議」と題し、自然科学研究機構・生理学研究所の教授、柿木隆介先生にお話を伺っています。
しかし7/20は、ここ最近の異様な暑さを受ける形で、緊急企画として「熱中症になぜなるのか?なぜこの対処法が良いのか?それは全て脳が司っているから!」というレクチャーをして頂くことになりました。
お相手は、パーソナリティの多田しげおと、アシスタントの山内彩加アナウンサーです。
熱中症になったら、とにかく脳を助けよう!
暑さを感じるのは変温動物だから
柿木先生には元々、この日から北海道へ避暑旅行に行く予定のところを、出発前の時間にムリヤリ出演してもらったほどの緊急企画です。涼む前に一汗かいて頂きましょう。
さて、人が暑さを感じるメカニズムはどうなっているのでしょう?
ヒトを含む哺乳類や鳥類は、体温がある程度一定している「恒温動物」。爬虫類・両生類・魚類・昆虫などは体温が変化する「変温動物」。この分け方は皆さんもご存知でしょう。
(例外もあります)
人間なら36~37℃ぐらいが普通で、外気の影響でそれ以上の体温になると暑さを感じます。変温動物は暑さや寒さは感じないだろうと思われます。
恒温動物は暑さに対してとても鋭敏に反応します。鋭敏というと聞こえは良いですが、実は弱いということで、ちょっとした変化で暑さを感じてしまうということです。
では、どこで感じるかと言うと、皮膚。特に手(指)と足が一番鋭敏なんだそう。続いて顔。ここら辺は外気温のセンサーなのです。
女性が日焼け止めで手袋をするのは、体温調節にとっては良くないことなんだそうです。日焼け防止にはもちろん良いのですが。
さて、人が暑さを感じるメカニズムはどうなっているのでしょう?
ヒトを含む哺乳類や鳥類は、体温がある程度一定している「
(例外もあります)
人間なら36~37℃ぐらいが普通で、
恒温動物は暑さに対してとても鋭敏に反応します。
では、どこで感じるかと言うと、皮膚。特に手(指)
女性が日焼け止めで手袋をするのは、
自意識と無意識が働く
そうやって皮膚が外気を感じ取って「これは体温を上げてしまいそうだ」という情報が脊髄を通り脳に行き、そこから温度中枢へ着いて「いま暑いぞ、何とかしろ」という指令が下ります。
この経路がメインで、そこで我々は暑いなと感じて、涼しいところに行ったり冷たい物を飲んだりするのです。自分で意識して行動するんですね。
そしてもう1つの経路が、無意識に行われる作業です。皮膚から感じ取り、脳を通って自律神経にたどり着きます。これで勝手に身体が体温を一定に保とうとするのです。
例えば、汗をかく。体温を下げるために重要な行為ですが、これは自分でかこうとしてもできません。自律神経が勝手に働くのです。
寒い時の例で言えば、ブルブルッと震えることがそう。筋肉を震わせて熱を作り、体温を上昇させるのです。
この2つの経路が頑張って、体温調節が行われているのでした。
この経路がメインで、そこで我々は暑いなと感じて、
そしてもう1つの経路が、無意識に行われる作業です。
例えば、汗をかく。体温を下げるために重要な行為ですが、
寒い時の例で言えば、ブルブルッと震えることがそう。
この2つの経路が頑張って、体温調節が行われているのでした。
トップ(脳)が壊れりゃ部下は全滅
ところが、熱中症が全てをぶち壊します。
熱中症の最初の症状は「ボーッとする・クラクラする・めまい・吐き気・失神」などです。
なぜこうなるのか?
それは、体温を下げる方法として「汗をかく」他に、もう1つ「皮膚の血管を広げる」というのがあるからです。
結局は血液が熱いから暑く感じるので、なるべく外気に触れて放熱できるように血管が広がるんですね。そうすると、血液が皮膚の方へ一気に流れてきます。となれば、脳に行く血液が急速に少なくなります。
あと、ホースの口をギュッと細めると水は勢いよく出て、逆に緩めると水流が弱まりますね。あれと同じで、血管が緩まって血圧が下がるのです。
血液の量は減るわ、血圧は下がるわで、急激に脳の血が足らなくなってしまう。だからボーッとするし、脳内の体温調節中枢も働かなくなってしまい、「涼しい場所に避難する・冷たい水を飲む」という判断ができないということに。
脳は自律神経にも指令を与えるので、脳がダメになると暴走してしまい、汗が止まらなくなります。猛烈に噴出します。ミネラルがどんどん排出されてしまいます。筋肉のけいれんが起こります。「ミネラルを摂れ!」という命令も脳はもうできません。
司令塔が壊れてしまうと、自分で意識してやるのもダメだし、自律神経がうまく働いてもくれなくなるという、コントロールの利かない体内になってしまうのでした。
ちなみに、汗が止まらないうちはまだ「体温を下げよう」という姿勢が残っているのでいいですが、汗が止まるといよいよ危険なんだとか。
熱中症の最初の症状は「ボーッとする・クラクラする・めまい・吐き気・失神」などです。
なぜこうなるのか?
それは、体温を下げる方法として「汗をかく」他に、もう1つ「皮膚の血管を広げる」というのがあるからです。
結局は血液が熱いから暑く感じるので、なるべく外気に触れて放熱できるように血管が広がるんですね。そうすると、血液が皮膚の方へ一気に流れてきます。となれば、脳に行く血液が急速に少なくなります。
あと、ホースの口をギュッと細めると水は勢いよく出て、逆に緩めると水流が弱まりますね。あれと同じで、血管が緩まって血圧が下がるのです。
血液の量は減るわ、血圧は下がるわで、急激に脳の血が足らなくなってしまう。だからボーッとするし、脳内の体温調節中枢も働かなくなってしまい、「涼しい場所に避難する・冷たい水を飲む」という判断ができないということに。
脳は自律神経にも指令を与えるので、脳がダメになると暴走してしまい、汗が止まらなくなります。猛烈に噴出します。ミネラルがどんどん排出されてしまいます。筋肉のけいれんが起こります。「ミネラルを摂れ!」という命令も脳はもうできません。
司令塔が壊れてしまうと、自分で意識してやるのもダメだし、自律神経がうまく働いてもくれなくなるという、コントロールの利かない体内になってしまうのでした。
ちなみに、汗が止まらないうちはまだ「体温を下げよう」という姿勢が残っているのでいいですが、汗が止まるといよいよ危険なんだとか。
みんなで“脳ヒエ”
そんなわけで、熱中症への対処はとにかく、脳を回復させること。
「首の頸動脈や脇の下を冷やせ」と言われるのは、脳に冷やした血液を急速に送るためなのです。直接頭やおでこを冷やすのも良いですが、毛細血管は血液の量が少ないので効率が悪いんですね。ドクンドクンと流れる太い動脈を冷やすのが一番効果的だということです。
熱中症の初期段階で一番気を付けてほしいことを、柿木先生がリスナーに訴えます。
「初期段階は頭がボーッとしてるから、自分の判断力がなくなってるんですよ。作業をしてる時に周囲からはどう見てもダメそうなのに、本人は自覚してないから本能的に作業を続けたりするんですよ。で、そのまま倒れちゃう。
だから、周りの人が気を付けて、特にこどもと高齢者の場合はちょっと変だと思ったら、本人がいくら大丈夫だと言ってもムリヤリ涼しいところに連れて行くのが大事です」
それと、緊急対処で一番大事なのは、水分補給よりもとにかく身体を冷やす(=脳を冷やす)ことなんだそう。場合によっては水風呂に叩き込んでもいいぐらいなんだとか。
「頭を冷やす」というのは、精神的だけじゃなく肉体的にも大切なんですね。
熱弁をふるった柿木先生。この後は身体全体をしっかり冷やしに、北海道へ向かうのでした。
(岡戸孝宏)
「首の頸動脈や脇の下を冷やせ」と言われるのは、脳に冷やした血液を急速に送るためなのです。直接頭やおでこを冷やすのも良いですが、毛細血管は血液の量が少ないので効率が悪いんですね。ドクンドクンと流れる太い動脈を冷やすのが一番効果的だということです。
熱中症の初期段階で一番気を付けてほしいことを、柿木先生がリスナーに訴えます。
「初期段階は頭がボーッとしてるから、自分の判断力がなくなってるんですよ。作業をしてる時に周囲からはどう見てもダメそうなのに、本人は自覚してないから本能的に作業を続けたりするんですよ。で、そのまま倒れちゃう。
だから、周りの人が気を付けて、特にこどもと高齢者の場合はちょっと変だと思ったら、本人がいくら大丈夫だと言ってもムリヤリ涼しいところに連れて行くのが大事です」
それと、緊急対処で一番大事なのは、水分補給よりもとにかく身体を冷やす(=脳を冷やす)ことなんだそう。場合によっては水風呂に叩き込んでもいいぐらいなんだとか。
「頭を冷やす」というのは、精神的だけじゃなく肉体的にも大切なんですね。
熱弁をふるった柿木先生。この後は身体全体をしっかり冷やしに、北海道へ向かうのでした。
(岡戸孝宏)
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