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気象予報士沢朋宏アナウンサー、アメダスについて大いに語る

6月12日、群馬県館林市に設置された気象庁の地域気象観測システム「アメダス」が北西に2キロほど移転しました。
岐阜県多治見市や埼玉県熊谷市などと「日本一暑い街」を争う館林ですが、以前の場所は暑くなりやすいといわれ一部では「ズル林」とも言われていたそうです。

20日の『多田しげおの気分爽快‼︎』では、このアメダスの移転について、気象予報士の沢朋宏アナウンサーに聞きました。

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アメダス基礎知識

気象観測というと学校にある白い百葉箱のイメージですが、そもそもアメダスはどんな形なんでしょう?

「広さで言うと、5~6メートル四方ぐらいの敷地に、4つか5つぐらいの機械がパラパラって置かれている、それがアメダスです。雨量、気温、湿度、気圧、日照量、風向、風速のデータを集めるタイプが一番多くて、全国で800カ所ほど設置されています」

実はアメダスはひとつの観測機器の名前ではなく、いろんな観測機器が設置してあるエリアの名前なんです。
人が入って観測結果が変わったり、機械を壊されてるすることがないように金網などで囲われています。

「故意に壊した場合は懲役3年以下、もしくは100万円以下の罰金と気象業務法で定められています。うわ~アメダスだ、と言って安易に近づかない方がいいです」

アメダスの値段は?

こういった機器は総額いくらなんですか?

「公表はされてないんですけど、おそらく数千万円になるでしょうね。例えば、温度計は100円ショップで売っていますが、アメダスに使われる温度計は、気象庁の定める厳しい検定を通らなければいけません。温度計だけでだいたい20万円ぐらいします」

降水量を測る雨量計は30~40万。さらに気象を計る機械とは別に、有線で東京の気象庁へデータを送る機械も必要です。

「例えば1時間に1回とか、10分に1回というものもあったりしますが、一番細いものは風速。0.25秒に1回計測してるんですよ。1秒に4回。それを計測するごとに東京へ送る。東京には常時、全国のいろんな気象データがずーっと集まっています」

それをコンピューターで解析して、気象情報、天気予報、災害情報などを出すということになります。

全国に何箇所ある?

雨量、気温などのデータを集めるタイプが全国で800カ所ということですが、その他のタイプも合わせるとだいたい1,500から1,700ぐらいあるというアメダス。

20キロよりちょっと狭い間隔で配置されていおり、一つのアメダスから、どっちかの方向に少なくとも20キロ歩けば、また一個見つかるはず、というぐらい網の目のように設置されています。

「全国のアメダス津々浦々を、フェンスの外から写真を撮ってホームページを作っている趣味の方もいます。正直な話、仕事として見ている私たちからすると、全部同じ機械やなと思うんですけど、こんなところに置かれてるんだ、というのが好きなんでしょうね」

アメダスを設置する場所は?

アメダスの設置位置に基準はあるんでしょうか?

「緩い基準が設けられていて、5メートルもしくは6メートル四方、すなわち30平方メートルぐらいの土地で、下はアスファルトなどではなく、できれば芝生など。理由は地面からの跳ね返りや反射を防ぐためです。そういう場所をキープしなければならない」

また建物が密集しているところでは風が正確に測れないのでダメなど。館林の場合は消防署の駐車場に設置されていました。そこだけアスファルトが5×6メートル分剥がしてありましたが、気温が上がりやすいのでは?と言われ、「ズル林」と呼ばれる所以になっていました。

理想の観測場所とは?

「ここから先が、議論が分かれるところです。アメダスがあるのは館林の街の中心部。そこそこの人口の街の中心部で、今どき緑が露出してる場所ってあるか?ということ」

東京、大阪、名古屋のど真ん中なんてまずありません。

「名古屋のアメダスはどこにあるかというと、名古屋の地方気象台、千種区日和山。高級住宅街の山のてっぺんでしょ。あれが栄と同じとは思えません。

気象学として考えて、緯度経度や標高で見た名古屋という土地を探るには、あの千種区日和山がベストなんでしょうけど、市民生活としての社会学で考えると、日和山と栄のコンクリートジャングルの中では、ちゃうやろっていうのは、ちょっとあるんですよ」

自説を展開する沢アナウンサー。

東京のアメダスも大手町から皇居の北の丸に移動しました。
それによって東京の平均気温が0.何度か下がったと言われています。皇居の北の丸の気温が新宿や渋谷を表してるかというと「?」がつきます。

アスファルトに置かれている方が実生活の気温という考えもあれば、人為的なものを排除しようという考え方もあります。

「これはいろんな考え方がありますから、いつまでたっても結論は出ないと思います」

設置場所が変わる理由

今回の館林のアメダスの移転理由は、周りがアスファルトだからではなく、単に消防署の引っ越しのためでした。こいうことが起きると観測機器も移動せざるを得ません。

実は、アメダスが設置されている場所は気象庁が持っている土地ではなく、個人の土地ということがよくあるそうです。

「毎年6月1日は気象記念日。あの日に何が行われるかというと、気象庁本庁で式典が行われていて、表彰を受ける人の一部は、長年、アメダスを置いてくれてありがとうという表彰なんです」

引っ越しや土地の所有者が変わってアメダスの場所を変えなければならないと、今までのデータの継続性が失われてしまうので、非常にやっかいなんだそうです。

アメダスはつらいよ

さて、館林のアメダスは新しくどこに設置したかというと、移転する可能性がない公的機関ということで館林高校の敷地内に移動しました。

学校が移転することはありませんが、東海地方でこんな出来事がありました。

「ある高校の敷地内に置かれていたアメダスの雨量計の上に、隣にあった卒業生が植えた記念植樹の枝ぶりが立派になりすぎて、覆いかぶさっていたんです。交渉の結果、これは記念植樹なんで切れませんと高校に言われて、アメダスが引っ越しました。
アメダスには結構、ドラマがあります」
(尾関)
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2018年06月20日07時20分~抜粋

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