多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N

本当は早食い・大食いの料理じゃなかった? わんこそばの意外なルーツ

6/7放送の『多田しげおの気分爽快!!朝からP・O・N』では、岩手県の名物料理「わんこそば」について取り上げました。
給仕の人が1人付き、後ろの方からお椀に蕎麦を一口分ずつサッと入れてくれる。食べたらまたサッと入れてくれる。食べたらまたサッと…という、独特の食べ方をする、あのわんこそばです。

花巻市にあるわんこそば店「やぶ屋」のご主人、堀合さんに電話で話を伺いました。
やぶ屋は創業大正12年(1923年)。今年で95年となる老舗です。

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わんこそばの起源とは?

そもそも、この独特の食べ方は、どうやって始まったのでしょう?

それは今からおよそ400年前の慶長時代にまで遡ります。
南部藩(現在の青森から岩手辺りを治めた藩)の藩主が江戸に上がる途中、花巻城に立ち寄ることになりました。

堀合さん「当時の花巻はすごく寒く、痩せた土地でしたので、お米が穫れなかったんです。そこで、郷土料理である蕎麦でお殿様対しておもてなしをしようと考えまして。
ただ、通常の丼でお出しするのはお殿に失礼ではないかということで、漆器のお椀に入れまして。また、お殿様が蕎麦を嫌いだったらそれも失礼に当たるので、少量の蕎麦を恐る恐る差し出したんですね」

するとその藩主・南部利直は蕎麦の味を大変気に入り、何杯も何杯もおかわりをしたといい、これがわんこそばの始まりとなったのでした。

岩手の方言では、お茶を「お茶っこ」というように語尾に「こ」を付けるそうで、「お椀こ蕎麦→わんこそば」と称されるようになったとか。

元々はお殿様をもてなすための給仕法だったんですね。

ちなみにわんこそばには、この“花巻起源説”の他に、「かつてこの地方には、祭事などの時に大勢に蕎麦を振る舞う風習があり、全ての人に行き渡るため蕎麦を小分けしていたことから」という、“盛岡起源説”もあるようです。

わんこそば1杯でどのくらい?

一口分ずつ入れてくるわんこそば。大体何回食べれば普通の蕎麦1杯分になるのでしょう?

堀合さん「ウチ(やぶ屋)は、わんこそば10杯で、かけそば1杯と数えております」

当然、店によって分量の違いがあるため、基準はまちまちです。ここでは、やぶ屋での話として進めていきましょう。

普通のお客さんは何杯くらい食べるものですか?

堀合さん「大体、女性の方が平均で3、40杯。男性の方は平均で5、60杯です」

つまり、普通のかけそばで換算すると、女性が丼3、4杯、男性が5、6杯食べていることになります。

ところで、やぶ屋では年に1回「元祖わんこそば全日本大会」が開催されています。一般客がそのくらいなら、大会優勝者クラスだと一体何杯になるのでしょう?

堀合さん「今までの歴代記録は、258杯。これは制限時間5分間で食べられました。1秒ちょっとでずっと噛まずに飲み込んでいくんです」

たった5分の間に丼25、6杯分を平らげるとは。驚異の一言です。

薬味の域を超えている!

「わんこそばをゆっくり食べてみたいんだけど、急かされるから無理だろう」と思っている方々。安心してください。

堀合さん「本来のわんこそばの食べ方は、お殿様への花巻流のおもてなしなので、コミュニケーションを取りながらゆっくり1杯ずつ味わって頂くのも、楽しみ方のひとつです」

大会の競技のイメージが強いことから、早食い・大食いが前提に思われがちですが、普段はそんな食べ方はしません。いろんな種類の薬味が少しずつ出てくるので、1杯ずつ味を変えながらじっくり楽しめるのだそうです。
ネギやもみじおろしなどの定番ものから、筋子や塩辛、マグロの刺身など、もはや薬味の域を超えた変わり種も付いてくるんだとか。
(これはやぶ屋の場合で、店によって違います)

ちなみに、食事を終えたい時に、お椀の蕎麦を全部食べてから蓋をするというルールは、早食いでもゆっくりでも共通だそうですよ。

特別な郷土料理

「名物は意外と地元民が口にしない」とよく言われますが、わんこそばの場合はどうでしょう?

普段からわんこそばを食べているわけではないものの、特別な時に食べることが多いそうです。
例えば、「歳の数だけ食べると長生きができる」と言われていたので“年越しわんこそば”を食べるとか。
親戚や知人が花巻に来た時は、みんなでわんこそばを食べに行くとか。
小学校のこども会のイベントで食べるとか。

もし花巻を訪れた時、地元の人からわんこそばに誘われたら、それは「殿様のようにもてなされている」ということなのです。

このように、フードファイター的要素だけでなく、グルメとしても味わえるわんこそば。皆さんもぜひ楽しんでみてはいかがでしょうか。
(岡戸孝宏)
多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N
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2018年06月07日07時40分~抜粋

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