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大韓航空経営者一族へ抗議殺到!それでも韓国財閥が変われない理由

韓国の巨大財閥のひとつ・韓進(ハンジン)グループ傘下の大韓航空をめぐり、パワハラをはじめ様々な問題が取り上げられています。

日本では事情がつかみづらい韓国の財閥。その成り立ちや現在の問題までをCBC論説室の石塚元章特別解説委員がわかりやすく解説します。

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韓進グループめぐる動き

韓国の巨大財閥のひとつに韓進(ハンジン)というグループがあります。その傘下にあるのが大韓航空。2014年、当時、大韓航空副社長だった韓進グループ会長の長女が、ナッツの出し方が悪いと怒り、離陸を始めていた飛行機を引き返させた「ナッツリターン事件」がありました。

今年の3月には、大韓航空専務だった韓進グループ会長の次女が、会議の出席者に向けてコップの水をかけたという事件がありました。これらの事件から長女が「ナッツ姫」、次女が「水かけ姫」と呼ばれています。

4月には、今度はナッツ姫と水かけ姫のお母さん、つまり韓進グループの会長の妻が建築現場で起こした暴行事件の動画が公開され、立件されています。5月4日には、同族経営に対する批判や会長の退陣を求める社員らの抗議集会が行われました。

同族経営による弊害であり、忠節が重んじられる韓国では、従業員が表立って経営者を批判するのは異例のことだそうです。

韓国は財閥が支配する

「実は財閥の数はすごく多いんですが、よく言われるのがサムスン、ヒュンダイ(現代自動車)、SK、LG、ロッテ。これらが総資産でいうとトップ5と言われています」と石塚。

韓国企業全体の利益の何割かを、この五大財閥、または十大財閥で占めているそうです。

さらに、韓国の社会風土として、五大財閥、十大財閥に就職できるか否かで、その後の生活が天と地の差になるといいます。こういう財閥は、そもそもいつ頃出来上がったんでしょうか。

「漢江の奇跡」の功罪

韓国は第二次世界大戦が終わった後、朝鮮戦争をしています。この時に、朝鮮半島が疲弊と混乱に見舞われました。何とかして経済を立て直さなければいけない韓国と北朝鮮。実は、最初のうちは北朝鮮の方が景気が良いぐらいだったそうです。

「韓国政府は手っ取り早い経済復興のために、一部のなんとかなりそうな企業をバックアップしました。例えば、日韓の条約で日本からもらったお金も、特定の企業グループに注ぎ込むという形で、国を挙げて育てたところがあるんです」

これが政治との癒着のスタートでもありましたが、韓国で「漢江(ハンガン)の奇跡」と言われるように、1960年代後半からあっという間に北朝鮮を抜いて、先進国の仲間入りをしました。

「韓国政府の最初の発想は、ある程度は功を奏した。だけど一方で、その時に特権みたいなものも財閥は手に入れていくわけです」

通貨危機で財閥再編

1997年、アジア通貨危機が起こりました。
タイでバーツが暴落し、投資家たちも引き上げていきました。タイを中心にアジア各国で急激な通貨下落が起きました。タイ、インドネシア、韓国が経済に大打撃を受け、IMF( 国際通貨基金)の管理下に入ります。

「韓国の落ち込んだ景気を何とかしようと、たくさんあった財閥を解体したり、再編したりして淘汰するわけですね。だから1997年以降の財閥は、それ以前とは生まれ変わって力を身につけたんです」

それが現在の五大財閥、十大財閥と言われているものです。

三代目はダメ?

「日本でもね、三代目はいかんとよく言います。二代目は、お父さんの苦労を見てるけど、三代目はほとんど見ていない」

こう言う石塚特別解説委員に、パーソナリティの多田しげおも納得します。

多田「逆に三代目がしっかりしてれば安泰。例えば徳川家光とかね」
石塚「古いとこいきますね」
多田「ところが三代目は産まれた時からお金持ち。周りを見下して育ってきてるから、機嫌が悪いと飛行機を戻せになるわけですよね」
石塚「韓国の財閥の大きな特徴は、同族、一族による経営なんです」

各財閥はそれぞれ、極端に内輪で固まるように、あの手この手を使って、複雑に株を持ち合っています。その気になれば、自分たちで全部抱え込めるというシステムを作り上げているわけです。

いつものパターン

「ダメな経営者ばかりとは言いませんが、各財閥に三代目が出て来て、いろんなところでクエスチョンマークがついてきている。韓国の経済を引っ張ってきた財閥がこういう状況だと、これからの韓国経済はどうなの?」と多田。

「韓国は財閥に頼りすぎてるというところがあって、大統領が変わるたびに、これ何とかしなきゃいけないっていうのを掲げるんですが、必ずうまくいかない。やっぱり財閥に頼らないと韓国の経済ダメだよねって途中からなっちゃうわけです。
いっぱい裁判になってる財閥のトップがいますけど、この人たちも有罪になるんですよ。で、最高裁までいって、最終的に刑が確定したとこで、恩赦になったり、特赦になったりして出てきちゃうんですよ」

石塚特別解説委員によれば、韓国ではこれが「普通のパターン」だそうです。

構造改革が必要?

今まで、韓国の経済は中国に物を売る、または付加価値のついた物を作りすぎた日本に反して、もっと安い物を作ってアジアに売る、ということで成功してきました。しかし、最近ではこの流れが変わり始めています。

中国は景気が悪くなって韓国の物を買わなくなりました。むしろ中国がどんどん売るようになってきました。日本の付加価値のついた物も、また見直されて成功するようになっています。

「韓国が疲弊してきているのは、これまでの条件と違ってきていること。結局は構造改革しないとダメ。財閥頼みじゃダメだよねってなっているんですが、それが果たして、うまくいくのかどうか」

不満はあるけど

「財閥に入るか否かで物凄い格差社会なんでしょ?そんな不満をみんな持ってるし、ひょっとしたら、今回突き上げで、何か変わるかもしれませんね」と期待する多田。

「それが韓国の難しいとこなんですよ。デモとかして不満を言いますね。『あいつらよりも、僕らは貧しいじゃないか』と親は不満なんですが、自分のこどもには『お前、頑張って財閥に入れ』。これが今の韓国なんです」

不満だけども、結局良いとこ(財閥)に入れればいい、というのが韓国の社会風土。

「そこを根本から変えていくのが非常に難しいと言われています」

岐路に立っている韓国の財閥はどうなっていくのでしょうか。 
(尾関)
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2018年05月09日07時19分~抜粋

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