愛知県大府市の国立長寿医療研究センターでは、認知症の予防に「コグニサイズ」という運動を開発しました。
「コグニサイズ」とは「コグニッション(認知)」と「エクササイズ(運動)」を組み合わせた造語で、例えばウォーキング、ジョギング、水泳といった有酸素運動をしながら頭の中で引き算などをして、運動中に頭を使うことで、認知症を防ごうというものです。
3月30日放送の『多田しげおの気分爽快!!』では、この「コグニサイズ」考案した愛知県大府市の国立長寿医療研究センター室長の土井剛彦さんにお話を伺いました。
認知症とは?
そもそも認知症とは何でしょう。
土井「認知機能とよばれる頭の働きが、著しく低下した状態です。日常生活、社会生活に支障が出て初めて認知症と言われるようになります」
認知症の初期にはどういう症状が見られるのでしょう?
土井「日常の生活で失敗が増えてきたり、前はできていたのに、できないことが増えてくる。よくあるのは、自分で買い物に行って、冷蔵庫の中に同じものがたくさんあるがそれに気づかない。そういったことが起こります。
料理だと火を止めるのを忘れてしまったり、よく焦がしてしまう、味付けが変わる、そういったことから徐々に始まると言われています」
自分では気づけないのでしょうか。
土井「ご家族から見た方がより気づきやすいです。自分自身の感覚だけでは認知症かどうかの判断は非常に難しいですね」
認知症が起こると、二つのことが同時にできないそうですね。
土井「はい、例えば料理も常に二つ以上のことを考えながらやっています。車の運転も同じです。そういった日々二つ以上のことを処理することがありますが、それが難しくなります」
コグニサイズとは?
認知症の発症や進行を遅らせるには非常に効果的だと注目されている「コグニサイズ」、どういうものですか?
土井「コグニサイズは造語ですが、簡単に言うと頭を使いながら運動をすることを言います」
これは意外に難しいですよね。
土井「間違えても問題ないです。完璧にやることより、むしろ間違うくらいのものを、続けてやってもらうことが大事です」
しりとりしながらウォーキング
具体的にはどんなことをすればいいんですか?
土井「例えばウォーキングしながら誰かと二人でしりとりをする。あるいは、積極的にお話して頭を使ってもらう。歩くことと話すこと、どちらかが止まることが多いので、どちらも一生懸命やっていただくといいです」
大府市の保険センターにコグニサイズをするための運動機器として「コグニバイク」が設置されて、年齢の高い方に人気だそうですね。
土井「コグニバイクとは据え置き型の自転車です。それを漕ぎながら頭を使ってもらえるようにと、開発しました。
自転車のハンドルに大きなモニターがあって、そこに問題が出ます。覚えてくださいという課題とか、間違い探しとか、そういったものが次々と出る。これを漕ぎながらやっていただきます」
問題に夢中になって漕ぐのをついやめてしまうということはありませんか?
土井「慣れないうちは漕ぐのをやめたり、問題に追いつけなかったりします。慣れるとちょうどいい具合にできるようになります」
ちょっとキツイくらいの運動
このコグニサイズ、運動のレベルとしてはどの程度ですか?
土井「目安としてはちょっとキツイなというくらいの運動がいいです。もともと『コグニバイク』ができた経緯としては、強めの運動ができる人はいいですが、膝が痛いなどでそれは難しい、自転車漕ぎくらいならできるという人は多いです。また、ディサービスに据え置き型の自転車はたくさんあるので、そういったものを有効的に使えるようにと作りました。コグニバイクのいいところは、漕ぐ強さ、負荷を変えることができます。問題も徐々に難しくできます」
外へ出て、人と交わる
二つのことを同時にやることが、認知症の予防になぜいいのですか?
土井「同時にやるには、注意を適切に払って、それぞれを処理しないといけない、これは認知機能を非常に使います。そういったところが落ちてきたら認知症の可能性が高いですし、逆にそういったところを鍛えることで認知機能をしっかり保っていきます。
また外出が減ると、身体を動かすことも減ってきます。コグニバイクもそうですが、人の集まりにしっかり出て、身体も動かしお話もし、しっかり人と交流するのが、認知症予防の一歩目となります」
国立長寿医療研究センターは日本トップレベルの研究センターだそうです。新しく生まれた「コグニサイズ」は期待ができそうですね。
(みず)
多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N
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2018年03月30日08時14分~抜粋