いい匂いでも臭いニオイでも、ずっと嗅いでいると慣れてしまってニオイを感じなくなります。
目ならずっと見てても見えなくなることはないし、音もいつまでも聞こえています。なぜニオイはなくなったように感じるのでしょうか。
そこで3月20日の「早川敦子のそぼQ」で取り上げたテーマは「同じニオイをしばらく嗅いでいくと鼻がバカになるのはナゼ?」です。
早川敦子が取材した結果をパーソナリティの多田しげおにプレゼンします。
同じニオイを嗅いでいると"鼻がバカになる"のはなぜ?
街の声さまざま
まず街頭で尋ねた皆さんの声をご紹介します。
・鼻が慣れるから
・そのニオイに鼻がマヒするから
・鼻の中のニオイを感じるところがニオイの粒子で埋まってしまうから など。
皆さんはどう思われますか?
今回この謎について、名古屋市立大学病院 耳鼻咽喉科教授の鈴木元彦先生に伺いました。
ニオイは1~2分まで
一般的に「鼻がバカになる」とは医学的にどういう現象なんでしょう?
「あるニオイを一定期間嗅いでいると臭わなくなる現象で、"順応"といいます。
すべてのニオイに対して同じことが起きます。同じニオイをずっと同じ強さで感じることは、人間には不可能になっています。
個人差があると思いますが、だいたい1分間から2分くらいすると、そのニオイはなくなってしまいます」(鈴木先生)
鼻でなく、脳の問題
ニオイを感じなくなる時、身体の中ではどのようなことが起こっているのでしょう?
「鼻のニオイの細胞が刺激されても、脳でそれを受け入れない形になっています。鼻自体は機能しています。別のニオイが入ってくれば瞬時にわかります」(鈴木先生)
早川「鼻のニオイを感じ取る機能はずっと働いているけど、脳がもうその情報の受け取りを拒否しているのですね」
多田「臭いから拒否ではなくて、いい匂いでももういいわーとなるのですね」
外敵から身を守れ!
では、なぜ脳は情報の受け取りを拒否するのでしょうか。
「外敵から身を守るために必要だからです。人間が昔、非常に弱い立場の時に、ニオイがずっとこもっていると、外敵が来た時にわからずに食べられてしまいます。ニオイが時間とともになくなって、新しいニオイを嗅げるようになることは役立つことなのです」(鈴木先生)
多田「このニオイを感じたあいつがいるとわかったら、もうその情報はいい。次のニオイに備えようということなんですね」
早川「人間が野生だったころの名残りです」
嗅覚の不思議
嗅覚の不思議は他にもあるんですか?
「ニオイは非常に記憶と結びついています」(鈴木先生)
多田は「若い頃に憧れていた女性のほのかな香水の香りとか覚えていて、歳とってから街を歩いていてふっと同じ香りを嗅ぐと、きょろきょろと探してしまうものね。あ、この匂い!香りの記憶ってええもんやなー」とひとり感傷に浸ります。
早川は「脳の中の記憶をつかさどる場所と、ニオイを感じる回路が非常に近い場所にあるからだそうです」と理論的に説明します。
今週のまとめ
さて、お楽しみの早川の今週のまとめです。
早川「今日は、上から読んでも下から読んでも同じ、回文でまとめました。
もともとは外敵から身を守るための機能だということで、
“よう鬼 臭うよ(ようおに におうよ)”」
今週のMVPです(月曜の「スポーツ川柳」風に)。
(みず)
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