多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N

がん治療の病院に増えている「精神腫瘍科」とは?

日本各地のがん治療の拠点病院では、精神腫瘍"を扱う「精神腫瘍科」を設置する病院が増えています。

3月19日の『多田しげおの気分爽快!!』では、この「精神腫瘍」を取り上げました。
精神腫瘍、精神腫瘍科について、愛知県がんセンターの精神腫瘍科部長の小森康永先生にお話を伺いました。
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サイコオンコロジーとは?


がんと診断されると、患者本人は落ち込んだり、不安で眠れなくなることが多いようです。
そういう症状をイメージする言葉として「精神腫瘍」と名付けられました。英語では"サイコオンコロジー(Psycho-Oncology)"と言うんだそうです。

「サイコオンコロジーを簡単に言えば『がん患者さんの心のケアを行う』ということです。心の研究を行う心理学、サイコロジーです。がんの研究をする腫瘍学、オンコロジーの二つを組み合わせて作った造語なんです」(小森先生)

がん患者の心理状態


がんと診断されると患者本人はどんな心理状態になるのでしょうか?

「一番多いのは"不安"です。この先、どうなるのか全くわからないので当然不安になる。その次に多いのは、気分が暗くなる"抑鬱"です。それに次いで多いのが、治療の中で出てくる"譫妄(せんもう)"という症状です」

身体に変調がきたせば、当然脳も影響されます。その時に出る症状のひとつが譫妄です。
譫妄は、認知症の方が時間とか場所の感覚がわからなくなる症状に似ています。この症状は夜、強くなるので、人によっては点滴を抜いてしまうとか、転んでしまうとかの問題が出るそうです。

がんという肉体に対する病気は、心にも大きな影響を与えるんですね。まさに"精神腫瘍"という状況です。

精神腫瘍の治療とは?


最近設置が増えている「精神腫瘍科」はどんな治療を行っているのでしょう?
がんを治療する専門医が、患者に心のケアが必要だと認めた場合に、精神腫瘍科に依頼します。
そこで精神腫瘍科では、具体的にどんなケアを行うのでしょうか?

「まずカルテをしっかり読んで、その患者さんに何が起こっているのかを把握します。依頼してきたドクターからの要望があり、患者さん本人の要望もあり、ご家族の要望もあります。それらが満たされるように、治療なりケアなりをしていきます」

精神腫瘍科というのは心のケア。患者に話を聞いて、それぞれに合ったことをしていくのですが、基本になるのが"この患者は癌に対する正しい知識を持っているかどうか"だそうです。

がん知識の思い込みあるある


患者さんや、ご家族の方の中に、大きな誤解や思い込みがいっぱいあるそうです。がんになった時に使う、ステージ1とかステージ2とかの表現。これを、結構多くの方が間違って認識しているそうです。

「一般の方はステージ分類を時間分類だと思ってるんですね。がん細胞が身体の中にひとつできてから亡くなるまでの間を4つに分けて、それがステージ分類だと思ってるんです。これは全く間違い。ステージ分類っていうのは初診時に、どれだけ身体の中で広がってるかという空間分類なんです。
それを一般の方は時間分類だと誤って認識されて、不必要に病状を暗く考えたりしています。いまネット社会ですから、ご本人もご家族も積極的に調べられるんですね。ところが医学の素養がないと、"木を見て森を見ず"になってしまうんです」

家族は第二の患者


「細かいことは正しいんだけれども、大筋の理解では全然ずれてしまっていて、それがマイナスになってしまうことが、ままあります。そういったことはとっても大事だと思います」

がんに対する正しい知識を持っていないと、自ら不安を増大させてしまいます。そう言ったことを取り除くことも必要です。
これは患者本人だけでなく、家族の方にも必要です。小森先生いわく「家族は第二の患者」だとか。

「家族は第二の患者だというキャッチフレーズの中で、ご家族のストレス状況を理解して、早めに援助をするよう言われます。
ご家族とご本人と、我々医療者が協力して治療を組んでいくことで、ご家族のストレス自体も減らせると思います」
(尾関)
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2018年03月19日07時40分~抜粋

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