多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N

「脳に良い」とされることは、ほとんど効果がなかった!?

3月2日放送の『多田しげおの気分爽快!!』は、脳の研究としては日本トップクラスの自然科学研究機構 生理学研究所(愛知県岡崎市)の教授、柿木隆介先生に伺う、シリーズ「脳の不思議」第28回です。

今回は、その中のプチシリーズで「脳にいいこと悪いこと」の3回目。普段われわれが脳にいいこと、悪いことと思っていても、科学的に何の証明もされてないことがたくさんあるそうです。
今回は、脳にいいと思われているけど、あまり役に立たないことを中心に取り上げました。聞き手は多田しげおです。

検証1 DHAで頭が良くなる

昔から日本人のタンパク質源は魚でした。それでDHAを摂っているから日本人は頭が良い、と言われています。
これについて柿木先生は…

「DHAは悪くはないです。でも、食べたからと言って、急に記憶力が上がるわけではないです。
ひとつの食べ物、サプリを取り上げて、それが本当に何かに効くというのを科学的に証明することはほとんど不可能に近いです」

とやんわりと否定します。

「動物実験ではできます。同じ条件のネズミを30匹ずつ同じケージに入れて同じエサをやって、片方にだけDHAを混ぜ、1年くらい様子を見る。それで差が出るなら科学的な証明になります。
しかし、人間はDHA以外もいっぱい食べています。だから較べようがないです」

検証2 納豆は記憶力を高める

また同じく日本人が古くから口に入れている納豆も、脳に良い食べ物という評価をされることがあります。これについては…

「納豆のパラドックス(逆説)というのがあります。私も納豆は身体にいいとは思います。納豆をいっぱい食べるところは、東北、北海道、北関東です。西の方の人間は納豆を食べなかった。沖縄の人も。
ところが、一番平均寿命が長かったのは昔、沖縄でした。今でも西日本の人たちが平均寿命が高くて、北関東から東北の人が一番短いです」

つまり科学的に統計をとると”納豆を食べれば食べるほど早死にする”となってしまいます。
しかし一方で納豆が健康維持に適した食べ物であることは知られています。これが納豆のパラドックスである、と言う柿木先生。

「ひとつの食べ物が”科学的にこれは身体にいい”とか”記憶力にいい”とか、結論づけるのはほとんど不可能に近いです」

検証3 英才教育は3歳までが効果大

続いて多田が尋ねたのは「英才教育」について。
特に3歳までの教育が重要で、この間に教育に力を入れると能力に差がつくと言われています。

「今は胎児教育から始まっていますね。これも何の証明もないです」

あっさり否定する柿木先生。

「ハッキリ言って、人間、頭がいいかはほとんど遺伝が大きいです。親の遺伝が圧倒的に要素として大きくて、それから環境要因、きちんと勉強できるかどうか。あとは食生活とか生活態度です。その3つでだいたい決まります」

その上で、英才教育の成功事例についてもこう語ります。

「結局、後出しじゃんけんのようなものです。四人兄弟で一人だけ成績が悪ければ、絶対その子の話はしませんから。成功した親、塾の先生だけが言うだけで」

多田も「成功した後からこうだ、と言うわけですね」と同意。

「同じ教育をすれば我が子も優秀になるかなと思いますが、当然個性が違いますから、同じ教育方法でいいわけがないです。奔放で創造性がある子と生真面目できちんとやる子、同じ教育方法で上手くいくはずがないです。だから自由にやらしておけばいいと思います」

多田「その子の個性を見て、そのうちにどこを伸ばしてあげるかぐらいのことですね」

「ただ一つだけ言えるのは”言葉”です。外国語は3歳くらいまでにそこの地域でずっと聞いてやっているとこれはまったく違います。言語だけは3歳児教育、5歳児教育はあり得ると思いますね」

ということで、早い段階での外国語教育は効果がありそうです。

検証4 「脳トレ」は認知症を予防

ここ10年ほどいわゆる「脳トレ」という言葉が一般的になりました。この脳トレ、果たして本当に脳を鍛えることになっているのでしょうか?

「僕は神経内科医で脳科学者です。ずいぶん我々の間でも話題になりましたが、結論から言うと、ほとんどの人は信用していない」

多田「ゲームとして楽しいところはあっても、それによって頭が良くなるかどうかとは関係ない?」

「ないです。脳トレが認知症の予防になるかどうかも相当怪しい話です。ただ、やらないよりやった方がまし、ということは結構世の中にはあって、脳トレもそれです。元気が出るし、モチベーションが高くなります。ただその時脳を動かしたからといって、歳をとって良くはなりませんよね」

多田「あくまでも楽しみですね」

「”認知症が良くなる”というのは、これは言い過ぎで、認知症は症状が出た時はかなり進んでいる状況ですからね。そこで脳トレやったからといってダメでしょうね。でも、遊びとしてやるのはいいと思います」

検証5 利き手じゃない手で脳を活性化

また脳に良いこととして「右利きの人が意識して左手を使うと、脳を活性化する」と言われています。これについて柿木先生。

「あまり信用しない方がいいですね。
一時期『右脳左脳論』というのがあって、左脳が主に言語、右脳が音楽やイマジネーション、空間認知、現代人は左脳ばかり使っているので、右脳も使うとバランスが良くなるという話です」

右脳も左脳も脳梁という太い繊維で結ばれているため、右脳で処理されている情報は左脳にも伝わり、逆も然り。
つまり左右の脳はそれほど独立しているわけではないそうです。

「右脳論者は左手を使えとか、クラッシック音楽を聞けとか、空間パズルをやれとか、すると右脳が働くからいいというものですが、そんなに大したことはないです。
左利きの人は右脳を使っているから、左利きの人がすごくいいかと言われたら、あまり変わらないでしょう」

と一喝する柿木先生です。

検証6 指を動かすとボケにくい

また指を動かす運動を続けていると認知症になりにくい、という話もよく言われていますが。

「農業している人は結構高齢になっても、肉体労働していますし、大きな運動だけでなく細かい動作も日々します。だけど、世界的に見て、農業従事者の人が認知症になりにくい、という統計報告は全くないです」

こちらも科学的な裏付けはないようです。

「ないということは、僕たちが一日に何回か指の運動をやったからといって、それが認知症の予防になるはずがない、というのが僕の意見です」

検証7 耳栓をすると暗記しやすい

「脳に良い」と言われてきたほとんどのことが否定されてきたわけですが、最後にある暗記法について。

多田「暗記する時は、耳栓をして音読すると暗記しやすいと言いますが?」

「音を聞くというのは空気伝導と骨伝導があります。
自分の声を自分で聞く時は、後で録音された音を聞くと違うなと思います。リアルタイムの時は鼓膜を使う空気伝導に骨伝導も混じっています。ところが耳栓をすると骨伝導だけになります。日常聞いている声と明らかに違う声に聞こえます。それが印象に残る。
記憶する時に非日常的なことがあると覚えやすい。これは明らかです。ここという時にそれをやると違う聞こえ方をするので、非常に印象に残り暗記しやすい人もいるかもしれません」

この「耳栓での音読」は人によって効果があるようです。
ようやく最後になって、ちょっと希望が持てたような気がする、今回の脳の話でした。
(みず)
多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N
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2018年03月02日08時14分~抜粋

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