この数年進められている「ゾーン30」という交通規制をご存知でしょうか?
例えば住宅街の道路でも、特に速度の表示がない道路では、基本は法定速度は時速60キロです。
一方で特定の区域を時速30キロに規制しています。これが「ゾーン30」と呼ばれています。
1月17日の『多田しげおの気分爽快!!』ではこの「ゾーン30」について、警察庁交通規制課の梅野英明さんに伺いました。
道路ではなく地域が対象
ゾーン30は、具体的にどんな規制でしょうか?
「住宅街、通学路などの生活道路において、歩行者や自転車の安全な通行を確保するために、最高速度30キロの区域(ゾーン)規制を行うことです。また、必要に応じて、その他の対策と組み合わせて行われます」
特定の道路ではなく、地域が対象になるということですか?
「そうです。そこの地域の皆さんの要望とか、交通量、あとは交通事故の発生状況を基に、公共施設や病院、公園など、高齢者や子供が利用する施設を含む区域(ゾーン)で、多数の歩行者の通行が想定される地域においてゾーン30の整備を進めています」
愛知225・岐阜47・三重29カ所
具体的には、どんな措置がとられているのでしょうか。
「例えば、ゾーンの入り口に『ゾーン30』と路面標示をしています。皆さん見かけたことがあるかと思うんですが、これはドライバーに、ここからゾーン30ですよ、というのをわかりやすくしているんです」
この他にも、ゾーンの中では、道路のセンターラインを消して車道の幅員を狭めたり、路側帯を設けてグリーン色に塗装しています。
「一部では、ハンプという路面を緩やかに盛り上げた段差を設けてたり、狭さくというポールなどで車道の幅員を狭めて、自動車の速度を抑制する対策を行っているところもあります」
ゾーン30の対策がとられているエリアが全国にはかなりあるようです。
「平成29年の3月末の数ですが、全国で3,105カ所。愛知県では225カ所、岐阜県でも47カ所、三重県では29カ所整備されています」
30キロの理由
規制が時速30キロという理由はなんでしょうか?
警視庁公式サイトの「ゾーン30とは?」というページによれば、理由は速度と死亡事故の関係にあるようです。
自動車の時速が30キロを超えると、衝突事故の場合の歩行者の死亡率が急に高くなります。20~30キロでは死亡率が0.9パーセントです。
ところが30~40キロでは2.7%まで跳ね上がり、さらに40~50キロでは7.8%に上昇します。
ゾーン30は効果絶大
平成27年度に、全国で2,490カ所整備されたそうですが、この年をポイントとして、整備される前と整備された後で、どれぐらい交通事故発生件数は違っているんでしょうか?
「整備の前年度の1年間と整備された翌年度の1年間、この交通事故の発生状況を比較したんですが、整備前で5,414件。これに対して整備後は4,144件。23.5パーセントの減少です。また、このうち死亡事故とか重傷事故の発生についても26.8パーセント減少していて、一定の交通事故の抑止効果を確認しています」
4分の1もの減少というのは大きな成果です。
ゾーン30は事故抑制にかなりの効果があると同時に、スピードを出さなければ、大きな事故は減るという教訓でもあるんですね。
(尾関)
多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N
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2018年01月17日07時38分~抜粋