多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N

心筋梗塞のリスクを抑えるため、室温は何度にしておけばいいの?

1月15日の『多田しげおの気分爽快!!』では、寒さと心筋梗塞の関係について取り上げました。

奈良県内などで調べた結果、室温が低いと心筋梗塞の危険性が確かに高くなっていたそうです。
調査研究を実施した奈良県立医科大学 疫学・予防医学講座教授の佐伯圭吾さんにお話を伺います。

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心筋梗塞はこんな病気


その前に、そもそも心筋梗塞とはどんな病気でしょうか?

「心臓に血液を送る血管に突然、血液の塊が詰まったり、血管の壁が狭くなって血液が届かなくなることで、心臓の方に酸素とか栄養が送れなくなって、心臓の筋肉が死んでしまって、ポンプ機能が果たせなくなるという命にかかわる病気です。
血圧が高い状態ですとか、糖尿病をお持ちの方で動脈硬化が進行している状態の方。また、血栓という血液の塊ができやすくなる方、こういう方は、心筋梗塞の危険性が高いです」

血が固まる時には血中成分のうち"血小板"が関わっています。怪我をして出血した時に、その出血を止めようとして血液が固まります。こういった血液凝固の作用を行う働きをしているのが血小板です。

「この血液凝固の働きが強くなりすぎると血液の塊ができやすくなり、血管が詰まる原因ともなるわけです」

寒い部屋と心筋梗塞の因果関係


つまり血小板が増えすぎると、血栓ができやすくなるということが言えます。
佐伯先生はここに着目して、奈良県内に住む60歳以上の男性女性、1,000人以上、平均年齢72歳の方たちを対象に調査しました。

その結果、冬に室温が低い中で暮らしている方は血小板の数が増加しやすいことがわかってきました。
つまり寒い部屋で過ごしていると、心筋梗塞のリスクが高くなるということです。
どうして血小板が増えるのでしょうか?

寒さで血小板が増える仕組み


「身体の中では、無意識に循環状態とか呼吸とか、体温を調節する自律神経というものが働いており、寒さの刺激を受けますと、血液中の"カテコラミン"という物質が分泌されます。
血小板には、常に血液中を流れている血小板と、脾臓という器官に蓄えられている血小板があります。刺激によって分泌されたカテコラミンは脾臓を収縮させる働きがあるんです」

この"カテコラミン"が脾臓に働くと、蓄えられた血小板が一気に放出されます。それで血が固まりやすくなるのです。

寒さの刺激を外敵とします。人間は外敵と戦います。戦えば傷を負って出血します。この時にはすぐ血が固まってくれないといけません。

人間が外敵と戦う時は血が固まりやすくなるように、つまり血小板を増やすように反応するそうです。寒さという刺激も、外敵ということで、出血に備えて血小板の数を増やす、こういう反応だろうと推測されます。
人間の身体は不思議です。

心筋梗塞を防ぐ適温は?


では、心筋梗塞のリスクを少しでも抑えるために、室温は何度ぐらいがよいのでしょうか?

「それほど、きつい寒さじゃなくても 血小板というのは上がり始めるようです。それを考えると、20℃付近が安全なんじゃないかと言えます。
特に50歳、60歳を超えた高齢の方、あるいは血圧が高かったり糖尿病をお持ちの方、またはコレステロール値の高い方、こういった心筋梗塞のリスクをお持ちの方は、20℃付近の温かい環境で過ごされるのが安全かと思います」

寒くても昔からこれで凌いできた、という方もいるかもしれませんが、特に上記の条件に当てはまる方は、暖房を入れて20℃以上に室温を保っていたほうが良さそうですね。 
(尾関)
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2018年01月15日07時38分~抜粋

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