11月20日の『多田しげおの気分爽快!! 』、石塚元章の「月曜コラム」では「夜景」を取り上げました。
11月22日に三重県四日市市で「全国工場夜景サミット」が開催されます。いま四日市のコンビナートの夜景見学は人気がある、ということで「夜景」に注目しました。
CBC論説室 特別解説委員である石塚元章が、なぜ夜景が人気なのかなどを語りました。
人はなぜ"夜景"に惹かれるのか?
コンビナートの夜景が観光に
『全国工場夜景サミット』は第8回を迎え、約10都市が参加するそうです。もともとは四日市、室蘭、川崎、北九州市の4都市が集まり、だんだん増えていきました。
コンビナートはかつて公害の元凶のように言われましたが、環境問題を配慮するように努力しました。今、悪いイメージから脱却したいという思いがあるでしょう。
また、最近、観光をキーワードにして経済を発展させようという流れがあります。その中で、産業のものを見せるという「産業観光」という言葉がでてきました。
この二つが合体したのでしょう。
工場夜景は見た感じが非日常的で、観光資源としてぴったりだと思います。
多田は「四日市の夜景はきれいだし、大きい。今は海側から船でわざわざ見に行こうというツアーもありますね」と賛同します。
生活の灯りの美しさ
石塚は夜景にもいろいろあると言います。
石塚「夜の自然な夜の景色は昔からあります。月明りのきれいな風景とか。
そのうち人間が灯りを使うようになって、人工的な光が街に出てきます。これが意外にきれいです。
人工的だけど、ことさらこれを見せようとして作った光ではない」
多田「イルミネーションやライトアップとは根本的に違いますね」
石塚「工場夜景は安全のためにつけたライトなどが遠くから見るときれいということです。ほかに山の上からみた市街地の灯りとか、空港の飛行機の灯りとか。こういうのを『夜景』として語りたいと思います」
きれいな街の夜景ができる条件
多田が「よく日本三大夜景といいますが、全部山の上から見下ろした生活の灯りですね。神戸、函館、長崎」と、街の夜景の話をします。
石塚「これらは条件がいろいろ揃ってます。人口密集地があるから、ある程度光がぐっとかたまっている。地形的にはすぐ近くに小高い山がある。他に治安がいいこともあります。夜出歩いて景色を見にいくなんて、やりたくてもやれない国もあります」
その他、日本人の感性として、観月とか、花火、夜桜、夜祭、お盆の送り火をしたり、闇と光のコラボレーションを楽しむ発想があることも重要、と石塚は言います。
「100万ドルの夜景」は本当はいくら?
よく表現で「100万ドルの夜景」という言い方が使われます。「100万ドル」はどこから出てきた金額でしょうか?
石塚「本当に100万ドルか計算する人がいます。最近、六甲ケーブルの会社が六甲山から見渡せる範囲の人口とか企業を数えて、使っている電力を計算したら、100万ドルどころではない。そこで『1,000万ドル』の夜景などという言葉もできてきました」
多田「LEDになると省エネで金額が少なくなるかも」
石塚「働き方改革が進むと、灯り自体が少なくなるかも」
多田「だとしたら、夜景がきれいというのは、日本の高度成長期の裏返しだったのかもしれませんね」
石塚「今はバブルの時代とは逆に、安上がりに夜遊べるものは何?ということで、きれいな夜景を見ようとなりました。町おこしという着眼点で夜景ビジネスが出てきたのです」
多田は「冬は空気が冴えて夜景がきれいな季節です。ただ山は寒いですが」とまとめました。
しっかり防寒して、夜景を楽しみたいですね。
(みず)
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