11月2日放送の『多田しげおの気分爽快!!朝からP・O・N』では、「ここまで進んだ!心拍数・脈拍を測る最新式の機械」について取りあげました。
一番原始的な方法は、手首に指をあててみて時計を見ながら測るというものですが、最近では腕時計型の機械を付けて走りながら測ったりすることもできますね。
それだけでも便利なのですが、最新の機械では、なんと身体に何も付けずにレーダーの電波だけで計測できるというのです。
京都大学とパナソニックが共同開発したのですが、そこで同大学の情報学研究科・佐藤亨教授にパーソナリティの多田しげおが話を伺いました。
レーダーで脈拍が分かるのはナゼ?
レーダーの電波と脈拍数の結びつきがイマイチピンとこないのですが、早速その仕組みについて質問しました。
佐藤教授は、「レーダーは、自分で電波を出して目標から跳ね返ってくる信号をキャッチすることで、相手の動きを検知することができます。最近は自動車の衝突防止に使われています。
レーダーを人間に当てて跳ね返ってくる信号を見ると、体の表面の動きが分かります。呼吸で1cm、脈拍による体動で1mm以下という小さな動きですが、これを正確に測ることができれば、脈拍が測れます」
人間の目ではほとんどわからないぐらい細かい動きを機械は判別できるので、脈拍を測ることができるというわけです。
さらにレーダーだと患者さんが服や布団を被って寝ていても良いため、その場所にいるだけで測ることができます。
そして、レーダーの目標は心臓がある左胸だけではなく、人間は脈拍を打つと身体全身が動くため、肩や頭など見えている部位であればどこでも測れるそうです。
佐藤教授によると、「天井の照明器具の中に2cm×4cmほどの小さなICチップを組み込むことを想定していて、そこで寝ている人や座っている人の脈拍を図ることができます」とのことです。
実用化まであと少し!
この装置は遠い未来に完成するというのではなく、実はすでにある程度まで完成していますが、現実的には使いづらいのだそうです。
その理由は、測定できる対象は人間1人だけであり、さらに横に扇風機などがあると信号が混ざり測定できません。
従って、その部屋に1人しかいなければならないということになり、わざわざ脈拍を測る専用の部屋が必要になってしまいます。
そこで実用に耐えうるよう、同じ部屋に複数の人がいても同時に測定できるように開発が進められ、今後は試作機を元に実証実験を行う予定です。
病院や保育所、普通の会社でも活用?
「脈拍は今の機械でも十分測れるだろう」と思ってしまいそうですが、現時点でどんな使い道が想定されているのでしょうか。
例えば、保育所で何人もの赤ちゃんが寝ていたり、病室で複数の人がベッドに居る部屋で、簡単に測定ができますが、看護師さんは5分に1回、赤ちゃんの呼吸などをチェックする必要がある中で、その負担を減らすことができます。
さらに赤ちゃんや病気の人だけではなく、会社のオフィスで働いている時、ストレスの状態をチェックするといった使い方も考えられるそうで、個人情報との兼ね合いがありますが、「最近の会社の労働環境は良くない」や、「こういった叱り方はまずい」というような細かいレベルまで、メンタルヘルスの分野で活用される日が来るかもしれません。
(岡本)
多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N
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2017年11月02日07時40分~抜粋