中部国際空港セントレアに本拠地を置く唯一の航空会社エアアジア・ジャパンが、いよいよ今月の29日に就航します。
路線は名古屋（中部）＝札幌（新千歳）便。これから、この地方にはどんな経済効果があるんでしょうか？
10/18の『多田しげおの気分爽快!!』では、中京大学経済学部の客員教授、エコノミストの内田俊宏さんにお話を伺いました。聞き手は多田しげおです。
エアアジア・ジャパンとは？
エアアジア・ジャパンは2014年に楽天などが出資して立ち上げた日本のLCCです。LCCとはLow Cost Carrier（ロー・コスト・キャリア）いわゆる格安航空会社です。セントレアに拠点を置く唯一の航空会社でもあります。
「本社を東京から中部国際空港に持ってきて、セントレアを拠点空港として、どんどんいろんなところに就航路線を増やしていくという、かなり思い切った戦略だと思います」（内田さん）
地域へのメリットは？
──拠点ばかりか本社機能もセントレアに置くというのは、どういう意味があるのでしょうか？
「拠点空港にするということは、セントレアからの便を国内線と国際線とも増やすということです。
成田や関空、那覇を拠点にしてるLCCがあります。そういうところへも、どんどん路線を増やしていけば、アジアからの訪日客なんかも、この地域に連れて来れます。またこの地域の人たちも、いろんな都市に格安でアクセスできるなど、メリットは出てくると思いますね」
嬉しい価格競争
──すでに航空券の価格競争も安くなる方向で始まっているみたいですね。
「オープン記念限定ですけど、5円で千歳まで行けるという便もあります。それ以外でも2,990円だったり、大阪やその辺りに新幹線で行くのとほとんど変わらない値段です」
相乗効果に期待
──拠点がセントレアにあるということで、将来、一気に本数が増えると見込んでいいんですか？
「実際に今、セントレアはLCC専用ターミナルを作っています。これはLCCの便数が増えることを前提にしてインフラ整備をしてます。
LCC専用ターミナルができれば、さらにLCCの便数が増える、便が増えれば利用者も増える。利用者が増えれば、訪日観光客も増えると、そういう相乗効果がこれから期待できると思います」
エアアジア・ジャパンにとってのメリット
──エアアジア・ジャパンから見て、東京とか大阪、あるいは成田に本拠地を置かずに、拠点を中部にするメリットは何でしょうか？
「後発のLCCですから、成田とか関空という価格競争からある程度離れたセントレアを拠点にするメリットはあると思います」
──つまり、他のLCCと差別化をするということですか？
「首都圏とか近畿圏から札幌や那覇などの人気路線は、就航する便数が、多ければ多いほど価格競争が激しくなります。
LCCというのは価格競争をやる会社なんですが、後発の会社ですから、セントレアを拠点にすることで、利用者の異なるマーケットを捉えることができる、というメリットがあると思います」
訪日客のルートが変わる？
──セントレアからは名古屋まで名鉄で30分。名古屋からは東京、大阪にも行きやすいし、リニアモーターカーが出来れば、東京まで40分です。つまりセントレアは、かなり地の利のある空港と見ていいんでしょうか？
「10年後、リニアが開業する時代には、セントレアから30分で名古屋駅まで行って、名古屋駅から40分で品川という、1時間ちょっとで首都圏にアクセスできるようになります。今は、訪日客のゴールデンルートは成田から入って関空から出るルートですが、それがひょっとすると成田・セントレアになる可能性もあると思います」
鍵はリニアと2本目の滑走路
──つまり、エアアジア・ジャパンがセントレアに拠点を置いて就航開始というのは、この地方の将来は明るいと思っていいんでしょうか？
「リニアが開業する時までに、セントレアも2本目の滑走路の建設を目指していますので、LCCの路線と便数が拡充されることで、2本目の滑走路が活躍する可能性もどんどん高まってくると思いますね」
那覇空港でも第2滑走路を増設中です。セントレアも負けてはいられません。
セントレア復活なるか？
──セントレアは2005年に開港したものの、ちょっとジリ貧のようなイメージがあった中、そろそろ立ち直る兆しが出たということなんでしょうか？
「開港の初年度は愛知万博がありましたから、かなり利用者が多かったんですけども、これからはリニアの開業に向けて、拠点空港としてどんどん便数や路線数が増えていく、そういう空港になっていく可能性は高いと思います」
北は就航したので次は南、石垣。
海外では、近いのになぜか行きづらいウラジオストクなんてどうでしょう？期待は膨らむばかりです。
もちろん安いが前提ですが。
（尾関）
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