先日、神奈川県小田原市の水田地帯でザリガニの試食会が開かれました。
そこで、9月27日『多田しげおの気分爽快!!』の「情報サプリメント」はアメリカザリガニについて取り上げます。
アメリカザリガニの生態について、碧南海浜水族園の館長、増田元保さんに伺いました。聞き手は多田しげおです。
美味?アメリカザリガニの生態と味について聞いてみた。
アメリカなのになぜ日本に?
―そもそもアメリカザリガニは、エビの仲間、それともカニの仲間でしょうか?
ハサミが大きいので疑問がわいてきますが、れっきとしたエビです。しかも、名前と同じでアメリカザリガニ科です。世界中にザリガニはたくさんいて、アメリカザリガニ科としても417、418種類いると言われています。
―名前からしても、アメリカの固有種です。なぜ日本にやってきたのでしょう?
アメリカザリガニは1927年に日本へ持ち込まれました。当時、食用ガエルの養殖がさかんに行われはじめていて、そのエサとして、輸入されたのです。
ところが、養殖場から逃げ出したり、食用ガエルの養殖自体が挫折して、そのとき適当に放たれたりしました。それが日本全国の水田などで急速に増えていきました。
もちろん日本にも日本固有のザリガニはいます。ニホンザリガニ。こちらは数も少なく、生息場所も北海道、東北の北部だけとなっています。だから、中京エリアで見かけるザリガニは、ほぼすべてアメリカザリガニです。
なぜ、こんなに広がったの?
―アメリカザリガニが日本中に生息範囲が急速に広まったのはなぜですか?
水から出すと普通のエビは死にますが、アメリカザリガニはしばらく生きています。エラの周辺に水をためておいて、同じ水を使いながら、泡を吹き、身体に残っている水でうまく呼吸できるようになっています。
―生殖能力がとても高いそうですが?
産まれて出てきた時、ちゃんとしたザリガニの形をしています。他のエビは、小さなプランクトンで浮遊生活をして、魚に食べられたりしますが、ザリガニはお母さんのおなかで守られながらいるので、孵化した時、エビの形をしています。非常に繁殖しやすいです。
天敵はブラックバス?
―田んぼの土手に穴をあけて水が抜けたり、稲の植えたばかりの柔らかいところを食べたり、害があると言われています。天敵はいないのですか?
最近少し減ったなと思ってたところもあったのですが、どうもブラックバスの影響みたいです。ブラックバスを駆除すると、翌年、翌々年、突然ザリガニがどっと増えるということがあります。
外国のものが日本の生態系の中に入り込んできて、日本の生き物が生きていく場所を奪われてしまっているというのは非常に大きい影響があると思います。
生態:オクリカンクリがある!
-ほかにどんな特徴がありますか?
ザリガニは脱皮をします。毎回、脱皮する前にカルシウムをいったん溶かして、殻をペラペラの皮にして、オクリカンクリという硬い石みたいなものに溜めます。
脱皮をしたらそのカルシウムをもう一回再利用するという面白い生態があります。他のエビ・カニもしますが、ザリガニのオクリカンクリは結構大きく、カルシウムを多くため込みます。
生態:青いザリガニ、赤いザリガニ
―たまに青いザリガニを見かけますが?
基本的にザリガニの大人のオスは赤黒いです。色は、食べているエサ、あるいは環境によって変わってきます。だから水槽の中でアジ、サバをやると、脱皮するたびにだんだん青くなっていって、青いザリガニができます。
ほんとにザリガニは食べられる?
―小田原に試食会が行われたそうですが、アメリカザリガニは食べられるんですか?味は?
食べられます。寄生虫の問題があるし、泥っぽいところにいると泥くさくなりますが。きれいな水で数日間飼っておいて、背ワタの部分をとって食べれば十分おいしいです。
こういった有効利用は本気で考えてもいいのかもしれませんね。
ちなみに多田いわく「ザリガニを素手で捕まえられるかどうかが、男の子かどうかの証し」。
後ろから近づいて、親指と人差し指で胴体をつかむといいそうです。
(みず)
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