多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N

「二枚目」「三枚目」「助六」「十八番」「黒幕」…これらに共通するのは?

芸術の秋がやってきました。
今年も名古屋の老舗劇場・御園座では「錦秋名古屋 顔見世」が行われます。
そこで歌舞伎の魅力や面白さについて、御園座副会長の長谷川栄胤(よしつぐ)さんに伺いました。

テーマは「歌舞伎からきた生まれた言葉」。
歌舞伎というとちょっと難しいような印象がありますが、実は私たちの生活の中に深く浸透しているのです。
聞き手は多田しげおです。

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知らずに使ってる歌舞伎用語


歌舞伎は江戸時代からの伝統芸能ですが、現代でも、私たちが日常的に使っている言葉の中に、もともとは歌舞伎用語というものがかなりあります。

例えば「よっ、二枚目!」「お寿司、何にしようか?-私は助六」カラオケでよく使われる「おはこ」とか「十八番」とか。
これ全部、歌舞伎から出た言葉です。

これら歌舞伎に由来するいろいろな言葉の語源を解説していただきました。

二枚目・三枚目


―よく知られているのが二枚目、三枚目。男前が二枚目、ちょっとおどけた人が三枚目。なぜこう言うのでしょうか。

お芝居をやる時に、役者の名前を書いた看板が劇場の前にずらっと並びます。基本、看板に向かって左から数えます。
左から一番目を「書きだし」といって主役。
二枚目に書いてる人は、色男、スター性の高い人。
三枚目に書いている人は、道化者、お芝居を締めるような役割の人が多い。

この看板のしきたりから、そういう言葉が生まれました。

助六


―いなり寿司と巻き寿司の詰め合わせのことを「助六」といいますが、歌舞伎の「助六」とはどういうものですか。

「日本三大仇討」と言われた曾我五郎十郎のサイドストーリーで、曾我野五郎さんの名前が助六です。
助六は江戸一番の色男。ある刀を探していますが、どうやらその持ち主が吉原にいるらしい。そこには助六の彼女がいますが、その名前が「揚巻(あげまき)」さんです。

「あげまき」の「あげ」はいなり寿司、「まき」は巻き寿司。それで、いなり寿司と巻き寿司は、洒落をきかせて助六寿司となりました。正確には助六の彼女の寿司ですが。

十八番・おはこ


次に「十八番」の由来です。
1800年代中盤くらいに、7代目の市川團十郎が、今までの歌舞伎から市川家として得意な十八の演目を選んで決めました。
そして台本や巻物を、黒塗りのきれいな箱の中に入れていました。

歌舞伎十八番というのは市川家の許可がないとできなくなり、次に歌舞伎十八番のお芝居をやる時に、あの箱に入ったお芝居をやるのですね、ということで箱から「おはこ」となりました。

―なるほど、それで一番得意とするところを「十八番」「おはこ」と言うようになったんですね。

黒幕


お芝居とお芝居の間、場面転換のときに黒い幕を降ろします。
すると、黒幕の向こうで何をやっているかわからない。だから「事件の黒幕は誰」という時にその言葉を使うようになりました。

―見えない裏で人を操っている親玉を「黒幕」と言ったりするんですね。

他にも歌舞伎から来た言葉は数多くあります。調べてみると面白いですよ。
では、この辺で、私もドロンします。
(怪談もので舞台から消える際に「ドロン」と大太鼓が鳴るところから、急にいなくなることに使われるようになった)
(みず)
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2017年09月06日07時50分~抜粋

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