今週の『多田しげおの気分爽快!!朝からP・O・N』では、歌舞伎に関するさまざまな話題を取りあげています。
9/5は「隈取」(くまどり)と呼ばれる歌舞伎の化粧に関する知られざる話について、名古屋市中区の老舗劇場・御園座の副会長・長谷川栄胤さんに伺いました。聞き手はは多田しげおです。
知られざる歌舞伎の世界・俳優は自分専用の巨大な○○を持ち込む!?
化粧は自分で行う
ドラマに出演する俳優さんなどは、たいていメイクさんに化粧をしてもらいますが、歌舞伎の世界では、化粧はほぼ自分で行うとのことです。
よほど小さな子役なら別ですが、中学生であっても基本的には自分で化粧を行うそうです。
ただ、最終的には親御さんがチェックされると思われるとのことです。
顔に複雑な模様を描くために難しそうな印象を受けますが、隈取は表情や役柄などをあらわす上で大事なものであるため、自分で行う必要があるのでしょう。
多田が「(化粧を)自分でやるっていうのは、難しいんでしょうね」と尋ねたところ、長谷川さんは「何度も何度も練習をした、という話は聞く」と答えました。
荷物は4トントラック数台分!
多田はかつて楽屋に訪れた際、実際に鏡台を見たことがあるのですが、とにかく大きいという印象を受けたそうで、大きな三面鏡があり、タンスのような巨大なサイズだったと言います。
実は、歌舞伎俳優はその劇場に備え付けの鏡台を使うのではなく、自分で用立てるか、代々引き継いで使っていることが多いのです。
今年の6月には、市川海老蔵さんが新之助時代に使っていた鏡台を、長男の勸玄くんに譲るというニュースもありました。
そのため、多くの歌舞伎俳優さんが自分専用の鏡台を持っており、10台以上並ぶこともあるそうです。圧巻ですね。
御園座で公演を行う場合は、東京から名古屋へ大きな鏡台をわざわざ運んでくる必要がありますが、鏡台以外にも小道具や衣装、かつら、役者さんの荷物などを含め、運搬に4トントラック3、4台で運んでくることになりますので、かなりの大荷物になりますね。
名前や芸と共に引き継いでいく
代々受け継いでいくほどの立派な鏡台であれば、そこで気になるのがお値段ですね。かなり高いように思われるのですが……。
長谷川さんは「鏡台にはさまざまな装飾が施されており、もう今は作ることができない物が多い(ために、値段が付けづらいのではないか)」と答えられました。
歌舞伎の世界では、襲名により名前を引き継いだり、家や芸といった形のないものを継いだりするだけではなく、鏡台という形のある物を引き継ぐことで、伝承する意識を常に持っていると言えます。
なお、兄弟が多いと鏡台は引き継がれない人が出てきますので(ダジャレのようになってしまいましたが)、その場合は自分で作らざるを得ません。
自分で新たに作る必要がある場合は、先々のことを考えて、50年、100年使えるような長持ちすることを念頭に置いて注文するそうです。
こうして、鏡台と共に歌舞伎の歴史が脈々と受け継がれていくわけですね。
(岡本)
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