8/31の「情報サプリメント」では「宇宙ペン」を取り上げました。
宇宙ペンとは、宇宙空間で、例えばISS(国際宇宙ステーション)の中で、ものを書くことができるペンなのです。
先日、亀田製菓の「亀田の柿の種」が、宇宙飛行士がISSで食べるおやつとして認められました。これと同じように宇宙に適したペンというものがあるのです。
アメリカの会社フィッシャー社が開発したこのペンを日本国内で扱っている、ダイヤモンド株式会社の柴田さんに多田しげおが伺いました。
宇宙では地球の筆記具が使えない
ダイヤモンド株式会社で販売されている「宇宙ペン」の正式名称は"FISHER SPACEPEN(フィッシャースペースペン)"。
フィッシャー社が100万ドル以上かけて開発したそうです。
私たちが地球上で使っている筆記具はなぜ宇宙で不都合なのか?この問題を考えると、自ずと改良ポイントがわかります。
-まず、我々が身近に使っているボールペンは、なぜ宇宙では使えないのでしょうか?
ボールペンは真ん中の芯にインクが入っています。地球上には重力があるから、インクが徐々に下がり、書くことができます。
しかし宇宙では無重力なので、ボールペンでは書けたとしても2、3行で、すぐ書けなくなります。重力のない宇宙ではボールペンは使えません。
-万年筆ではなぜ不都合なのでしょうか?
万年筆は書こうとすると、重力がない空間なので、ペン先からインクが飛び散ってしまいます。やはり宇宙では不向きです。
-鉛筆はどうでしょう?
もし芯が折れると、精密機械に入り込んでしまって機械が故障する危険性があります。よって鉛筆は使われなかったようです。
とにかく、宇宙ではものが飛び散ることが絶対にダメなんです。
宇宙ペンはどう違う?
-こういったことを克服して開発されたのが「宇宙ペン」ですが、いったいどういうものでしょうか?
基本の構造はボールペンです。真ん中に芯があってインクが詰まっていますが、そこに改良点があります。
芯の内部に窒素ガスが混入されていて、窒素ガスによって内部の圧力を一定に保ちながら、重力がなくてもインクを徐々に押し出します。
しかもその封入されているインクが、超粘性、弾力性のある特殊インクで、飛び散ることがないように考えられています。
こういった非常に革新的な芯が入っています。
アポロ11号でも使われた
実は宇宙ペンの歴史は古く、フィッシャー社がNASAの依頼を受け開発したのは1968年のこと。
アポロ計画で採用されて、その後1969年、月面着陸のアポロ11号の際も使用されたそうです。
今はISSの中で文章を記述する時は主にパソコンを使うそうですが、当時はパソコンが発達していなかったので、こんな風に工夫されたペンが必要だったのです。
今でも図形を書く時に、このペンが使われたりします。図形はコンピューターでは書きにくいそうです。
宇宙ペンは地球でもスグレモノ
最近、一般のユーザーの方の間でファンが増えているそうです。
デザインの良さもありますが、このペンでないと不便だという人も結構います。
ポイントは窒素ガスの圧力により、重力に頼らずにインクを出す点。そして非常に粘り気のある特殊なインク。
さらに非常に暑いところでも、寒いところでも耐えるようになっており、これらの特徴から地上ではこんな使われ方をしています。
例えば、病院で入院されている方が、上向きで書くことができます。
粘り気のあるインクですので、水中でも溶けずに書くことができます。
また油性のものの上にも筆記が可能です。
さらに、夏は高温になる車の中でも使用ができます。
"FISHER SPACEPEN"は大手百貨店で購入可能で、1本4,320円(税込)だそうです。
そのネーミングといい、機能といい、マニア心をくすぐりそうな一品ですね。
(みず)
多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N
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2017年08月31日07時38分~抜粋