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最近人気の甘酒を自宅でも作ってみよう!

毎週金曜日の8時台は、あるひとつのテーマに沿った特集企画をお送りしています。

8/18のテーマは「甘酒」。ここ1、2年前から特に女性の間でブームとなっており、スーパーマーケットなどでは様々な甘酒が並ぶようになりました。
毎日飲んでいる方も多いのではないでしょうか。

そんな甘酒を詳しく解説していただくべく、スタジオにお招きしたのは、名城大学農学部・応用生物化学科の教授、加藤雅士先生です。

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甘酒を作るには?


実は甘酒には2種類あって、ひとつは酒粕を湯に溶かして作る甘酒。もうひとつは米麹(こうじ)を原料とする甘酒。最近ブームになっているのは後者です。
今回はその麹で作る甘酒について加藤先生にお話を伺います。

まず、作り方の説明です。

最初に米またはもち米でお粥を作ります。
そこに市販の乾燥麹を混ぜて、炊飯器などを使って8~10時間くらい保温します。
それだけで甘酒が出来上がるのだそうです。非常に簡単ですね。

ただ、炊飯器のフタを閉めてしまうと温度が上がりすぎてしまうので、フタはちょっと開けたままにしておく必要があります。
60°Cくらいに保つのが肝心なのだそう。
この温度管理をしなきゃいけないところだけ、手間は要りますね。
まあ、全然手がかからないより、多少は世話が焼けるほうが、思い入れも深くなるというところでしょうか。
(詳しい作り方は最後に記述)

甘酒の化学反応


さて、この保温中は、化学的に何が起こっているのでしょう。いわゆる「発酵」でしょうか?
いいえ。実際には、微生物が活動して行われる「発酵」という段階はすでに終わっていると、加藤先生は説明します。
微生物によって作られた酵素が、麹には豊富に含まれており、その酵素が米のデンプンを分解していき、ブドウ糖に変えて甘みを出す「分解反応」が起こっているというのです。

「分解反応」というと難しく聞こえますが、人間がご飯を食べて、腹の中で消化をするのと同じだそうです。
なので、麹で作る甘酒は消化に良いということなのです。

麹で作る甘酒はアルコール発酵ではないため、ノンアルコールになります。
酒粕で作る甘酒は、もともと酒粕自体にアルコールが含まれているので、少量のアルコールが入ってしまいますが、麹で作る甘酒は、こどもが大量に飲んでも大丈夫なのです。
と言っても、甘酒は栄養豊富なので大量に飲むと逆に体に良くないのですけれど。

甘酒ってすごい!


次に、甘酒の歴史について伺いました。

これは大変古く、日本書紀などの神話の時代の文献にも登場するとか。
ただ実際に、現在の甘酒に近い、麹を使った甘酒が知られてくるのは、奈良時代以降。
庶民に広く伝わるのは室町時代ぐらいだと加藤先生は語ります。

江戸時代にはもう盛んに飲まれており、町中では甘酒売りも登場。
特に夏バテ防止の飲み物として人気があり、「甘酒」は夏の季語にもなっているほど。

我々人間が普通にご飯を食べるよりも、麹から入ってくる成分がたくさんあるそうで、ビタミン類、アミノ酸、ペプチド、オリゴ糖、ブドウ糖、食物繊維など様々な栄養が含まれています。
これらは栄養剤としての点滴とほぼ同じ成分内容であることから、麹による甘酒は「飲む点滴」とも呼ばれているのです。

消化が良く、栄養も豊富。まさに夏バテにピッタリですね。
先人たちはこんな化学的要素など知る由もないのですが、経験として身体に良いことをわかっていたのですね。

しかも、オリゴ糖は腸の中でビフィズス菌などの善玉菌を増やす働きがあり、食物繊維が腸の動きを活発にするなど、整腸効果も大きいとか。
そのため、肌のキメが整うのだそう。なるほど、甘酒が女性に人気が出るわけですね。

甘酒の変わった飲み方


ただ、ご飯を食べるのと同じなので、たくさん飲むと当然太ります。そのため、100~200ccくらいの少量ずつを飲むのがいいと、おススメする加藤先生。

米飯の代わりに飲むのなら、最適だと言います。例えば朝、食事の時間がない時にシリアルと混ぜて食べるとか。
極端な話、夕食でいろんなおかずがある中、米飯の代わりに甘酒というパターンもアリなんだそうです。甘い食事が苦手でない限り。
パイナップル入りの酢豚がダメな人とかは難しいかもしれませんね。

あと、加藤先生が他におススメする飲み方は、甘酒の豆乳割り。
豆乳にはイソフラボンという女性ホルモンを助ける成分が含まれており、タンパク質も豊富。しかも豆乳と甘酒お互いの臭みも打ち消し合うので、両方苦手な人でも混ぜたら飲めるかもしれません。

イチゴを潰して入れ、凍らせて甘酒シャーベットにするのも、大変おいしく、保存も効いておススメだそうです。

ヨーグルトなど酸味のあるものにも合うし、鮭などの魚を一晩甘酒に漬けて焼くと、味も良いし柔らかくなるとか。
「シャケの甘酒漬け」って、早口言葉のようですね。
料理で砂糖の代わりにも使えて、甘酒はまさに万能食品なのです。

自家製甘酒のレシピ


最近は自家製甘酒作りにハマっているという加藤先生。
雑穀米を使った、薄紫色の変わり種甘酒も作ってしまうほど。
そんな加藤先生に、レシピを教えて頂きました。

【1】米1合から全粥(ぜんがゆ)を作ります。全粥とはいわゆる普通のお粥。米1に対し水5の割合で作ります。
【2】米1合に対し、市販の乾燥麹を約200g入れ、混ぜます。
【3】炊飯器などを使い、60°Cに保つ。具体的には、設定を保温にし、フタを開け、料理用の温度計でチェックし、埃などが入らないよう布巾をかけると、大体保たれる。温度は時々チェックすると良い。
【4】60°Cを超えると酵素が死んでしまい、デンプンの糖化ができず甘くならないので注意。70°Cくらいまでなら大丈夫かも。
【5】8~10時間くらい経てば、出来上がり。

皆さんもぜひお試しあれ。
(岡戸孝宏)
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2017年08月18日08時15分~抜粋

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