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「イスラム国」は本当に壊滅したのか?

7/9にイラクのアバディ首相は、イラク北部の都市で過激派組織「イスラム国」(IS)の最大拠点のひとつ、モスルを3年ぶりに奪還したと勝利宣言しました。

ISは壊滅に近い状態になっているのではないかとの報道がされていますが、現状はどうなっているのでしょうか。
CBC論説室の石塚元章解説委員が解説します。

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ISにとってモスルとは


まずイスラム国=ISという組織についておさらいしましょう。

イスラム教の教えをとことん突き詰めて、反抗するものは許さないという過激なテロ集団です。特徴的なのは、彼らが国家を作ろうとしたことです。
テロ集団として支配した地域の面積はかつてない広さで、それなりにインフラも整備していました。

今回奪還されたというモスルは、ISが国家樹立を宣言した街で、彼らにとっては象徴的な都市でした。
当初の人口はおよそ200万人。企業も原油生産の拠点も近くにあるので、収入源が豊富です。

国家を樹立するにはとにかく資金が必要です。そのために収入源を確保し、疑似国家を作り上げていったわけです。

バクダディ死亡の影響は?


モスルで国家樹立を宣言したISの指導者バクダディについては、ロシアの空爆で死亡したとか、最近死亡が確認されたなど様々な情報が飛び交っています。

バクダディが殺害されたのなら、その影響が気になるところです。

もしISが本当に国家の体をなしているとすれば、次の指導者が現れる可能性はありますが、実態としてはあくまで"疑似"国家ですし、このバクダディの力が多大だったこともあり、実際ISにとっては大きな痛手であると考えられます。

戦闘員が世界へ拡散?


モスルの解放によって「ISが壊滅した」と報道されることもありますが、そうはいかないと思います。

彼らに共鳴して海外から「戦闘員」と称する人たちが大勢集まっています。この人たちがまだ市街地に存在しているわけです。

彼らは地下に潜伏したり逃亡したり、また外電によると近くの村に新しい拠点を作ろうとしているとか、ラッカというシリアの大きい街を次の拠点にすべく移動しているとか、様々な情報があります。

そんな中、海外から来た人は、自分たちの国に戻っている可能性があります。
ISの思想を感化された人たちが世界中に拡散しているのではないかという指摘もあるのです。

ISはアジアに来るのか?


ISの分子がアジアにやってくる可能性はゼロではないですが、今のご時世で注意しないといけないのは、インターネット社会ですから「思想の拡散」というものがあります。

もともとそれぞれの政府に不満がある市民がいて、この思想を持った人たちが自分たちの不満を吸収してくれるのではないかと、一時歓迎する可能性があります。
無論後になって、思っていたよりひどい人たちだとわかるわけですが。

同じことが東南アジアにしても、中央アジアでも言えます。今の体制が嫌だと考えている人は大勢います。そこへ入り込んでくることは十分あり得るため、対策を考えなければいけないでしょう。

世界情勢の必然?


3年前にISが登場したことは、ある意味世界情勢の必然だったのかもしれない、という考え方もあります。

特にイラクはフセイン大統領が倒れた後の体制に対し、不満を募らせていた人たちがいたという状況がありました。
だから、なぜこの人たちが出てきたかという背景も忘れるわけにはいきません。

ISに対してあいつらひどいことやったね、だけで止まっていると、今後も負の連鎖が続く可能性はあります。
この問題は、決して遠い国の話ではないのです。
(みず)
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2017年07月14日07時21分~抜粋

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