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色や形の異なるアサガオが日本にだけ存在する理由

アサガオを見かける季節となりました。小学校で観察日記を書いた人も多いのでは?
CBC論説室 石塚元章解説委員による「月曜コラム」、7/10のテーマは日本の夏の風物詩・アサガオです。

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アサガオは、朝咲かない?


アサガオには花言葉がいくつかあります。
例えば「儚い恋」。朝に開いて昼頃しぼむというところから。
また「あなたに私はからみつく」は、つるが伸びていくから。

「植物学的にみると、アサガオは朝咲く花ではありません。厳密に言えば、朝にはすでに咲いている花です。朝が問題ではなく、前の日の日没が大事。日が暮れてからだいたい9~10時間経つと咲きます。つまり暗いうちにどんどん咲いています」

このように説明する石塚。「朝に開いて」という前提がいきなり崩れました。

日本で色や形が豊富な理由


アサガオは日本古来の花ではありません。
原産は諸説ありますが、アサガオは奈良時代に中国から日本に伝わりました。日本に来た時はほとんど青一色でしたが、やがて日本では園芸植物として非常に多彩に姿を変えていきます。

江戸時代にはアサガオブームが2、3回あったそうです。
1810年頃、文化文政の時に「変化朝顔」といってアサガオの色形を変えて楽しみました。
第二次ブームは幕末近くの1850年頃です。

花の色や形を変えるということですが、現代で言うところのバイオテクノロジーを用いていたのでしょうか?

「掛け合わせるという科学的な発想は、当時の日本にはまだないです。ただいっぱい育てているうちに、思わぬものが咲くことを知ります。突然変異ですね。植木職人が、アサガオを100鉢くらい同じ鉢を並べて、その中の突然変異でできたいいものを集める。基本的には一年草なので、種でしか育たない。それをどう伝えるかと脈々とやりました」

農業技術がない時代、地道な努力によって変種が残されてきたというのが実態のようです。
こうして様々な色や形のアサガオを楽しむという日本独特の文化が育ちました。

遺伝子的に突然変異が起きやすい


最近ではアサガオの研究が進み、愛知県岡崎市の基礎生物学研究所では、各地の大学と協力してアサガオのすべての遺伝子を解析しました。

その結果、アサガオには43,000という非常に多くの遺伝子があることがわかりました。
つまり、他の植物より突然変異が起きやすい植物だったのです。

江戸時代に化学的な背景が不明なままブームを起こったのは、こうした遺伝子のおかげだったんですね。

大輪稀少な「名古屋朝顔」


ちなみに、この地方には「名古屋朝顔(名古屋式盆養切込みづくり大輪朝顔)」というものがあります。

明治時代に15~20cmもの大輪のアサガオがブームとなっていた頃、名古屋にあった薬問屋の音羽屋が、いろいろ工夫をして作った盆栽のようなアサガオで、ひとつの鉢に一輪または二輪の大きな花を咲かせます。

こうした特別なアサガオは、栽培方法を秘伝にして、決まった人にしか教えない、種も渡さないという時代がありましたが、現在は割とオープンで、全国に広がっているようです。

「名古屋朝顔まつり」というイベントでは、苗や種の販売も行なわれています。
今年は7/26から7/30まで、名古屋市の名城公園フラワープラザで開催されるそうです。
(みず)
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2017年07月10日07時18分~抜粋

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