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スズメがツバメの巣を乗っ取る事例が増えている理由

玄関の上や軒下、あるいはガレージの上に見かけるものと言えば、ツバメの巣。
ツバメの産卵期は4月から7月にかけて。今は巣の中に雛がいても全くおかしくない季節です。

このツバメの巣、最近スズメが乗っ取って使っている、という報告例が増えているのだそうです。
詳しい話を兵庫県にある「人と自然の博物館」研究員の布野隆之さんにお伺いしました。

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何が起こっているのか?


ツバメは渡り鳥です。
旅から帰ってきたら、古巣に戻ってきて、あるいは新しく巣を作って子育てをします。
春先に大陸の方から渡ってくるツバメは、その時期が年によって早まったり、遅まったりして少しズレてしまうそうです。

特に遅れて渡ってきてしまった場合、同じく春先に繁殖をするスズメの方が、先にツバメの古巣を見つけ、自分たちの巣として認識してしまうと、家として使ってしまいます。

その後に何も知らないで帰ってきたツバメたちが、自分の巣を使っているスズメとバトルになり、最終的にはスズメに乗っ取られてしまうということが最近報告されるようになってきているのだそうです。
そして、家を失ったツバメは、仕方なく新しく巣を作るとのこと。

ちなみに、今までツバメの巣として使われてきた家にスズメが入っても、スズメはツバメの匂いなど気にしないのでしょうか?

スズメはツバメの巣に入った後、自分たちで枯れ草をどんどん入れて、新しく自分たちの巣を作っているんです。
ちゃんとリフォームしているんですね。

乗っ取り現象の背景とは?


この乗っ取り現象の報告例が出てきたのは10年程前からなのだそうですが、その背景とはどういったものなのでしょうか。

元々のスズメの巣は、いわゆる軒下の隙間なのです。
その隙間の中に、干草のような少し枯れた草をたくさん入れて、そこで巣を編むように作っていって、繁殖・子育てをしてきたのがスズメの生態です。

しかし、最近の住宅地はそういった、いわゆる軒下や、軒下の隙間というものが無くなってきてしまっており、スズメの住宅需要が、いわゆる家不足という形になっているのです。

そこで困ったスズメが新しい巣場所を探している中で、どうやら10年位前からツバメの古巣を自分たちの巣として活用するようになってきたのです。

乗っ取る側のスズメにとってもデメリットがある?


乗っ取り現象が起こる原因は、もともとツバメもスズメも同じような場所に巣を構えるから、というわけではないんです。
実は、ツバメとスズメは、巣を作る場所の立地条件がそもそも違うのです。

ツバメの巣の立地条件は、目の前が開けていて、ツバメの雛が巣立った後に飛ぶ練習ができる広い空間を確保しています。
これに対し、スズメの巣は、巣立った後に隠れることができる林や木が、すぐ近くにある場所を選ぶのだそうです。

つまりスズメは、巣を出てすぐに隠れる場所がない場所をわざわざ乗っ取っているのです。

結果、スズメの雛は巣立ちはするものの、目の前が開きすぎてしまい、隠れられる木まで到達できずに地面に着地してしまったり、一生懸命遠くの林まで飛ぼうとしている間にカラスに食べられてしまうなど、生存率が高くないんだそうです。

立地条件の違いで、乗っ取る側のスズメにとってはこんな危険があるんですね。

しかし布野さんによれば、今後スズメがこのデメリットを学習し、ツバメの巣を使わなくなることも十分に考えられるということです。
(林大智)
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2017年07月06日07時40分~抜粋

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