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ついに女王アリまで登場!ヒアリにヒヤリとしないためには?

時事的話題について、当事者や専門家に生で電話を繋ぎ、話を伺う「朝からP・O・N」のコーナー。
7/5は、話題の昆虫「ヒアリ」を取り上げました。

先月6/9に兵庫県尼崎市で、国内で初めてヒアリが確認され、以来、神戸港や名古屋港でも見つかっています。
更に大阪・南港ではヒアリの女王アリも発見されました。

そこで、アリの生態に詳しい、九州大学「持続可能な社会のための決断科学センター」准教授、村上貴弘先生に電話で伺いました。

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ヒアリのプロフィールをヒアリング


まず改めて、ヒアリとはどういうアリなのか説明しておきましょう。

毒針で刺されるとやけどのような激痛が出ることから「火蟻」と言われるこの危険生物。
攻撃性も非常に強いので「世界の侵略的外来生物ワースト100」にも入っています。
2回刺されることで、免疫機能の過剰反応「アナフィラキシーショック」を起こし、死に至ることも。
体質によっては初めて刺されても起こるので油断は禁物です。
ハチの毒に成分が似ているため、ハチに刺されたことがある人も危険です。

元々はブラジル、アルゼンチン、パラグアイの国境沿いに生息している、南米原産のヒアリ。今では世界中のあちこちで定着しているのだとか。
アメリカ合衆国には1930年代から侵入。もう80年以上住み着いています。
アメリカ南部だと、1000万人くらい刺されていて、そのうち100人ほどが亡くなっているそうです。

2001年にはニュージーランドとオーストラリア、2005年には台湾と中国にまで広がってきています。

壁に耳ありコンテナにヒアリ


現在、実際に大阪に訪れているという村上先生。
大阪・南港の現場は、いかにもヒアリがいそうな場所なんでしょうか?

「以前ヒアリが発見された神戸港でも調査に入ったんですが、南港と非常によく似た環境でして。いろんなコンテナが積み重なってるので、下のアスファルトがめくれているんです。そこにヒアリやその他の外来のアリが一時的に住み着くような感じですね」

おそらく名古屋港も似たような環境だろうということです。

お隣りの台湾や中国に定着しているヒアリが、コンテナなどの荷物に引っ付いて日本に入ってきても、不思議ではありませんね。
村上先生ら研究者の間では「むしろよくこの十数年間、1度も見つからなかったものだ」と思われていたそうですよ。

ビッグダディを超えるビッグアリィ


さて、大阪・南港で女王アリが見つかったという事実。これはどういう意味合いがあるのでしょう?

「働きアリだけだと、基本的には卵を産まないので、繁殖する危険性は非常に少ないんですけど、女王アリは産卵しますから、その危険性は上がります。
ただ通常、働きアリだけでコンテナにくっついて引っ越すというのは考えにくいんです。だから、他の3ヶ所(尼崎・神戸港・名古屋港)でも女王アリが潜んでいると、我々専門家は考えています」

たまたま大阪だけ見つかったということなんですね。
(ちなみにこの放送の後、新たに神戸港でも女王アリが発見されました)

そうなると、見つかっていない女王アリが、すでに国内で次の世代を作っていると考えられるのでは?

「いや、そう結論付けるのは早急で、これから調査が必要でしょう。次の世代が充分増えるのに6ヶ月~1年くらいかかるので。その前になるべく女王アリを発見して、駆除していくことが重要になってくるかと」

ところで女王アリって、卵をどれくらい産むんですか?

「今のところ研究例では、1時間に80個。非常に繁殖能力が高いアリですね。最終的に1,500~2,000個くらいは産むと、論文には書いてあります」

なんと!では今、どこかで2,000個ほどの卵を産んでいる可能性があると?

「まあでも、1時間に80個というのは、恵まれた環境での話ですから。コンテナの中とか、アスファルトの割れ目とかだと、とてもそんな状況では無いので。まだそこまで神経質にならなくてもいいと思います」

ヒアリの侵入をヒラリとかわそう


でも卵がある可能性があるなら、卵のうちに駆除した方がいいですよね。その場合は殺虫剤を使えばいいんですか?

「そうですね。ヒアリが定着した場合は、駆除にものすごくお金がかかってしまうので、卵のうちに殺虫剤で駆除した方がいいです。定着してしまうと、ただ単純に殺虫剤をかけても逃がしてしまい、分散のお手伝いをしているだけになってしまう。周辺500m~1kmをモニタリング(調査)して、逃がさないように態勢を整えてからやらないといけません」

やみくもに駆除するのではなく、専門家の指導の下でやらないと逆効果だということです。
しかしこうやって話を聞いていくと、日本はかなり瀬戸際な状態のようですね。

「今は一番ギリギリのところです。多くの国がここで諦めちゃって、もう毎年何億円という予算をかけて駆除するようになってます。今のところで食い止めるのが一番コストがかからないでしょう」

これは何としてでも止めなければ。
ただ台湾や中国と貿易する限り、水際作戦はずっと続けていかないとダメなんですよね?これはキツそう。

「だから、ヒアリの供給源となる地域と連携して、繁殖してるところを見つけ出して、お互い駆除し合うようにしていかないとツラいでしょう」

触らぬアリに祟りなし


最悪の場合、我々一般人がヒアリに出くわすことも想定しなければなりません。普通のアリとの見分け方はあるんでしょうか?

「形だけでは一般の方が見分けるのは難しいでしょう。特徴としては、色がちょっと赤茶色で、普通の黒いアリと比べると若干明るい色です。それから、働きアリの体の大きさが普通のアリと違ってバラバラ。2~6mmの間でいろいろ混ざってます。あと、動きが速い」

赤っぽく、素早く動いて、大きさにバラつきのある集団は怪しいということですね。
ではもし、運悪く刺されてしまった場合、どうすればいいでしょうか?

「ヒアリは何回でも刺すので、素手で払うとその手も刺されちゃいます。タオルなどで叩き落としてください。刺された患部はまず水で洗って、もし手元にアトピー性皮膚炎の薬があれば、ちょっと塗ってアレルギー反応を止めてください。
で、30分くらい安静にしてください。アナフィラキシーショックは大体30分以内に出てくるので、異変が無ければとりあえず大丈夫です。めまい、吐き気、手の震えなどの症状が出た場合はすぐ病院に行ってください」

アナフィラキシーショックの恐れがある体質の方は、刺されたらすぐ病院に行ったほうがいいでしょう。
とにかく、普段見かけないようなアリを、触らないことが第一ですね。
(岡戸孝宏)
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2017年07月05日07時20分~抜粋

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