空の安全を守る航空管制官。
高い管制塔から、双眼鏡で飛行機を見ながら、英語で的確に指示を出す。そんな姿をドラマなどで見た人も多いのでは?
でも管制官が従事している仕事、あるいはその仕事に就く道、業務の厳しさなどはあまり知られていないかもしれません。
6/30のCBCラジオ『多田しげおの気分爽快!!』では、現役の航空管制官をスタジオへ招きました。
「航空管制官」をスタジオに招いて聞いた仕事内容。
管制官は国家公務員
今回お話を伺ったのは、中部国際空港セントレアの主任航空管制官、中村友哉さんです。
中村さんは愛知県豊田市出身で現在36歳。羽田空港、那覇空港で管制官を務め、現在はセントレアに勤務されています。
そもそも航空管制官は、国土交通省の職員なのです。
中村さんが従事する管制業務は「飛行場管制業務」と「レーダー管制業務」の二つに分かれるそうです。
「管制塔の360度ガラス張りのところでの業務は飛行場管制業務です。レーダー管制業務は、空港の敷地内のレーダー室でレーダーを見て、航空機に対して指示を出します」
管制塔で管制官の立つ位置は86mの高さ。滑走路のすべて、その周りも見渡せます。
一方レーダーはセントレアを中心に120km圏内が見えるそうです。
「セントレアでは1日550機程度の航空機に対してターミナル管制業務を行っています。例えば到着機であれば、安全に着陸できる間隔を設定して、空港に入れていきます」
管制官がきちんとコントロールしているからこそ、飛行機は安全に離発着できているのですね。
空港は超過密スケジュール
滑走路が混んでる時は、何分間隔くらいで飛行機を着陸させるのでしょうか。
「混雑時ですと、2分に1回くらいです」
なんと地下鉄のダイヤより混んでいるわけですね。
飛行機の優先順位を決定する管制官。間違った判断を許されない、非常にシビアな業務です。
「そうです、そのために管制官は訓練を受けます。訓練の中でそういったところを学んで資格を取って、晴れて一人で仕事をします」
一番緊張する場面はどんな時でしょう?
「パイロットの方もそうかもしれませんが、管制官も、着陸する瞬間、離陸する瞬間は、緊張が高まります。ただ2分毎になると、もう次の飛行機のことを考えています」
管制業務は一人がどのくらいの時間、続けて担当するのでしょう。
「集中力がいりますので、約1時間くらいで交代します」
現在中村さんは3つめの空港として中部国際空港で勤務されていますが、それぞれの空港で違うことはあるのでしょうか?
「空港を離発着する飛行機の種類も様々ですし、滑走路の数などレイアウトも違います。私の場合セントレアに来て、経験者として1年弱の訓練を受けました」
航空管制官への道
航空管制官になるためには、どのような試験が必要なのでしょう。
「まず、国土交通省実施する採用試験に合格することです。公務員の採用試験のひとつですが、特殊な能力が試験の中に含まれています。英語能力もそうですし、面接もあります。合格すると、航空保安大学校で8カ月間、基礎を学びます。それが終わったら、全国の空港などに配属されます」
最後に、中村さんが管制官になりたいと思ったきっかけを伺いました。
「上空を通過する航空機を見上げて、最初は一定の間隔で並べられているのでコンピューター(での制御)かと思ったのが、ある時『管制塔』というものがあって、人がそこに大きく携わっていると知って、管制官になりたいと思いました」
「離陸するパイロットが『サンキュー』と言って飛んでいく時が、一番仕事をしていてうれしい瞬間」と語った中村さん。
空港へ行ったら、飛行機の安全のために頑張っている管制官のことを思い出してみましょう。
(みず)
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