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1,000人にひとりの有病率?深刻な睡眠障害「ナルコレプシー」

職場や学校でお昼時になると眠くなる…という方も多いかと思いますが、もしかするとその眠気の原因は「ナルコプレシー」のせいかもしれません。
昼間、急激な眠気に襲われる深刻な睡眠障害「ナルコレプシー」。

今回の「情報サプリメント」は、この「ナルコプレシー」について、筑波大学 国際統合睡眠医科学研究機構の柳沢先生に伺いました。

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ナルコレプシーってどんな病気?


「ナルコレプシーという病気は、簡単に言うと、正しく覚醒状態を維持できず、健常人ではありえないようなシチュエーションやタイミングで眠ってしまったりします」

具体的な症状としては、人と話しているときや会議で発言している時に突然眠り込んでしまう、運転している時でも眠り込んでしまう、という症例があるそうです。
このような強烈な眠気が起きることを「睡眠発作」と呼びますが、普通の人が丸2日間寝ていない時に感じる眠気に匹敵するとも言われ、それが1日に何回も起きるそうです。

そして、このナルコレプシー、眠気以外にもこんな症状が出るみたいです。

「情動脱力発作といって、笑ったり驚いたりした時に、急に体の力が抜けてしまって、ひどい場合には立っている状態から崩れ落ちてしまうなど、筋肉の脱力の発作が起こります」

大事な時にナルコレプシーの症状が出てしまうと困りますね。
発症する年齢は10代が最も多いそうですが、現在、患者さんはどのくらいいるのでしょうか?

「正しく診断されていない潜在的な患者さんを含めると、ざっくり1,000人から2,000人に1人くらいの有病率があるとされ、単純に1,000人に1人とすると、10万人いらっしゃることになります」

1,000人に1人とは見過ごせない数です。

ナルコレプシー、その原因は?


そもそもこの病気の原因は何なのでしょうか。
覚醒を正しく維持する「オレキシン」という脳の中のホルモンが欠乏して、睡眠と覚醒をうまく切り替えられなくなるために発症するそうです。

では、なぜこのオレキシンが欠乏してしまうのか。
それは、オレキシンをつくる神経細胞が何らかの原因で死んでしまうからだそうです。しかし、その神経細胞がなくなる理由についてはまだ明らかになっていません。

実はこのオレキシン、注射したり飲んだりしても、体内で分解され脳まで届かないため、不足した分を直接補う方法での治療は難しいそうです。
現在は、眠気に対して覚醒させる薬を飲むという対処療法しかなく、根本的な治療はありませんでした。

将来的には治せる!?


今回、柳沢先生の研究チームは、ナルコレプシーに治療効果のある物質を開発したということです。それはどんなものなのでしょうか?

「オレキシンそのものではなくて、オレキシンを鍵とすれば、鍵穴に当たる分子(受容体)に作用してオレキシンと同じような効果を出す物質を作れれば、原因のレベルでアタックできる薬になる」

柳沢先生の研究チームは、その物質を作るべく研究しており、少なくともマウスの実験では、治療に使える薬ができたそうです。この成果を活かして、少量を飲むだけで治療効果のある物質の開発を目指すということです。

ナルコレプシーへの理解


このナルコレプシー、発症しても周りから特別な病気だと周りから認識されず、気がたるんでいるなどと勘違いことも少なくないようです。
また自分自身も病気だと認識していない場合があり、患者さんにとって、社会生活をする上でとても不都合な状況にあります。
柳沢先生もこのように語っています。

「小学生の頃からナルコレプシーの症状が出ていたにも関わらず、40歳になって正しい診断が出たという患者さんもいます。患者さんの多くは社会的に卑下されてしまい苦しんでいます。今まで勉強の成績が良かったけれども、ナルコレプシーを発症してからはついていけなくなるなど、発症する前と比べて世界が変わってしまうと訴える方が多い。」

ナルコレプシーという病気が世間に知られることが患者さんにとっては重要なことだと、最後に先生は仰っていました。一刻も早い治療薬の完成が望まれます。
(ふで)
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2017年06月12日07時45分~抜粋

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