暮らしの素朴な疑問を解決していく「早川敦子のそぼQ」。
6/6のテーマは「ワインの栓に、いまだにコルクが使われているのはナゼ?」
早川敦子のレポートに対し、お酒ならなんでもOKという多田しげおと火曜アシスタントの原田裕見子が一緒に考えます。
ワインの栓に今もコルクが使われている意外な理由
みんなの意見はさまざまで…
「最近はスクリューキャップも多くはなってきているけど、私の印象では上等のワインはコルク栓。実は息しているとか言うよね」
口火を切る多田しげお。
「コルクが息するんですか?」何か意味ありげな原田裕見子。
まず「ワインの栓に、いまだにコルクが使われているのはナゼ?」について、早川が街頭インタビューを紹介します。
・密封性がいいから
・酸化しないため
・程よく外気と触れるため
・抜いたときポンと、音がいいから
いろいろご意見が分かれました。正解を、酒文化研究所の社長 加納拓也さんに伺いました。
コルクが使われはじめた起源は?
「ワインは何か栓が必要です。昔は木片だったのです。するとそこからワインが劣化したりします。
何かいい素材はないかと探していたとき、ちょうど地中海のあたりにはコルク樫の木がたくさん生えていました。コルクは狭いところに押し込めば膨らんで密閉できます。これに尽きます」
ワインの品質を長期間保つためには、空気を遮断する必要があった。その点、コルクは空気も水もほとんど通さないということでちょうどよかったのです。
加納さんの言葉に「息している、は逆だったんですね、空気を通さない方がいいのか」と驚く多田。
コルクvsスクリューキャップ
ワインの蓋に求められる一番の機能は密閉性。
ということは、最近よく見られるスクリューキャップはどうなんでしょう?
「中が酸化しないように封をするわけです。それと同じ機能はスクリューキャップに完璧にあります。だって絶対もれないし、空気もまったく出ないです」
「ということは、気密性を保つにはスクリューキャップでいいということ!?」と多田には意外な展開。「だって金属製ですもの」と当然といわんばかりの早川。
強いて言えば、コルクは優れている?
では、コルクが優れている点はどこなのでしょうか?
「よくワインを寝かせてコルクにワインが浸るようにしていますね。あれは100%密閉されているわけじゃない。0.0何%は空気の行き来がある。もしかしたらそれが熟成にいい結果をもたらしているのでは、という説もある。これはどっちかわからないです」
「強いて言うと、あるかもしれない」と言う多田に、さらに早川が補足します。
「化学的に証明されていないということです。むしろコルクは自然素材ですので、デメリットもあります。例えばコルクに変な臭いがついていたり、コルクが劣化して菌が繁殖していることが稀にあると。それによってワインの味が悪くなることがごく稀にある」
ソムリエがワインの栓を抜いた時に臭いをかぐのは、ワインの匂いはもちろん、コルク自体の状態も確かめているということでした。
では本題です。
いまだにコルクが使われている理由について、加納さんに伺います。
「立派な恰好をしたソムリエさんが出てきて、きゅきゅと開けてくれた方が絶対おいしそうだと思います。機能の面ではコルクを100%凌駕するものが出てきていない、ほぼ互角というものしかない。それならそれにプラスα、面白さ、演出、慣れているとかを含めたら、まだ切り替える理由に至らない」
それを聞いた多田。
「ソムリエさんのパフォーマンスか。ほぼ互角と言ったけど、スクリューキャップの方がいいよ。だって半分飲んだ後、ちゃんとすぐ栓ができる。コルクは入らない時があって、しゃあない全部飲まなあかんとなる」
と答えますが、それはただ飲みたいだけじゃないんでしょうか。
「実際フランスは食などに保守的です。だから機能面とか別に変らないならと、コルク栓が使われ続けている面もあります」と早川。
多田は「ヨーロッパとか、古い産地はそれをやめたら仕事がなくなってしまう人もいるだろうし、だから、オーストラリアなど新しい産地はさっさと移行できたということかもしれない」と納得します。
これから栓がコルクかどうかを見ながらワインを選ぶのも楽しいかもしれませんね。
(みず)
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