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驚愕の事実!昔は「化粧まわし」を着けたまま相撲を取っていた!

今度の日曜日・5月14日から、両国国技館で大相撲夏場所が始まります。稀勢の里が番付トップである東の正横綱となってから、初めて迎える本場所です。
その稀勢の里の横綱昇進披露パーティーが先日6日に開かれました。そこでお披露目となったのが、新しく作られた3組の化粧まわし。人気マンガ『北斗の拳』のキャラクターをあしらったことで、話題となりました。

さて、その化粧まわし。土俵入りの際には着けても、実際に相撲を取る時には着けませんよね。そもそもあの“ごっついエプロン”には何の目的があるのでしょう。

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隠すつもりがどんどん派手に


化粧まわしの起源は、もう江戸時代にはあったそうです。その頃は職業としての大相撲が活発に行なわれていて、歌舞伎と共に一般庶民の娯楽となっていました。
そんな中、どういう経緯で化粧まわしが誕生したのでしょう?

相撲に詳しいスポーツライターの須藤靖貴さんに話を伺いました。

「下半身の前の部分を隠そうという、美意識が元々ありまして。前掛けみたいなものをまわしに付けて、相撲を取っていたんです。それが、だんだん豪華になっていっちゃいまして」

江戸時代、多くの力士は藩のお抱えとなっていました。召し抱えられた力士は給料がもらえるのはもちろん、武士と同じ身分を与えられ、帯刀も許される破格の待遇。参勤交代にも参加し、大名行列に花を添えていたと言われています。
つまり、お抱え力士は藩の威信をアピールするための広告塔であり、当時の相撲興行は大名の力比べの意味合いが強かったのです。

そんな状況ですから、力士の見栄えも派手にしようとなりますね。
まわしの前掛けがだんだん長くなり、藩の家紋などがデザインされ、豪華になっていったのでした。これが化粧まわしの起源です。

「だけど、これじゃあとても相撲を取れないだろう、という話になっちゃったんですね。それで1764年(第10代将軍徳川家治の頃)くらいに、『化粧まわしは土俵入りだけにしよう』ということになったんです」

ファッションショーで、見た目はすごいけど実際に街中では着られないだろっていう衣装があります。あんな感じでしょうね。
それに、化粧まわし姿での取組を想像してみると、迫力のある社交ダンスにしか見えないかも。

お相撲さんは奇数が好き


ただ、現在でも“前掛けで大切な部分を隠そう”とする名残があると、須藤さんは言います。

「まわしに紐がいっぱい付いてますでしょ。『さがり』というんですけど、代わりにあれを付けたんです」

あの、居酒屋の暖簾みたいな紐ですね。「オヤジ、まだやってるかい?」と言いながらくぐりたくなるような。
前を隠すにしてはかなり心もとないですけど。超シースルーですけど。

「ちなみに、さがりの本数は17本とか19本とか21本とか、必ず奇数なんですよ。2で割れないですよね。お相撲さんは“割る”という言葉を嫌うんです。『土俵を割る』につながってしまうので」

そんなゲン担ぎがあったんですね。

3点セットの特別価格


ところで、化粧まわしのお値段って気になりますよね。それってお高いんでしょう?

「ケースバイケースでしょうが、最低180万円からとか言われてまして。上に行けばもう2000万円以上とか。伝え聞いてる限りなので、実際はもっと上かも」

本当にお高いモノでした(汗)。しかも、横綱になると更に倍!いや、3倍以上!なぜなら、横綱は3点セットで化粧まわしを作らないといけないからです。

「横綱の土俵入りは、太刀持ちと露払いとの3人でやるので、いわゆる“三つ揃え”の化粧まわしを使うんです。3つで1つのデザインだから、いろいろ凝る事もできる。だから高くなります」

今回の稀勢の里の化粧まわしは、『北斗の拳』の北斗3兄弟、ラオウ・トキ・ケンシロウが描かれています。ちょうど綺麗に揃えられましたね。
本当はジャギを含めた4兄弟なんですが、かなりの卑怯者なので、圏外扱いキャラによくされてしまうのです。

力士は繰り返す


そんな高価な化粧まわし、自費ではなかなか作れません。いわゆるタニマチ(後援者)が昇進祝いなどで贈ります。タニマチは個人だけでなく団体・企業の場合もあります。

稀勢の里の化粧まわしには、『北斗の拳』の著作権を管理している出版社名が大きく書かれています。以前、ブルガリア出身の大関・琴欧洲が贈られた化粧まわしには、ヨーグルトの商品名が入っていました。

このように最近では企業のコマーシャル的な意味合いも強くなってきています。もっとも、かつての力士は大名のイメージCMに起用されていたようなものなので、まさに「力士は繰り返す」と言ったところでしょうか。

テレビ中継するNHKにとっては、カメラワークが大変でしょうけれども。
(岡戸孝宏)
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2017年05月11日07時42分~抜粋

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