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日本郵政も苦境に…企業買収で払われる「のれん代」って何?

4月25日に日本郵政が会見を開き、2017年3月期の連結決算の最終利益が400億円の赤字に転落する見込みであることを発表しました。

2007年に民営化して初の赤字となってしまいましたが、原因は2015年にオーストラリアの物流子会社「トール・ホールディングス」を買収した際に払った「のれん代」が高すぎたからと言われており、その損失額はなんと4,000億円と言われています。

そもそも、この「のれん代」っていったい何でしょうか。
今日は神戸大学大学院経済経営研究所教授で、名古屋大学の客員教授である家森信善先生に伺いました。

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「のれん代」ってどういうもの?


「M&A」など国際的なイメージを持つ企業買収に対し、「のれん代」とは何やら古風な感じがしますが、この「のれん代」とは何でしょうか。

家森先生によると「企業の持っている純資産(現金・土地・建物など)と、実際に買収に使った金額の差」のことであり、普通は相手企業が持っている資産に加え、ブランド力・技術開発力・評判など、目に見えない価値を上乗せして買収しているのです。

例えば物流会社の場合、持っているトラックの台数や車庫の数が多ければ多いほど価値があるわけではなく、そこを買収すると儲けられそうだと考えて買収するわけです。

しかし「のれん代」を評価するのに、何か物差しがあるわけではないため、金額を決めるのが非常に難しく、これまでの業績がどうだったかよりも「これからの業績がどうなるか」を正確に予測する能力が大事になってくるのです。

なぜ日本郵政は大損をしたのか?


では今回なぜ、日本郵政は4,000億円もの巨額損失を計上することになったのでしょうか。
家森先生は、ふたつの悪いことがあったと言います。

ひとつは買収前に日本郵政がのれん代を6,000億円と高く見積もってしまったこと、もうひとつは買収後に日本郵政がトール・ホールディングスをうまく経営できなかったことが挙げられるとのことです。

東芝もアメリカの原発会社の経営に失敗していますが、日本の企業は海外の会社買収についてまだあまりノウハウを持っていない、つまり海外の会社に関する計画も経営もヘタなのです。

帳簿上の損と実際の損は違う?


多田がさらに「今回の件で日本郵政は帳簿上の金額を見直すという話が出ているが、帳簿上で出た損と実際に商売をして出た損は同じ意味ではないというのが、ちょっと難しい話ですね」と指摘します。

家森先生によると、実際のお金は2年前の買収の時に6,000億円無くなっており、今は回収モードの予定だったはずが、「トール・ホールディングス」が予想よりも業績が悪く想定通りに回収が進まなかったことにより、この会社の価値は2,000億円しかないとあきらめ、4,000億円分を捨てて帳簿上書き換えたということなのです。

今までは日本国内の経営だけを考えれば出世して経営側に回れたのですが、国内のマーケットが厳しいから海外に打って出ようとなると、いざ経営者になった時、外国人の方を使って経営すべきか、海外に出て外国の従業員のモチベーションを下げずに経営するか正しく判断することが重要となります。

その判断力が今後、大きな企業の経営者に期待されている能力ではないか、ということでした。
(岡本)
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2017年04月27日07時23分~抜粋

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