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観測隊員に聞く「南極」ってどんなところ?

1957年(昭和32年)に日本が南極で観測を開始してから、今年で60周年を迎えます。
という事で今日のテーマは「南極」。
第58次南極観測隊として3月23日に帰国したばかりの名古屋市科学館の学芸員、小塩哲郎さんからお話をうかがいます。

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お帰りなさい!小塩さん


48歳の小塩さんは2年前の第56次南極観測隊にも参加していて、今回は2回目の南極。
日本を離れていた4カ月のうち、南極には2カ月滞在し、研究者の補助を行っていたとの事です。

「経験があるので前回より楽かと思いましたが、忙しくて大変でした。研究者はやれることをいくらでもやりたいので、そのサポートで寝る時間がどんどん削られてしまうのです」と小塩さん。
多田は「寒くて大変だったのかな?と思いきや、忙しくて大変とは!」と驚いた様子。

南極大陸と言えば昭和基地が有名ですが、小塩さんはその昭和基地には今回3日しか滞在していないそう。
昭和基地は今回の研究の目的にそぐわないため、昭和基地からヘリで5~10分ほど、直線距離にして約20キロ離れた「S17」という観測拠点に1ヶ月半滞在していたとのことです。

南極でTシャツ?


小塩さんいわく、「真夏の南極はみなさんが想像しているよりも暖かいですよ」とのこと。

真夏(1月)の昭和基地は真冬の長野市とほぼ同じ気温だとか。
ただし、越冬隊が過ごす真冬はマイナス40度の世界になるそうです。
大きな発電機の排熱を利用した床暖房があるので建物の中は暖かく、なんとTシャツに近い格好で過ごすこともできるほどの場所もあるとか。

日本と変わらず生活できる昭和基地


南極観測隊には「調理隊員」として専属コックも同行。
料亭やホテルの料理長が、何トンもの食材を吟味して調達してきているので、南極でも高級料理に近いものが食べられます。
食事は最大の楽しみの一つなので、調理隊員は非常に気を使っておりメニューもバラエティーに富んでいます。
「食事は、明日へのモチベーションかもしれませんね」と多田は納得の様子。

また昭和基地にはお風呂も水洗トイレもあり、かなり快適です。
省エネや節水は気をつけますが、日本での生活と変わりません。
「そうでないと1年もちませんよ」と小塩さん。

越冬隊は全部で30人、加えて「夏隊」も同様に30人ほど。
観測船しらせの自衛官も滞在するため、一時的に100人以上の人数が昭和基地に集まります。
「夏場はちょっとした街ですね」と多田。
売店やコンビニはないものの、お菓子などはある程度持ち込めるとのこと。

越冬が始まると生活に余裕が出るので、DVDを見る「映画会」と言われる会が開かれることもあるそうです。

過酷だったS17ポイント


一方「S17ポイント」で1ヶ月半過ごした小塩さん。
とにかくいろいろな研究をしなければならない夏隊と、越冬隊では全く忙しさが違うと小塩さんは声を大にします。

ちなみに専属料理長がいる昭和基地とは違い、S17ポイントでは料理が趣味の小塩さんが全6人分の料理を作っていたとか。
風呂もないため介護用品の使い捨ての濡れタオルで体をふくなど、かなり過酷な環境だったそうです。

南極では何を研究してるの?


南極観測のテーマは生物・岩石・オーロラなど多岐に渡ります。
観測隊全体の目標としては「地球温暖化」や「気候変動」の解明とのことです。

南極大陸の上は分厚い氷で覆われ、その標高は最大で4,000メートルにもなります。
日本の研究者は3,000メートルの深さまで掘り進めており、その氷に含まれている70万年前の空気を取り出して調べているそうです。
昔の空気を調べるのは「大気」の分野にあたります。

中でも小塩さんの仕事は「高層気象ゾンデ観測」と呼ばれるもの。
ヘリウムで膨らませた直径1メートルほどの風船に、ティッシュの箱ほどの大きさのセンサーをつけて飛ばす仕事です。
そのセンサーでは気温・湿度の他に、GPS機能で高さと風の関係についても調べることができるそうです。

この観測が地球の将来を守る!


観測機器をつけた風船を一日に2個飛ばし、そのまま戻ってこないと聞き「ズバリ、結構なお値段でしょうね?」と切り込む多田。

数千円ではない、と暗に高額であると答えた小塩さんに対し、
「南極の上空の気象を観測するのは非常に重要なことなんですね。でも将来の地球にどう役に立つんですか」とさらに尋ねます。

S17ポイントにいた6人の中には、無人飛行機を飛ばして観測をする人、表面の雪の変化を研究する人もいます。
「エアロゾル」という今までは重要視されていなかったものがあり、それがオゾンホールなどの様々なものに及ぼす影響力がわかってきました。
そういったものから地球温暖化の予測の変化に対応するための研究が進められているとのことです。

多田は「近い将来の地球を守れるということにつながるわけですね」とまとめます。

小塩さんが勤める科学館の展示ボランティアの方からの「お帰りなさい」のメッセージを紹介し、「今後も科学館で小塩さんの南極のお話を聞く事ができるのを楽しみにしています」と締める多田でした。
(minto)
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2017年03月31日08時12分~抜粋

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