健康ライブラリー

健康ライブラリー 2022年3月27日

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●教えてドクター 
★3月のテーマ:特別対談「超高齢社会の医療課題」

葛谷雅文先生先生(名古屋大学医学部附属病院 老年内科)
八木哲也先生(名古屋大学医学部附属病院 中央感染制御部)
聞き手:後藤克幸(CBC論説室)


後藤:医学の研究、教育そして臨床を担う大学医学部が、社会に果たす役割、そして今日的な課題についてお伺いしたいと思います。

葛谷:以前に比べてとても医師の先生方が忙しくなっていると思います。臨床でも忙しいですし、教育も昔よりかなり力を入れて行われるようになっています。また名古屋大学は研究大学ですので、研究も進めなくてはなりません。時間的な余裕がないことを先生方は常に感じていると思います。また研究を行うためには資金が必要なのですが、以前より研究資金の獲得も難しくなっています。今後若い先生方が自由度のある研究をすることも必要だと思うのですが、その際いかに研究費用を獲得するかということが重要な問題になってくると思います。

後藤:八木先生は感染症がご専門でいらっしゃいますが、新型コロナの感染拡大に直面してお仕事にかなり変化があったのではないでしょうか?

八木:そうですね。通常時から私達は感染対策や感染症の診療の支援を行っていました。臨床面では他の診療科の先生方のバックアップのような形で仕事を行ってまいりました。またそれに加え学生教育と研究も行ってまいりました。ところがコロナの大流行によって感染対策に割かれる時間が非常に多くなりました。今回の新型コロナウイルスの対策について、日本製のワクチンや新しい薬がそろそろできてくると言われていますが、開発のスピードは欧米諸国と比べ見劣りがします。これは日本の大きな反省点だと思います。こういった新型コロナウイルスの流行のような状況はある程度想定しておかなければならなかったことです。研究開発・製造などについては国としての基礎体力を持っておかなくてはならない部分です。それがいざという時に瞬発力を持って発揮されなくてはならないと思います。そして研究大学もその役割の一部を担うべきだと思います。

後藤:老年医学がご専門の葛谷先生も、急速に進む超高齢社会という“社会課題”に向き合う力が、未来を担う若い医学生に求められている、とお考えでしょうか?

葛谷:名古屋大学医学部でも他の大学の医学部でもそれぞれ診療科として昔ながらの専門の集団があります。しかし医療は流動的で時代と共に重要性の上下も変動します。また今までになかった分野もでてくると思います。それに対して医療の分野はやや柔軟性に欠けるのではないかと思っています。昔ながらの良い部分は残しつつ、新しい組織を作ったり、新しいサポート体制を作ったりといった柔軟性が必要だと思います。そういった柔軟な動きは大学医学部においても今後、求められると思います。
やはり、周囲の地域があってこその大学医学部です。情勢に合わせた柔軟な対応が重要です。新しい分野や新しいニーズを敏感に察知して早め早めに対応できるような組織づくりが今後必要だと思います。

後藤:八木先生、若い世代の学生さんや研究者に贈るメッセージを頂けますか。

八木:広い視野を持って欲しいと思います。今回、コロナの対策のために何か新しい物を作ろうということで、我々も工学部の先生達と協働させていただいています。その他企業の方や学内の他学部とのコラボレーションも行われ私にとっては忙しい中でも新鮮な経験でした。色々は発想の方がいて化学反応のように新しい物を生み出していく知的な場が大学だと思います。名古屋大学も総合大学としてのパワーを発揮していかなくてはならないと思っています。葛谷先生もおっしゃったように、地域社会ともうまくつながっていかなくてはならないと感じています。
 
 

 
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