健康ライブラリー

健康ライブラリー 2022年1月30日

[この番組の画像一覧を見る]

●教えてドクター 
★1月のテーマ「ウイルス肝炎の正しい知識」

愛知医科大学 内科学講座 教授・肝胆膵内科 副部長
伊藤清顕 先生

アルコールをたくさん飲みすぎることにより、肝障害や肝炎や肝硬変が起こるがありますが、最近問題になっているのはアルコールを飲んでいなくても肥満によって脂肪肝などが起こりアルコールと同様の肝障害を起こすケースがあるということです。脂肪肝は現代では非常に多く、日本人の中では2500万人くらいいると言われています。肥満による脂肪によってアルコールの場合と同じように肝炎を起こし、それが肝硬変や肝臓がんの原因になることがあり、このような病気を非アルコール性脂肪肝炎(NASH: ナッシュ)と言います。肝臓に関して注意する場合は、アルコールを控えるということも重要ですが、体重の増え過ぎに注意するということも重要です。脂肪肝がひどくなると肝炎を起こすこともありますし、糖尿病の可能性がある方や中性脂肪やコレステロールが上昇している方は脂肪肝になっていることがあります。適度な運動を行い、食事に注意していただき甘い物を食べ過ぎないようにすることが重要です。また、肝臓病の方は鉄分を摂り過ぎると肝臓病を悪化させてしまう恐れがありますので注意が必要です。肝臓に良いと思われるようなシジミやサプリメントが逆効果になることもあり得ますので、鉄分を摂り過ぎるのは良くないということを覚えておいていただけると良いと思います。愛知医科大学には肝疾患相談室(電話番号:0561-61-1878)があります。何か肝臓に関することでお聞きになりたい場合は直接お電話して下さい。専門の肝疾患相談員がお答えしますし、わからない場合は私のところへつながります。ウイルス性肝炎や肝硬変の方に関しましては、色々な助成金制度や精密検査に関するサポートがありますので、この肝疾患相談室でお尋ねいただいたり、愛知県の肝炎ネットワークというホームページで調べていただいたりして適切なサポートを是非受けていただきたいと思います。
 
 
●スマイルリポート~地域の医療スタッフ探訪
小堤 歩 さん(愛知医科大学病院 医療福祉相談部・医療ソーシャルワーカー)

特に力を入れていること
当院は平成22年4月に愛知県から肝疾患診療連携拠点病院に指定され肝疾患相談室を開設しています。そこでは一般的な医療情報の提供や肝炎治療の医療費助成制度等に関する相談に対応しています。肝疾患の治療は長期にわたりますので、それをサポートするための医療費助成制度がいくつかあります。その中の一つに肝がん・重度肝硬変医療費助成制度という制度があります。この制度は世帯年収がおおむね370万円以下のB型・C型肝炎ウイルスが原因による肝がんまたは重度肝硬変の入院患者さん及び分子標的薬を用いた化学療法等を行っている通院患者さんが対象であり、月額1万円の自己負担で治療を受けることが可能となります。この医療費助成制度を少しでも多くの患者さんに利用していただくために、制度の要点を分かりやすくまとめたリーフレットを作成し、患者さんへお渡ししたり、外来・病棟にポスター掲示を行ったりといった、制度の周知キャンペーンを先月より実施しています。

今後の課題
ご自身がウイルス性肝炎に罹患している方より家族と周りの方への感染を心配される内容の相談がありました。そのような相談をいただく多くの方はHBs抗原が陰性でHBs抗体が陽性の状態です。それは過去に感染はしていますが、その後治癒したことを意味していますので他の方へ感染させる心配はありません。たとえ現在感染している方やHBs抗原が陽性の方であっても出血してしまった時の対応や、血液が付着する剃刀等を共有しないなどの注意は必要ですが、通常の日常生活を送っていただく分には、他の方へ感染させるリスクはほとんどありません。当院では患者さんとそのご家族を対象に医師等よりお話をさせていただく肝臓病教室を開催していますが、そこに地域住民の方にも参加していただけるように案内をしています。今後は若年の頃から肝疾患に関する正しい知識・理解を持っていただけるような活動を計画したいと思っています。
 
 

 
関連記事

あなたにオススメ

番組最新情報