健康ライブラリー

健康ライブラリー 2022年1月23日

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●教えてドクター 
★1月のテーマ「ウイルス肝炎の正しい知識」

愛知医科大学 内科学講座 教授・肝胆膵内科 副部長
伊藤清顕 先生

現在、B型肝炎に持続的に感染している方は日本人の約1%にあたる100-140万人程度と言われています。その中で約10%位の方が常に炎症を起こしている慢性肝炎で、その他の約90%の方は無症候性キャリアと言われ、肝臓の数値は正常な状態が続きほとんど治療を要しません。またそういった方々とは別に既往感染と言って過去に感染したことがある方々がいます。B型肝炎に一度でも感染しますと、核の中にB型肝炎ウイルスの遺伝子が残ってしまいます。それが一種の冬眠状態になり存在し続けるということになります。調査によると日本人の約20%~25%の方がそのような既往感染の可能性があると言われています。そういった方にどんな問題が起こるかと言いますと、通常の生活ではウイルスが出てくることはないのですが、抗がん剤治療を受けた場合や移植後やリウマチや膠原病にかかった場合に免疫を抑制する薬を使用すると、B型肝炎ウイルスが複製し出てきてしまい、それに対して復活した免疫が攻撃し肝炎を起こしてしまうことがあります。これはB型肝炎ウイルスの再活性化と言われて最近問題になっています。このような抗がん剤や免疫抑制剤の投与を受ける前には、過去にB型肝炎ウイルスに感染したことがあるかどうかを調べるということが大事です。B型肝炎ウイルス再活性化についてのガイドラインはしっかりできていて、まずはB型肝炎に感染しているかどうかを調べ、次に今感染していなくても過去に感染したことがあるかどうか抗体を調べます。今ウイルス自体が血液中に出ていなくても、PCR検査でウイルスのDNAが血液中に出ていないかを、抗がん剤や免疫抑制剤での治療中から治療後半年から1年位まで1~3カ月ごとに調べます。そこでウイルスが出てきたらB型肝炎に対する抗ウイルス剤を飲んでいただくことになります。疑問や不安は専門医やしっかりとした相談室にご相談いただくのが一番良いと思います。また、愛知医科大の肝疾患相談室(電話番号:0561-61-1878)へ、今日の放送への質問も含めご相談いただけます。
 
 
●スマイルリポート~地域の医療スタッフ探訪
田中竜二 さん(愛知医科大学病院 栄養部・管理栄養士)

特に力を入れていること
入院患者さんの楽しみの一つとして病院食がよく話題になりますが、病院食は美味しくないというイメージがあります。当院の病院食はニュークックチル方式を採用しています。これは食事の一部を提供の数日前から計画的に調理・生産した後、食事提供時に再加熱して配食するシステムです。「温かい物は温かく、冷たい物は冷たく」をモットーに、入院患者さんに美味しく食べていただけるようにスタッフが日々努力しています。栄養相談では管理栄養士が入院・外来患者さんを対象に、各疾患別に食事指導を行い、患者さんのライフスタイルに合わせて負担なく食事改善に取り組めるようサポートしています。また管理栄養士が、栄養サポートチーム、緩和ケアチーム、糖尿病療養支援チーム、摂食嚥下チーム等に、チーム医療の一員として積極的に参加し、他職種とも連携して患者さんの治療支援に努めています。

心に残るエピソード
非アルコール性脂肪肝である肥満患者さんに対して、外来にて約1年間継続して食事指導を行いました。患者さんは40代独身で一人暮らしの男性です。食事は1日のうち昼・夕の2食のみで、自炊は一切せず外食またはコンビニ食です。また食後に間食習慣があり、運動不足というライフスタイルでした。指導当初、患者さんは「健康診断でひっかかって、会社から病院へ行けと言われて受診したけど、別に痛くも痒くもないし何で定期的に受診したり栄養相談を受けたりしないといかんの?」とやや不満そうでした。そこで病気の性質から説明し、患者さんのライフスタイルを尊重しつつ、徐々に改善していくよう根気よくお話ししました。その結果1年後には10%の減量に成功し、脂肪肝・肥満共に改善し、患者さんに感謝されたことがいまだに印象に残っています。やはり患者さんに知識だけを植え付けるのではなく、一緒に考えていくというのが相談の基本であると改めて思いました。
 
 

 
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