健康ライブラリー

健康ライブラリー 2022年1月9日

[この番組の画像一覧を見る]

●教えてドクター 
★1月のテーマ「ウイルス肝炎の正しい知識」

愛知医科大学 内科学講座 教授・肝胆膵内科 副部長
伊藤清顕 先生

慢性肝炎の中のB型肝炎は母子感染や集団予防接種が原因の感染といった幼少期の感染が持続している場合が多いです。現在では母子感染についてはワクチン投与やグロブリンの投与でほぼ防ぐことができます。集団予防接種による感染についても針や注射器の交換によって防ぐことができています。子どもの頃に感染して持続感染しているとほとんど症状はありません。ですので早期発見・早期治療につなげるには血液検査によって、抗原検査や抗体検査で発見する必要があります。膵臓と同じく肝臓も沈黙の臓器と呼ばれ、症状が現れないのが特徴です。そのため早期治療につなげることがなかなか難しいです。職場などで定期検診を受けることも大事ですが、B型肝炎やC型肝炎の検査を受けているつもりでいても、実は定期検診や健康診断の項目に入っていない場合があります。B型肝炎やC型肝炎の検査を受けているかどうかわからない方は、B型肝炎の抗原検査やC型肝炎の抗体検査を保健所や提携しているクリニックなどでも無料で受けることができますので、そういった所で一度はしっかり検査していただくことが大事です。どういった場所でいつ無料検査を受けられるかといった情報は、愛知医科大学の肝疾患相談室(直通0561-61-1878)へお電話いただければお伝えすることができます。ウイルス性肝炎についてはしっかり肝臓の専門医に受診していただく必要があります。
 
 
●スマイルリポート~地域の医療スタッフ探訪
犬塚涼子 さん(愛知医科大学病院 薬剤部・薬剤師)

特に力を入れていること
薬の専門家として患者さんの薬物治療がより効果的により安全に行われるように、そして何より患者さん自身が安心して薬物治療を受けられるように努めています。また緩和ケアチームの薬剤師としても活動も行っておりまして、痛みや食事が食べられないなどの辛い症状を和らげ自分らしい生活が送れるよう、症状に合った薬の提案や上手な薬の使い方の提案などを通してお薬の面からサポートさせていただいています。さらに肝炎コーディネーターとしても活動させていただいています。肝臓病教室などを通して肝炎をはじめとする肝臓病に使われるお薬について、効果や副作用、副作用についての対策方法や日常生活での注意点をお話しさせていただいています。

心に残るエピソード
肝臓がんの診断を受けた患者さんで、「もうおしまいだ。何も治療したくない。このまま痛みで苦しんで死んでいくだけだ。」というように悲観的になっていらっしゃる方がみえました。その方に対し、今は効果的な薬物治療の方法が増えていることや、薬の副作用への対応策も進歩していることや、痛みについては痛み止めのお薬を上手に使っていくことで和らげることも可能であるということをお話しさせていただく機会がありました。そうしましたら少し前向きになられて、「それなら治療をがんばってみようかな。まだやりたいこともあるしな。」と言っていただき、治療を始めることができました。そしてその後も治療を続けていらっしゃいます。

今後の展望
ウイルス性肝炎の抗ウイルス薬や肝臓がんに使われる抗がん剤は、副作用をできるだけコントロールしながら、効果的に続けていくことが大切になってくるものです。飲み合わせや食べ合わせの注意が必要な薬も多く、副作用の予防や副作用への早めの対応がとても重要です。薬剤師として、小さな不安や心配事を何でも相談できるような存在でありたいと常に思っています。
 
 

 
関連記事

あなたにオススメ

番組最新情報