健康ライブラリー

健康ライブラリー 2021年11月28日

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●教えてドクター 
★11月のテーマ「コロナ禍の妊娠出産」

名古屋大学医学部附属病院 産婦人科 教授
梶山広明 先生

新型コロナウイルスに感染された妊婦さんから赤ちゃんへの感染は非常にまれだと考えられています。妊娠中に新型コロナウイルスに感染することにより、赤ちゃんが病気を引き起こすこともまれですし、出産に伴う赤ちゃんへの感染もまれだと考えられています。ですのであまり心配する必要は無いかと思います。出産後の赤ちゃんとの接触については医療機関のご指示に従っていただくことになると思います。里帰り出産については新型コロナウイルスの蔓延状況によって制限される場合もあります。ただし、どうしても里帰りしなくては出産が難しい場合もありますので、個別の状況をもとに先生と相談していただきたいと思います。今までは産後の面会などが制限されていたのですが、新型コロナワクチン接種が済んでいる方は面会を許容するというような個別の対応もなされていますので医療機関に確認していただくと良いかと思います。
 
医療コラム 新型コロナ対応・・・教訓から学び次への備えを!
論説室 後藤 克幸

新型コロナの治療薬の開発についての新しいニュースが相次いて報じられています。7月に厚生労働省は抗体カクテル療法を使用承認し、これまで3万人以上の方に使われて重症化を防ぐ効果を発揮しています。さらに厚生労働省はこの抗体カクテル療法につぐ2番目の新しい点滴治療薬を9月に承認しました。いずれも点滴薬ですので、病院で医療スタッフの管理下において使用するのが基本です。

今後の注目はやはり飲み薬の開発です。アメリカの企業がこの飲み薬を開発し、臨床試験のデータを公表しました。それによりますと、この薬を飲んだ患者は、入院や死亡のリスクが、飲まなかった患者の半分に減ったということです。この薬についてイギリスのオックスフォード大学の感染症の専門家は、安全で扱いやすく効果的な飲み薬が得られれば、新型コロナとの戦いは大いに前進すると高く評価しています。そして世界の期待も高まっています。おそらくこの薬は今年の暮れから来年にかけて、日本を含む各国で使用が承認され、いよいよ実用化へ向かうと予測されています。

日本国内の製薬企業でもこうした飲み薬の開発を進めています。複数の企業で臨床試験も始まっていると伝えられています。自宅での服用が可能な新型コロナの飲み薬が実用化されていきますと重症化する患者が減って、医療の逼迫も緩和されていくことになります。 

長かったトンネルに出口が見えてきたとも言えます。しかし、トンネルの出口が見えているとはいえ、今はまだトンネルの中にいることもしっかりと認識しなければいけません。新薬が実際に私たちの周りの医療機関で使われるような環境が整うまでは、感染対策は今まで通り続けていくことが必要です。

そしてトンネルを抜けるまでに、今私たちが準備すべきこともあります。この1年あまりの様々な新型コロナとの戦いの中で、私たちが得た教訓を活かした対策の強化です。例えば患者が急増した場合に対応できる入院ベッドの確保を速やかに立ち上げる仕組みづくりなどです。そして入院ベッドを確保するためには看護師など医療スタッフの支援体制も構築しておかなければいけません。こうした対策の強化を日頃から積み重ねていく必要があります。

これまでのコロナ対応の教訓から学び、そして次へ備える・・・いつやるか?今でしょ!
 
 

 
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