健康ライブラリー

健康ライブラリー 2021年10月24日

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●教えてドクター 
★10月のテーマ「呼吸器外科の病気」

名古屋大学医学部附属病院 呼吸器外科学教授
芳川豊史 先生

肺がんの外科治療としては、低侵襲手術と言いまして、きるだけ傷を小さく肺の切除する部分も小さく行うという手術が進んでいます。特に日本は低侵襲手術が進んでいて、胸腔鏡手術(頭文字をとってVATS:バッツとよびます)という手術が、日本の肺がんの外科手術の7割を占めています。消化器外科では腹腔鏡手術と言われますが、肺の治療では胸腔鏡手術といいます。そういった手術が開胸手術より増えています。胸腔鏡手術の際に開ける穴はとても小さく、3~4つ位の穴を開けて行う手術が典型的です。最近では単孔式(シングルポート)と呼ばれる、大きめの穴を1つ開けて行う手術が日本でも少しずつ広まっています。単孔式の場合は3㎝~5㎝位の穴を開けますが、多孔式の場合には1㎝位の穴を3~4つ開けて行います。いずれにせよ、小さな穴の方が手術をした時に痛くなく、見た目においても患者さんにとってストレスが少ないのではないかと考えられています。胸腔鏡手術は拡大視もできますし、最近では、ロボット技術を用いて胸腔鏡手術を行う、ロボット支援下手術が保険適用になっています。これは全国にも広まっていて、より手振れが無いようなきれいな視野で行うことができます。それによって老眼によって見づらくなる心配が無くなり、外科医として活躍できる期間も延びるのではないかと期待されています。回復のスピードも開胸手術より胸腔鏡手術の方が早いと言われています。しかし開胸手術も重要で、浸潤(がん細胞が周囲の組織に広がっている状況)してしまっている場合の大きな手術に関しては、安全性や確実性の面から必要な手術ではあります。一番大切なのは根治性です。外科なのでしっかり取り除くということが重要です。それが担保されているのであればできるだけ小さな傷で済む胸腔鏡手術のような低侵襲手術が良いと思います。
 
 
●スマイルリポート地域の医療スタッフ探訪
塩飽正裕 さん(特別養護老人ホーム・おおて幸楽園 事務長)

特に力を入れていること
特別養護老人ホーム「おおて幸楽園」は10年目に入りました。4年前からフィリピン人が派遣社員として入り、多い時はフィリピン人7名、ベトナム人4名が派遣社員として働いていました。現在はフィリピン人5名が正社員として働いています。介護職員の人手不足は長く続いています。令和7年には介護職員の不足が約34万人になると言われています。有効求人倍率は4倍となり、1人の介護職員を4つの事業所で取り合うという状況となります。国も介護職員の人手不足に対応して在留資格、EPA、技能実習制度、特定技能制度などの外国人労働者の受け入れのための制度を充実させていますが、金額面などの問題でなかなか難しいのが現状です。そこで当施設で考えた方法は、現在働いているフィリピン人の人達に自分の友人を紹介してもらうという方法です。そうすることによって、全く知らない人を採用するより、スムーズに仕事に適応していただけます。他の施設の例で、採用した人が急に休んだり、早退したり、遅刻したり、辞める時に何人かで一緒に辞めるというケースが多いと聞きますが、そのようなことは当施設ではありません。紹介者の中には前職が介護職員だった人もいますが、ホテルのベッドメイキングや掃除をしていたという人も多いです。調理の経験者であれば、すぐに調理や盛り付けができ、盛り付けがとてもきれいだと言われています。このような紹介での採用の仕組みを続けていきたいと思います。

心に残るエピソード
施設長が小学生の国語の問題集を買ってきて、問題を解きながら日本語の勉強をしたり、フィリピン人同士で教え合ったりするようになりました。日本語が通じない時は、通訳機のポケトークを使って勤務内容や給与の内容を説明しました。以前に派遣会社を利用していたことがありましたが、担当者から、給与はもらったらもらっただけ使ってしまう人が多く、貯金をするということが少ないと聞いたことがありました。少しずつ説明していって、今では全員が社会保険や厚生年金に加入し、貯金をする人も増えてきました。最近では生命保険に入りたいといと言ってくる人も出てきました。

今後の課題
高齢化社会による労働者の減少は国全体の問題であって、外国人人材の雇用はどの業界でも必須となっています。そういった外国人の職員も含め、特別養護老人ホーム「おおて幸楽園」は利用者やそのご家族から、ここに来て良かったと思っていただけることを第一に心がけています。明るく優しく親切に対応していますので、何かお困りのことがありましたら一人で悩まれずに是非ご相談下さい。
 
 

 
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