健康ライブラリー

健康ライブラリー 2021年10月10日

[この番組の画像一覧を見る]

●教えてドクター 
★10月のテーマ「呼吸器外科の病気」

名古屋大学医学部附属病院 呼吸器外科学教授
芳川豊史 先生

今、日本で肺がんの患者さんは年々増加している状況だと思います。おそらく昔から肺がんの患者さんは一定数いらっしゃいましたが、現在問題になっているのはたばこを吸わない方の肺がんも増えているということです。これは、たばこを吸わない方の早期肺がんが見つかりやすくなったということによるのかもしれません。日本は非常にCTが普及している国です。これは医療レベルが高いということにもなるのですが、何か症状が現れて必要な場合には、速やかにCTを使って検査できる環境にあるということです。その際に偶然肺がんが見つかることもあります。定期検診で肺のレントゲンを撮るということは非常に重要です。レントゲンを撮る際には被ばくという問題はありますが、必要な時には必要な状況でしっかり検査するということは行うべきだと思います。また、自覚症状があって肺がんが見つかるということもあります。症状として多いのは血痰と胸痛です。肺は気道でつながっているのですが、その気道にがんが発生した場合に血痰が出ることがあります。我々医師は中枢型と呼びますが、心臓に近い所に肺がんが発症した場合に血痰がでることが多いです。胸痛は胸膜という肺の外の膜の部分で痛みを感じます。ですので胸痛が起こる場合というのは、すでに肺の中でがんが大きくなり、肺を破って胸膜まで出てきた状態です。基本的には早期肺がんには自覚症状がほとんどありませんので、定期検診を受けていただき早期に発見するということが非常に重要です。
 
 
●スマイルリポート地域の医療スタッフ探訪
野口佳世 様(熱田区いきいき支援センター 認知症地域支援推進員)

特に力を入れていること
認知症カフェの支援に力を入れています。コロナ禍で現在多くの認知症カフェが開催を見合わせています。感染状況がおさまった時期に一時的に再開した認知症カフェもありますが、継続的な開催には至っていません。全国各地どこも同じような状況だと思いますが、今のような状況が1年半以上続いています。担当者の方にモチベーションを保ってもらい、感染状況がおさまった時に認知症カフェを再開して欲しいと思い、新聞を発行しています。「あったか熱田NEWS」というA4サイズ両面の手作りの新聞ですが、認知症カフェのボランティアさんや担当者に話を聞き、参加したきっかけや継続への思いなどを記事にしています。

心に残るエピソード
熱田区内のすべての認知症カフェをまわって、認知症であるお母さんが安心して出かけられる場所を探した男性のエピソードが心に残っています。その男性は6年前自宅に引き取って同居を始めたお母さんが、近所に知り合いもなく閉じこもって暮らす姿を見てとても心配していました。当初は介護保険を申請とデイサービスの利用を提案しましが、お母さんはデイサービスに行きたくないという思いが強かったそうです。そこで自宅近くの認知症カフェに誘ったところ、他の参加者の話に気持ちが動いてデイサービスに興味を持つようになりました。今では週に4日デイサービスに行って、知り合いも増え、色々な話をしてくれるようになったそうです。そしてお母さんのために探した認知症カフェが、いつの間にかその男性にとって居心地が良い場所になり、ボランティアとして参加するようになりました。

今後の課題
熱田区には現在12か所の認知症カフェがあります。たくさんの人数でわいわい楽しめる所もありますが、一軒家のリビングでアットホームな雰囲気で過ごせる所もあります。担当者が何年もかかって育ててきたカフェなので、それぞれのカフェには工夫や思いがつまっています。そんな認知症カフェに関わる方の思いを丁寧に聞き取り、伝えていくことで、カフェを始めた時の思いや参加者の笑顔を思い返してもらい、再開へのモチベーションを維持してもらいたいと思っています。そして新型コロナウイルスの感染状況がおさまった後、多くの認知症カフェが再開することを願っています。
 
 

 
関連記事

あなたにオススメ

番組最新情報