健康ライブラリー

健康ライブラリー 2021年10月3日

[この番組の画像一覧を見る]

●教えてドクター 
★10月のテーマ「呼吸器外科の病気」

名古屋大学医学部附属病院 呼吸器外科学教授
芳川豊史 先生

呼吸器外科での診察は、基本的には胸全般を見せていただくことになります。左右の肺の間でかつ心臓の前の部分を縦隔と言います。そういった部分も私たち呼吸器外科医の専門領域になります。その他にも胸膜と言われる肺を覆っている膜や、あばら骨の裏側を覆っている膜や、胸の壁である胸壁も、私たちの専門領域になります。肺に起こる症状として一番多いのは肺がんです。また縦隔にできるできものは縦隔腫瘍と呼ばれ、その中でも一番多いのは胸腺腫です。胸腺というものは10代から20代で自然に退化してほぼ無くなっていくのですが、それが無くならずに、部分的に大きくなる場合があり、それが胸腺腫の発症へとつながります。胸腺腫は肺がんほど悪性ではないのですが、胸腺の一部が大きくなって周りの組織に染み込んでいったり転移したりすることがあります。またあばら骨の裏側を覆っている膜にできる中皮腫というものがあります。アスベストがこのような症状を起こすというのがわかっていなかった時期にアスベストを吸い込んでしまった方がかなりいらっしゃいますので、2030年から2040年位までは日本でも中皮腫を発症する方が増えると言われています。また気胸というのは肺の表面の胸膜が弱くなる病気です。チューインガムが膨れた時のように胸膜が膨らみ、そこに穴が開いてしまいます。肺というのは中に空気があって広がっているので穴があくとパンクしてしまいます。タイヤのパンクと同じように肺がしぼんでしまい、息がしにくくなり胸が痛くなります。自然気胸と言って特に若い人がかかりやすい病気です。自覚症状があるので病院へ行くことになりますが、病院へ行けばドレーンを入れて肺をのばしたり、場合によっては手術をしたりします。気胸は良性の病気なので症状があったらすぐに病院へ行き一番適した治療をしていただくと良いと思います。
 
 
●スマイルリポート地域の医療スタッフ探訪
木村佳世 さん(名古屋市瑞穂区社会福祉協議会 地域福祉推進スタッフ)

特に力を入れていること
私は名古屋市から委託を受け、瑞穂区社会福祉協議会が行っている、「名古屋市高齢者はつらつ長寿推進事業」を担当しています。この事業は介護保険制度の中の一般介護予防事業で、高齢者が介護予防や認知症予防を学びながら仲間づくりを行ったり、自主活動やボランティア活動へ参加したりするなど、地域の中でいつまでも生き生きと生活できるよう支援する事業です。手作り帽子を抗がん剤治療中の方に贈るボランティア団体、スマイル中部支部様の活動を知り、自宅でできる社会貢献活動として、高齢者はつらつ長寿推進事業参加者の方々に手編み帽子を作成するボランティアを募りました。この活動が地域にも広がり、約500枚の帽子を愛知県がんセンター他6病院にお届けしました。その他にも認知症マフづくりの活動にも力を入れています。これは認知症の人が、毛糸で編まれた筒状のニット製品(マフ)に手を通し、毛糸やリボンに触れることで気持ちを落ち着かせるためのものです。イギリスが発症で病院や介護施設で活用されています。

心に残るエピソード
手編みの帽子をお届けした方からは、「久しぶりにたくさんの帽子の中から自分の好きな物を選べておしゃれを楽しむことができました」、「とても嬉しくてかわいくて涙が出ました」、「頭の手術をして傷を保護しなくてはならなくなり、夏向きの涼しそうな帽子をいただきました」、「世界で一つだけの一点ものの帽子、大事に使わせていただきます」、「抗がん剤治療に向けて愛情たっぷりの帽子、とても気に入り治療中のお守りとして大切に使わせていただきます」、などお礼のメッセージをたくさんいただくことができました。ボランティアの皆さんと活動していく中で、「私たち職員は帽子や認知症マフが作れず、皆さんをつなぐだけでお礼や笑顔がいただけて申し訳ないです」とお話すると「つなぐことが大事なのよ。そうじゃなかったら私たちボランティアの思いが届かないでしょ」とおっしゃって下さいました。この活動に関わって下さった皆さんには本当に感謝しています。

今後の課題
コロナ禍であっても、ボランティアを通してやりがいを感じていただきたいという思いでこの活動を始めたのですが、ボランティアや地域の方々の相手の気持ちに寄り添って活動する心の温かさにふれて、自分自身もそれに支えられていることを実感しました。これからもボランティア活動を推進し、笑顔の輪を広げていきたいと思っています。
 
 

 
関連記事

あなたにオススメ

番組最新情報