●教えてドクター |
名古屋大学医学部附属病院 地域医療教育学講座 准教授
岡崎研太郎 先生
糖尿病になりやすい生活のスタイルがあるということが、これまでの研究でかなりわかってきています。その中の一つとしてストレスによる生活の乱れがあります。ストレスによって食べすぎたり飲みすぎたり運動不足になったりすることはよくあると思います。その結果体重が増えたり体の中の内臓脂肪が増えたりすることで、糖尿病になりやすくなることがわかってきました。糖尿病に気をつけるにあたって、食事の面から手軽にできることをお伝えします。「体重を減らしたい」、「血糖値が気になる」と思っていらっしゃる方は、ご飯を食べるお茶碗を一回り小さいサイズに変えるだけでも効果が現れると思います。人間は不思議なもので、ご飯をおかわりすると満足感や満腹感を感じます。普段より一回り小さいお茶碗でご飯を食べれば体に入ってくる炭水化物の量やカロリーの摂取量は減るわけですが、いつものようにおかわりをすれば、満足感は普通のお茶碗で食べた場合とさほど変わらないとされています。この方法で血糖値が下がったという方も多くいらっしゃいます。次に運動の面からできることをお伝えします。運動はそれぞれの方にとって、始めやすく、やりやすく、続けやすい方法が良いと思います。「歩くことは健康に良いですよね?」とよく尋ねられます。歩くことは手軽にできる運動ですので、クッションの良い運動靴を買っていただいて、しっかり水分を摂りながら、危険のないルートで、安全な時間に行っていただくことはとても良いと思います。ところが中には太極拳が好きな方もいらっしゃれば、エアロビクスやヨガ、ラジオ体操やテレビ体操が好きな方もいらっしゃいます。どのような運動であってもしっかり動いてカロリーが消費されさえすれば良いと思います。種目によって効果に大きな違いはないと言われています。運動の継続時間についてですが、以前は「歩く場合は30分続けて歩かないと脂肪細胞が燃え始めないのであまり効果が無い」と言われていました。しかし最近では、朝10分歩き、昼ごはんの後に10分歩き、夕方に10分歩くというように小分けにして歩いても、30分続けて歩いても効果に大きな違いはないことがわかっています。お忙しい方は特に小分けにして運動するという方法も良いのではないかと思います。「こうでなければならない。」という方法はないので、医師と相談しながら、ご自分に合った方法を見つけていっていただければと思います。