健康ライブラリー

健康ライブラリー 2021年8月1日

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●教えてドクター 
★8月のテーマ「糖尿病医療の最新情報」

名古屋大学医学部附属病院 地域医療教育学講座 准教授
岡崎研太郎 先生

糖尿病にも様々な種類があります。例えば、ある日突然膵臓からインスリンというホルモンが出なくなってしまう1型の糖尿病があります。1型の糖尿病の方は生きていくためにインスリンの注射を打つか、インスリンをポンプという形で体に入れなければなりません。ただし今回は、糖尿病の中で患者数が多く、皆さんが「糖尿病」と聞いてイメージすると思われる2型の糖尿病についてお話をしていきたいと思います。2型の糖尿病は、血液の中の糖分の濃度が異常に高くなってしまうのが特徴です。糖分が高い血液が血管の中や臓器の中を回っているうちに、血管や内臓にダメージを与えてしまうのが一番の問題です。私達の身体は血糖値が下がりすぎる低血糖という状態にならないように設計されており、低血糖にならないために血糖値を上げるホルモンはたくさんあります。ところが血糖値を下げるホルモンはインスリンしかないと言われています。インスリンが不足した場合、または膵臓がインスリンを出していても、それ以上に体の外から入ってくる食べ物等が多すぎる場合、あるいは体を使う運動や活動の量が少ない場合、血糖値が上がりやすくなると言われています。また2型の糖尿病はほとんど自覚症状がないのが特徴です。東京大学の名誉教授に「バカの壁」というベストセラー本を書かれた養老孟司先生がいらっしゃいます。その養老先生が私の恩師との対談の中で、「糖尿病というのはバーチャルな病気だよね」とおっしゃっていました。まさにその言葉の通りで、血液の検査をして血液の中の糖の数字を測らなければ糖尿病かどうかということは判定できません。また、すでに糖尿病であっても糖尿病の調子が良くなっているのか、それとも上手くいっていないのかも血液の検査をしなければわかりません。問診や、聴診器を使っての診察だけでは、糖尿病の調子が良いかどうかということは容易にはわかりません。とにかく血液の検査が絶対に必要であるということが特徴です。糖尿病を見つけるためには日頃から自分の健康に高い関心を持ち、人間ドックや定期健診を受けることも重要です。自覚症状があって糖尿病が見つかる場合もあります。例えば、喉が異常に渇いたり、尿の回数が増えたり、特に何もしていないのに体重が増えたり、あるいは体重が減ったり、といったことから糖尿病が見つかることも珍しくありません。自分の健康に関心を持ちつつ、症状が現れた場合は医師に相談することが重要です。
 
 
●スマイルリポート地域の医療スタッフ探訪
冨成祐介 さん(長久手温泉 健康推進課長 健康運動指導士)

特に力を入れていること
私が所属する長久手温泉は長久手市の介護予防事業を5年間受託して運営しております。その中でロコモ予防を目的としたオリジナル体操を作りました。ただなかなか自宅で継続的に取り組んでいただくことができていないのが現状です。遊びの要素が無いと自宅で継続することは難しいのではないか?と考えました。そこで今私が取り組んでいるのがけん玉です。けん玉は下半身を中心とした全身運動で、リズム感やバランス力等も養われます。普段は全く運動することがなく、けん玉を初めて行う方が2週間後の教室では安定して、けん玉の玉をお皿に乗せられるようになりました。毎日けん玉を持つことを日課とされて自宅で練習されていたようです。

心に残るエピソード
現在ご夫婦で健康教室に参加されている70代の方ですが、初めはご主人が1人で参加されていましたが、奥様もけん玉に興味を示されて、ご夫婦で参加されるようになりました。普段そのご夫婦は自宅ではあまり会話をすることがないと聞いていました。ある日、ご主人が1人でけん玉をしていたら奥様が近づいてきて一緒にけん玉をされるようになったそうです。今ではお二人で「寝る前に連続10回お皿に玉が乗るまで寝れないと。」いうルールを決めてけん玉をすることもあるようです。

今後の課題
自宅で自分のペースで遊び感覚で続けられるのがけん玉の魅力です。けん玉を通して教室に参加すると、人との交流や社会参加が増えるので認知症予防にも期待されています。けん玉が、足の筋力向上とあわせて介護予防に効果的であるというエビデンス(根拠・証拠)が得られると良いと考えています。また65歳以上の高齢者が100名以上連続でけん玉の大皿に乗せるという企画にも挑戦もしたいと考えています。目標に向けて挑戦して意欲が向上することで高齢者が生き生きと活躍する社会を応援したいと思っています。
 
 

 
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