健康ライブラリー

健康ライブラリー 2021年7月18日

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●教えてドクター 
★7月のテーマ「ワクチン接種の現状と課題」

名古屋大学医学部附属病院 中央感染制御部教授
八木哲也 先生

今話題になっている変異株に対してワクチンの効果が完璧かと言いますと、そうではありません。しかし十分な予防効果は得られますので、現在行われているワクチン接種を2回粛々と接種していくことが重要だと思います。現在、患者さんのリスク別の優先順位を度外視した形でワクチン接種が進んでいまして、ワクチン接種のスピードをアップすることについては有効な方法だと思います。しかしそういった中で、「私は合併症があるので早くワクチン接種を受けたい。どうして私には接種の順番がまわってこないのだろう?」と焦りを感じている方もいらっしゃるかもしれません。そういった方々に対してワクチンが行きわたらないということはありません。ワクチン接種の順番が当初の計画より変わってはいますが、多くの方々のワクチン接種が進めば、合併症のある方が感染するリスクも減っていきます。ですので少し順番を待っていただき、自分の順番が来た時に速やかに接種していただければと思います。自治体によっては優先順位を見直しながら、なるべく早く基礎疾患をお持ちの方などに優先的に接種していただく取り組みをする動きもでてきています。行政も柔軟に対応していると思います。多くの方がワクチン接種を行えば、集団免疫によってワクチン接種ができない方を守る効果が高まります。厳密に言いますと集団免疫を完全に効果的にするには高い接種率(約70%)が必要となりますが、新規の患者さんが実際減ってきているという現状に着目しますと、もう少し低い接種率でも効果的であると言えます。そのためには、より多くの方がより早くワクチン接種を行うということは非常に重要なことだと思います。
 
 
スマイルリポート 地域の医療スタッフ探訪
山下律子さん(NPO法人 地域の応援団えがお 理事長)

特に力を入れていること
「NPO法人 地域の応援団えがお」は7年前に立ち上げた法人なのですが、どんな状態でも自分が望む場所で自分らしく暮らせる地域を作りたい、ということで立ち上げました。今一番力を入れているのは、認知症になって行く場所がなくなってしまっている方々が楽しみながら自分がやりたいことを選んで行えるような場所を作る活動です。具体的には地域の本屋さんの中にある喫茶店で、「いきいきカフェ」という認知症カフェを開いています。

心に残るエピソード
デイサービスを始めてすぐの頃、ある一人の認知症の男性から言われた言葉が今も忘れられません。その方は要介護3で、足が丈夫でしたが認知症が進行していました。その方はデイサービスに来ることを「職場に働きに来ている。」と思っていらっしゃいました。ですのでデイサービスのスタッフに「働く者の心得」をお話して下さいました。また、デイサービスのスタッフが付き添ってゴルフの打ちっぱなしに行った際には、ゴルフのクラブを構えるとシャキッとされて、「こういうふうに打つといいんだよ。」「こんなふうに構えるといいんだよ。」と、とても優しく丁寧にアドバイスして下さいました。奥様はご主人の認知症の進行を少しでも食い止めようと毎日、新聞の書き写しや計算ドリルを勧めておられましたが、ご本人はあまり楽しくなさそうでした。定期的に東京まで認知症の治療に通っていらっしゃって、そこでは認知症の検査が毎回行われてました。少しでも良い結果がでるようにと奥様が行きの新幹線の中で、ずっと検査の問題と答えを覚えさせようとしていらしたそうです。デイサービスでその認知症の男性に「長谷川式」という認知症の検査を行ってもらおうとしたのですが、ご本人が、「これで私の一体何が測れるというんですか?」とおっしゃいました。厳しい表情で言われたその言葉には、その方の静かな悲しみと怒りが込められており、胸に刺さるようでした。「こんな検査で人間の価値の何が測れると言うのか?」「認知症が進行しようと、その人の素晴らしさは何ら損なわれるものではない。」と深く胸に刻みました。

今後の抱負
デイサービスは介護保険を使っている人しか使えないサービスです。ですので、デイサービス以外にも誰でも気軽に参加したり、色々なことを持ち寄って作り上げたりできるような、様々な場を作っていきたいと思っています。例えば介護予防の教室を行ったり、認知症のご本人たちと一緒に料理を作ってご飯を食べたり、囲碁や麻雀などを楽しむ麻雀クラブを開いたりといったことができるような場です。このような、認知症になっても楽しく過ごせる場を地域の人達を一緒に作っていきたいと思っています。
 
 

 
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