健康ライブラリー

健康ライブラリー 2021年7月11日

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●教えてドクター 
★7月のテーマ「ワクチン接種の現状と課題」

名古屋大学医学部附属病院 中央感染制御部教授
八木哲也 先生

日本での新型コロナワクチン接種について、政府は当初より1日に100万接種という目標を掲げていました。高いハードルのように思われましたが、現在では大規模接種や職域接種が始まり1日に100万接種というハードルはクリアしています。全体としては、2回接種が済んだ方は国民の約10%、1回接種が済んだ方は国民の20~30%位というのが現状です。海外のワクチン接種が進んでいる国に比べますとまだまだですが、このままこのスピードで接種を進めていきたいところです。海外の状況ですが、イスラエルでは非常にワクチン接種が進んでいまして、60%を超える国民の方が2回目のワクチン接種を済ませています。イギリスやアメリカも国民の約半数の方が2回目のワクチン接種を済ませています。ワクチンによって18歳未満または12歳未満の方には接種の適用が無いため、接種ができない方もいらっしゃいます。それを考えますと国民のうち50~60%の方がワクチン接種を済ませているというのはかなり多くの数だと言えます。50~60%の方がワクチン接種を済ませれば新型コロナウイルス感染拡大防止について大きな効果がでてきます。イスラエルでは新規の新型コロナウイルス感染症患者が0人という状況を達成しています。そしてマスクも外し通常の生活を送っています。その一方、変異株の流行がおきているという情報もあります。先ほど申し上げましたように、どうしてもワクチン接種ができない集団がありますので、そういった集団を中心に新たなウイルスの流行が起こる可能性もあります。しかしやはり、ワクチンの接種率が高くなれば、それだけ集団としての予防効果が高まって新たな患者さんが減るということになります。新たに感染する患者さんの数が減ったことにより重症化する方も減っています。重症化していく方々の診療はかなり大変ですし、命を守らなければならない緊迫した状況にもなりますので、新たに感染する患者さんが減るとともに重症化する患者さんが減るというのはとても喜ばしいことだと思います。
 
 
スマイルリポート 地域の医療スタッフ探訪
松崎雅英 先生(愛知県がんセンター 薬剤部長)

特に力を入れていること
愛知県がんセンターは、名古屋空港に開設された大規模接種会場の接種医療機関となりました。5月24日から始まった大規模接種において日本全国における多くの人の同日接種、またモデルナ製のワクチン接種と、2つの日本初の試みが行われました。それに医療者として立ち会えたことを光栄に思っています。またワクチン接種される方に安心・安全を提供しなければならないという使命感がわいてきています。今回の名古屋空港での大規模ワクチン接種では多くの薬剤師の方にご協力いただいています。医療者としては薬剤師の方それぞれに、国難に立ち向かっているという誇りを持っていただく機会にしたいと思っています。また普段あまり交流することのない職域の方々や地域の異なる薬剤師の方々と集い、交流し、協働できる場にしたいと思っています。

心に残った経験
担当薬剤師として病院に1人で出向く時の不安感を、経験した者であれば誰しも感じると思います。医師や看護師からの問い合わせにすぐに回答できなかった時の不甲斐なさは今でもよく覚えています。薬剤師の存在意義を自問自答したほどでした。しかし色々経験していくうちに医師や看護師が疑問に思うことがわかってきました。そして薬剤師の専門性を活かせる機会が増えてきて、薬剤師としてのやりがいを感じるようになりました。また今回の大規模ワクチン接種では当院の薬剤師がワクチンの温度管理やロット番号の管理をはじめ、薬液吸い上げなどのワクチン調整や衛生管理全般の一連の行為を行うことになり、こういった知識や経験を持っているのは薬剤師であると感じることができました。今回のワクチン接種で薬剤師の存在意義をはっきり確認することができました。

今後の課題
安定した品質、安定した数のワクチンを接種者に届けられるようなパフォーマンスを維持すべく、薬剤師の確保やスキルの充実が大切だと思っています。また、ワクチン接種会場での感染対策や衛生管理の重要性を医療者以外の方にも知ってもらう機会にしたいと思っています。
 

 
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