●教えてドクター |
名古屋大学医学部附属病院 中央感染制御部教授
八木哲也 先生
新型コロナウイルスワクチンについてですが、現在日本で接種されているワクチンはファイザー製のワクチンとモデルナ製のワクチンの2種類になります。その他承認を受けているワクチンもありますが、現在実際に接種されているのはこの2種類です。どちらのワクチンも特徴としては、ウイルスのスパイクタンパクと言われる、表面のタンパクを作る設計図となるような遺伝子を、脂肪の膜に包んだものを接種し抗体を作る方法であるということです。ウイルスが人間の細胞に入る時に人間の細胞の表面にくっつくタンパクがスパイクタンパクと言われます。そのスパイクタンパクを介してウイルスが人間の体の中に入って増殖していくことになります。スパイクタンパクは元々人間の体の中には無いタンパクなので異物と認識され、我々の免疫反応が抗体を作ります。ウイルスそのものを体に入れるのではなく、ウイルスの遺伝情報を体の中に入れることで免疫反応を起こすという全く新しタイプのワクチンです。スパイクタンパクを接種してもRNA自体はもろい物なので壊れてしまいますし、ワクチンのための設計図の役割を果たしたら、それで体の中から消えていきますのでご心配はいりません。一般的に大規模接種と呼ばれる場所ではモデルナ製のワクチンが使われています。我が国で最初に始まった医療従事者のための接種や、自治体を通じて行われている高齢者のための接種に使われていたのはファイザー製のワクチンです。ファイザー製とモデルナ製のワクチンを比べますと効果は95%と94%と、ほぼ同じです。使用当初、ファイザー製のワクチンの方がより低い温度で管理しなければなりませんでしたが、その後-20度でも保存ができることになり、モデルナ製のワクチンとほぼ同じ温度で管理できるようになりました。接種後の副反応の頻度や程度もこの2つのワクチンは類似しています。非常にまれですが副反応が起こることもありますので、何かおかしいと思ったら是非かかりつけ医を受診していただきたいと思います。