★6月のテーマ「血栓症」
名古屋大学医学部附属病院 輸血部 教授
松下正 先生
第1回目からご紹介している冠動脈血栓症すなわち心筋梗塞や狭心症と診断された方、あるいはその危険がある方に対しての治療法についてお話しします。心臓カテーテル検査による診断と治療が日本では大変広く普及しています。心臓カテーテル検査とは、手や足の動脈から非常に細くて柔らかいカテーテルを入れ、実際に血栓ができかけている血管の近くまでカテーテルを進め、その部分にどのように血栓ができているかレントゲンで調べる検査です。そして、血栓ができていたり血管が狭くなっている部分に対して、その部分を広げたり、あるいはできている血栓を少しずつ溶かしたりといった治療を行うことができます。心臓の多くの冠動脈にいくつもの血栓ができている場合は手術をした方が治りが早い場合もありますが、多くの場合はカテーテル検査で2泊3日や3泊4日の入院で治療を行うことができます。薬に関しても、特に抗血栓薬と言われる薬については非常に進歩しています。以前は抗血栓薬を飲むと血が止まりにくくなったり鼻血が出やすくなったり歯磨きをしている時に血がにじんできたり、場合によっては大怪我をした際になかなか血が止まらなかったりすることがありました。しかし最近の抗血栓薬はできるだけそういった出血の副作用を抑えるように作られています。なおかつ以前に使われていた抗血栓薬よりも安心して服用できる薬が増えてきました。医学の臨床研究は非常に進んでいますので「こういったタイプの血栓症をお持ちの方には、こういったタイプの抗血栓薬を飲んでいただくことにより、向こう5年間で何％まで再発を予防できる。」といったデータがたくさん報告されています。病院の先生方はそういった最新の知識をお持ちです。治療をお考えの方は是非専門の先生方にご相談されて医学的に正しい抗血栓療法を受けられることをおすすめします。
小木曽美紀 さん（日進おりど病院 臨床検査科 臨床検査技師）
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特に力を入れていること
新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて院内感染対策として、当院では昨年5月より建物の外のプレハブ小屋に発熱外来を開設しました。発熱など新型コロナウイルス感染症が疑われる症状がある患者様を対象として診療を行っています。発熱外来は原則予約制です。予約時間までに発熱外来専用駐車スペースへ自家用車でお越しいただき、病院へお電話いただくことで到着を確認し、到着確認後診察室へご案内します。診察後に新型コロナウイルス抗原検査を実施し、検査結果がでるまでお車でお待ちいただきます。検査結果が陰性とでましたら再度プレハブ小屋で診察し、薬の処方をします。詳しい検査等が必要な場合は、病院内へお入りいただきます。陽性の場合はお電話で結果をお伝えし、お車までお薬を持参してその後ご帰宅いただきます。私たち臨床検査技師は抗原検査のための検体採取と検査だけでなく、患者様の誘導と診察介助も行っています。診療に関わるスタッフは全員個人防護具を着用しています。このような環境ですが熱中症に気をつけながら、日々地域の皆様に安心して受診していただけるように努めています。
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心に残るエピソード
新型コロナウイルス抗原検査を実施し、陰性であった患者様の多くは医師より検査が陰性であったことをお伝えすると、とても安心されます。今までの辛かった症状が軽減される方もみえます。しかし残念ながら陽性となった患者様はやはり心の動揺もあり、呆然とされる方や、体調が悪化する方がみえます。ある患者様は大学病院へ入院することになりましたが、「なぜ今自分がここにいるのかわからない。」と入院時におっしゃっていたそうです。また別の患者様でお薬を車の中で待つ間に、手足や唇の痺れが出てきて車内でうずくまってしまった方もいらっしゃいました。私たちはどこまで患者様に寄り添った対応ができるのか？どのような声かけができるのか？と考えながら患者様お一人お一人に合わせた対応をできるかぎり行っています。
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今後の課題
当院では、現在は新型コロナウイルス感染症の方の入院治療は行っていませんが、日進市の中核病院として地域の方々を守らなければならないと思っています。現在までに入院患者様からの陽性の報告や院内クラスターは発生しておりません。これを継続するためにも発熱外来においてだけでなく、入院前に体温測定を実施し、発熱がある場合には検査の実施をしています。また入院中に発熱した際には直ちに検査を行っています。そして職員に対しても行動規制を徹底し、感染対策を行っています。地域医療を担うため、医療機能を破綻させないよう使命感を持ち全職員が一丸となって今後も安心・安全な医療提供を行ってまいります。
