健康ライブラリー

健康ライブラリー 2021年5月23日

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●教えてドクター 
★5月のテーマ「身近に直面する脳神経の病気」

名古屋大学医学部付属病院 神経内科 教授
勝野雅央 先生

レビー小体型認知症についてですが、現在ではパーキンソン病とレビー小体型認知症はほぼ同じ病気だと考えられています。パーキンソン病もレビー小体型認知症も脳の神経細胞の中にα-シヌクレイン(アルファ-シヌクレイン)というタンパク質がたまるという現象が見られます。このα-シヌクレインがたまることで、神経細胞が弱ってしまい、運動機能や認知機能に障害が出てくるのがこういった病気です。パーキンソン病は主に運動が障害され、レビー小体型認知症では主に認知機能が障害されますが、脳の中で起きていること自体は同じです。現れる症状が違うことからこの二つの病名があります。症状の現れ方が違うのは、α-シヌクレインというタンパク質がたまる場所が違うからです。α-シヌクレインがドーパミンを作っているドーパミン神経という所にたくさんたまると、運動が障害されてパーキンソン病という症状が現れます。一方で物事を考えたりする大脳にある神経細胞にα-シヌクレインがたくさんたまるとレビー小体型認知症という症状が現れます。レビー小体型認知症も症状は基本的にはパーキンソン病と同じですので、治療もパーキンソン病と同じお薬を使います。運動が障害されている部分に関してはパーキンソン病に使われているようなL-ドーパ(レボドパ)というお薬を使います。そして、レビー小体型認知症の認知機能の障害に対しては、アルツハイマー病で使われるドネペジルというお薬を使います。その他にも認知症に伴う症状として幻覚も出てきます。そのような症状に対しては対症療法と言いまして、症状を少し和らげるようなお薬を使います。パーキンソン病もレビー小体型認知症も初期には非常に病気に気付きにくいです。パーキンソン病については運動障害の症状が出てくる前触れとして、睡眠の障害や便秘や嗅覚低下が生じます。そして実はレビー小体型認知症も全く同じで、実際に認知機能が低下してくる前に匂いがわからなくなったり夜中に大きな声を出して騒いだりといった症状が見られます。ですのでこういった前触れにもし気付かれたらその時点ですぐに診断を受けるということが重要です。
 
スマイルリポート 地域の医療スタッフ探訪
三浦昌子 さん(愛知県看護協会 会長)

特に力を入れていること
コロナ禍において力を注いでいることは、高齢者施設でのクラスターの発生予防です。クラスターが起こってしまうと、施設の運営が困難になったり、高齢者である利用者が重症化するなど多大な影響が想定されます。実際に愛知県の事業として、クラスターが発生した場合、施設へ認定感染看護師や保健師そしてDMAT(専門的な訓練を受けた医師・看護師からなる医療チーム)の方たちと連携し、現場に出向き、指導にあたっています。愛知県看護協会もクラスターが発生した施設へ認定感染看護師の派遣調整を行ったり、現場に出向き支援を行っています。現場に出向いてみると正しい知識のもとに感染対策が行われていないのが現状です。クラスターを発生させないためには、きちんと感染の基礎を理解し、予防対策を行うことによって感染を最小限に食い止めることができると思います。そこで、看護協会は、予防が重要と考え、感染に対する正しい知識を身につけクラスターを最小限に抑えてもらうためにDVDを作成し、オンデマンドで配信しています。現在までに2000回位再生されています。これを視聴した方たちは活用して下さっています。この配信は愛知県看護協会のホームページからどなたでも観ることができます。

今後の課題
現在高齢者施設などでクラスターが起きたり、たくさんの陽性患者が発生したりしているため、ますます看護師不足が叫ばれています。そのような中、潜在看護師(65歳以下で看護師資格を持っているが、現職の看護師として臨床の現場で働いていない方)が全国で70万人もいるため、愛知県においても潜在看護師に復職を呼びかけていますが、反応は芳しくありません。潜在看護師にいかに現場に復職してもらうかというのが大きな課題であると思っています。愛知県看護協会は看護職を支える団体であり、また、県民の皆様が安心して暮らせる社会を目指しながら頑張っていきたいと思っております。
 
 

 
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