●教えてドクター |
名古屋大学医学部付属病院 神経内科 教授
勝野雅央 先生
レビー小体型認知症についてですが、現在ではパーキンソン病とレビー小体型認知症はほぼ同じ病気だと考えられています。パーキンソン病もレビー小体型認知症も脳の神経細胞の中にα-シヌクレイン(アルファ-シヌクレイン)というタンパク質がたまるという現象が見られます。このα-シヌクレインがたまることで、神経細胞が弱ってしまい、運動機能や認知機能に障害が出てくるのがこういった病気です。パーキンソン病は主に運動が障害され、レビー小体型認知症では主に認知機能が障害されますが、脳の中で起きていること自体は同じです。現れる症状が違うことからこの二つの病名があります。症状の現れ方が違うのは、α-シヌクレインというタンパク質がたまる場所が違うからです。α-シヌクレインがドーパミンを作っているドーパミン神経という所にたくさんたまると、運動が障害されてパーキンソン病という症状が現れます。一方で物事を考えたりする大脳にある神経細胞にα-シヌクレインがたくさんたまるとレビー小体型認知症という症状が現れます。レビー小体型認知症も症状は基本的にはパーキンソン病と同じですので、治療もパーキンソン病と同じお薬を使います。運動が障害されている部分に関してはパーキンソン病に使われているようなL-ドーパ(レボドパ)というお薬を使います。そして、レビー小体型認知症の認知機能の障害に対しては、アルツハイマー病で使われるドネペジルというお薬を使います。その他にも認知症に伴う症状として幻覚も出てきます。そのような症状に対しては対症療法と言いまして、症状を少し和らげるようなお薬を使います。パーキンソン病もレビー小体型認知症も初期には非常に病気に気付きにくいです。パーキンソン病については運動障害の症状が出てくる前触れとして、睡眠の障害や便秘や嗅覚低下が生じます。そして実はレビー小体型認知症も全く同じで、実際に認知機能が低下してくる前に匂いがわからなくなったり夜中に大きな声を出して騒いだりといった症状が見られます。ですのでこういった前触れにもし気付かれたらその時点ですぐに診断を受けるということが重要です。