健康ライブラリー

健康ライブラリー 2021年5月16日

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●教えてドクター 
★5月のテーマ「身近に直面する脳神経の病気」

名古屋大学医学部付属病院 神経内科 教授
勝野雅央 先生

パーキンソン病は今から200年前に見つかった病気ですが、治療は1960年代位から本格的に行われるようになりました。ですので治療が行われるようになってからは50年以上経ったということになります。その間に様々な治療法が開発されて、現在患者さんに対して使用できるようになっています。その多くは飲み薬ですが飲み薬だけでは十分に治療ができない場合もあります。そういった場合には医療機器(デバイス)を使用した治療を行うこともあります。医療機器を使用する治療の一つは脳の中に電極(金属の細長い棒)を脳の中に入れて電気刺激を加えることにより脳の回路を調整するという方法を用いた治療です。これを深部脳刺激法と言います。もう一つの治療はLCIGという治療です。これはレボドパカルビドパ経腸療法と言って、胃の中に管を通し、管を使ってお薬を体に届ける治療法です。この治療法はまだ使用され始めて数年位しか経っていません。この治療のためにはまず胃ろうを作ります。通常この胃ろうは栄養を送るために使用しますが、治療においては、さらに胃ろうの中に細いチューブを入れまして、そのチューブの先端を胃からさらに進めて小腸のあたりまで持っていきます。その小腸に外からポンプでお薬を持続的に届けます。この治療法のメリットはお薬の効果と大きく関係します。パーキンソン病の治療の中心はドーパミンを増やすということになりますが、ドーパミンそのものをお薬として飲んでいただいても分解されてしまいます。ですのでドーパミンの材料となるLードーパ(レボドパ)を飲んでいただきます。通常飲み薬で大きな効果が出てきますが、病気の進行が進むにつれて、効果が早く切れてしまうようになります。つまりお薬を飲むと調子がいいのだけれど、お薬が体から消えてくると、体の動きが止まってしまうということになります。それを回避するのがこのLCIGという胃ろうを使った治療法です。胃ろうを使ってチューブを中に入れてお薬を徐々に届けることができれば、起きている間ずっと、同じスピードでお薬を体に届けることができます。そうしますと、先ほど申し上げたような、お薬の効いている時間と、お薬の効きめがなくなってしまった時間との変動がなくなります。なるべく体がちょうど良い状態である時間を長くするというのがこのお薬の目指すところです。少し病気が進んだ段階であっても専門家の診療をしっかり受けるということが重要だと思います。
 
スマイルリポート 地域の医療スタッフ探訪
小林清彦 先生(愛生館グループ 代表)

特に力を入れていること
医療・介護・福祉という事業は、地域にお住まいの方々が「何かあっても安心して過ごすことができる」といったセーフティーネットの役割が非常に強いと考えています。この医療・介護・福祉の複合体として、愛生館グループは碧南市を中心に戦後77年事業を続けてきました。そのような中、現在は少子高齢化・個人情報保護法などの様々な要因で、地域における人と人とのつながりが薄くなってきていると感じています。そこで、生活に密着した様々な事業体を持っている愛生館グループは、「人と人とのつながりを持ちながら、その人らしく地域で過ごせる町づくり」に力を入れています。

心に残るエピソード
愛生館グループでは地域とのつながりに感謝するとともに、事業への理解を深め、協力していただく目的で、地域交流イベントを行っています。大きなものとしては、小林記念病院の「夏祭り」、ひまわり村の「さくら祭り」があります。約20年前から碧南市の鷲塚地区で高齢者の福祉拠点として整備を進めてきたひまわり村は、碧南市の桜の名所である矢作川沿いの桜堤に隣接しています。2015年より満開の桜にちなんで「さくら祭り」を開催しています。「さくら祭り」では、看取りについて考えたり、人生の最期について考えたり、あるいは認知症への理解を深めるなど、答えの無い答えを地域で一緒に考える講演会も併せて行ってきました。新型コロナウイルス感染症が流行する前には500名以上の方がお越しくださる大きなイベントになっています。

今後の展望
町づくりに欠かせないお祭りなどの行事では、新型コロナウイルス感染症対策を施し、飲食を少し控えていただいたり、リモートで開催したりといった工夫をしています。そういった工夫をしながら少しでも活動を知っていただく機会を作っていきます。
 
 

 
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